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上海

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 「上海」 横光利一 (岩波文庫)  二人の日本人青年を中心に、五三〇事件当時の上海を描いた物語です。  新感覚派の集大成的な作品として知られています。  2008年に岩波文庫から改版が出ました。読みやすいし適正価格です。  講談社文芸文庫からも出ていますが、1103円。相変わらず、お高い。
上海 (岩波文庫)

上海 (岩波文庫)

  • 作者: 横光 利一
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2008/02/15
  • メディア: 文庫
 舞台は、1925年の上海。  この混沌とした国際都市には、さまざまな人間が暮らしていました。  風俗の女、踊り子、芸者、没落したロシア女の妾、女スパイ、売春婦、  物乞い、西洋のビジネスマン、インド人の巡査、英兵、米兵・・・  主人公は、日本人青年の参木(さんき)。  若いのに、生きる希望を失っている、あまりぱっとしない男です。  紡績工場に暴徒が襲ってきたとき、参木は一人の女工を助けました。  彼女は美しい支那の女性。名は芳秋蘭(ほうしゅうらん)。  しかし、彼女はもうひとつの顔をもっています。  陰謀、トライキ、暴動、そして市街戦・・・  五三〇事件の中に、芳秋蘭の影が見え隠れして・・・  賛否両論ある作品ですが、予想以上に面白かったです。  私には、ハードボイルド小説のように、楽しめました。  ただし結末はいまひとつ。未完のような印象を与えます。  せめて芳秋蘭がどうなったのか、知りたかったです。  さて、横光利一は、芥川龍之介に勧められて、上海へ渡りました。  そこで、西洋列強に支配されたみじめな東洋を見たのです。  それが、「上海」執筆のきっかけになったのだそうです。  実際、生々しい上海の描写に、このときの体験が生かされています。  横光にはまた、大戦前のパリを舞台とした「旅愁」もあります。  講談社文芸文庫から出ていて、上が1680円、下が1785円!  この値段では、買えません。  さいごに。(引き渡し訓練)  先日、娘の小学校で、引き渡し訓練がありました。  たまたま私の都合がついたので、妻に代わって行って来ました。  教室で娘を引き取って帰るだけなのですが、妙に楽しかったです。

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