ハサミ男 著者:殊能将之 点数:80 最近凝ってる「古い本格推理小説」シリーズ。 殊能将之という作家は知らなかったが、なかなか面白かった。 猟奇的な連続殺人犯である「ハサミ男」を、犯人と警察、双方の視点から描く。 よくある書き方だし、セリフのテンポが良いわけでもない。 けれど、犯人のキャラクターの面白さに引き込まれ、不思議とスラスラと読めてしまった。 自殺願望、多重人格、しかももう一人の「ハサミ男」を探すという探偵役も兼ねる犯人。 やがて明らかになる、もう一人の「ハサミ男」と、「ハサミ」男である犯人の正体。 後者については予想はできたものの、あからさまな伏線というわけでもなく、妥当なレベル。 メフィスト賞受賞作のレベルの高さを物語る作品だった。
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