7点
電子機器メーカーをやめ、フランス料理の世界に飛び込んで、たった12年ほど、
そして自分のフランス料理の店をオープンさせて1年5ヶ月目に、
ミシュランの三つ星を獲得したという米田肇氏の、波瀾万丈の人生を描いた本。
最初の章は、米田肇氏の作る、何通りもの加熱方法を駆使し、
部位ごとに完璧な火の通りに調整された、子羊(だったかな?)のローストの描写があり、
無茶苦茶美味しそう!!
フランス料理に関して、子羊のローストのエピソードのような、
知られざる工夫とか、味わいとか、美味しいものとか、そういうエピソード満載なのを
期待して読んだんだけど、料理の描写は多々あれど、詳細な記述は少なく、
メインは、小学生の頃「いちりゅうのりょうりにん」に憧れ、それを、
驚くべきほどの集中力と行動力と努力、そして持ち前の恐ろしいほどの完璧主義な
性格によって、実現させたシェフ米田肇氏の、軌跡が描かれた一冊。
どこまでもどこまでもどこまでも目的に向かって進んでいく米田肇氏の姿は、
「すごい!!」と思えるけど、すでに目的に向かって進むより、安穏とした日々を過ごしたい
私にとっては、読むのが遅すぎな本という感じ。
私は、美味しい料理の詳細が、たくさん読みたかった(^^;)。
「肉を切る」ただそれだけの事でも、びっくりするぐらい奥深い事や、
フランスと日本の料理人の修行の違い(見て覚える日本と、なんでもかんでもオープンに
教えてくれるフランス)、他にもフランス料理に関する面白いエピソードが入っていて、
面白く読める部分も多かったけど、やっぱりメインは、米田氏の軌跡。
「これから何かをしよう!!したいっ!!」って、若い人に読んで欲しい。
ただ、スポーツもできるし、絵も上手、そして勉強もできる(やればすぐ身につくタイプ)と、
米田肇氏はもともとなんでもこなせるタイプなのに、
それに加えて常人離れした努力もしているので(常人離れした思い込みの強さもあり、
それによって躓いたエピソードなども入ってますが)、
自分とは違い過ぎる、こんなの無理・・って、思っちゃう人もいるかも(^^;)。
エジソンの「天才は1%のひらめきと99%の汗」の言葉、解釈は2通りあるけど、
その片方、「99%の努力があっても1%の閃きがなければ無駄」なんじゃ・・・と思えたりしたし。
そう思えてしまうのが歳なのかもなぁ・・・(-"-;A。