デニス・ルヘイン/早川書房/お薦め度 ★★★★☆
MWA賞最優秀長篇賞受賞作
無法者のジョー・コグリンがギャングとしてのしあがっていく様を描いた作品。
構成は三部作、第一部は禁酒法時代のボストン、ルヘインの十八番の舞台、時はアメリカ発の大恐慌へ向かいつつある1926年~29年。第二部はフロリダ州タンパ、イーボーンシティ、移民の多い街。キューバは目と鼻の先。第三部は禁酒法が終わりを告げる1933年~1935年、キューバ。
ボストンでは市警警視正の父が犠牲を払いジョーの裁判を有利に導き、タンパでは禁酒法下、密造酒、ラム、の流通を握り、莫大な利益を組織にもたらす。キューバでは跡目相続をめぐる争い、農場経営、野球場・・・と読者を飽きさせない。
ギャング小説、ヤクザ小説なのだが、ルヘインの手にかかるとクライム・ノワールに変身。一気読み間違いなしのMWA賞受賞作。