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『あと少し、もう少し』

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あと少し、もう少し

あと少し、もう少し

  • 作者: 瀬尾 まいこ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/10/22
  • メディア: 単行本
内容紹介
中学校最後の駅伝だから、絶対に負けられない。襷を繋いで、ゴールまであと少し!走るのは好きか? そう聞かれたら答えはノーだ。でも、駅伝は好きか?そう聞かれると、答えはイエスになる──。応援の声に背中を押され、力を振りしぼった。あと少し、もう少しみんなと走りたいから。寄せ集めのメンバーと頼りない先生のもとで、駅伝にのぞむ中学生たちの最後の熱い夏を描く、心洗われる清々しい青春小説。
実業団駅伝、箱根駅伝と、正月休みはテレビで駅伝観戦するのが僕の楽しみとなる。テレビ中継されるような大会で走っているようなランナーの足元にも及ばないけれど、僕ら市民ランナーの代表として走ってくれているような感覚があって、他人事とも思えないのだ。そして、箱根の復路が終わると、正月休みももう終わりだなという寂しさにかられる。「サザエさんシンドローム」の正月休みバージョンだな。 今年は正月三が日の後に土日がくっついたが、この2日間は年明けからの仕事の準備に充てたので、結局箱根復路を終わって感じた寂しさを引きずりながら過ごしたのは一緒だ。でも、この仕事の準備を近所のコミセン図書室でやっていたことで、本書に出会えた。中学駅伝のお話、しかも、全国大会のような雲の上の話ではなく、県大会出場権をかけた予選会に臨むある中学の代表チームのお話だ。 1区間3km強、6区間で争われる予選会。主人公は各区間を走る選手たちで、タスキが渡るごとに一人称の主人公も替わっていく。6人のメンバーのうち、元々が陸上部で長距離の選手だったのはキャプテン桝井クンを含めて3人。これに助っ人3人を加わって、夏休み頃から練習を重ね、11月の大会に備える。 桝井クンの悩みは、十数年連続で県大会出場を果たしてきた駅伝チームの記録が、自分の代で途切れてしまうこと。しかも、自分たちを厳しく指導してきた先生が人事異動で他校に転出してしまい、代わって陸上部と駅伝チームの顧問を務めるのは、美術が専門の若い女性教師。頼りない先生に代わって、陸上部以外から3人の駅伝メンバーを確保するための人探しもしなければならない。 だから各メンバーが主人公となるストーリーの中には、駅伝チームの練習に参加するようになった経緯やら、メンバー間の葛藤やら、練習の苦しさやら、他のメンバーに対する思いやら、多くのことが含まれる。実際に長距離を走っておられる市民ランナーの方ならおわかりかと思うが、走っている間はいろいろなことを考える。自分のここまでの歩みを振り返ってみたり、周囲を一緒に走っている他のランナーの様子をうかがってみたり、自分の調子を自分自身に問いかけてみたり。いろいろなことを考える。だから、本書の構成は、実際の駅伝競走の展開ととてもよく合っている。読者の共感を得やすいストーリーだと思う。中高生に読んでほしい小説だ。 練習をサポートしていた生徒や、顧問の先生など、周囲の人々のストーリーも絡めて多面的に描かれるともっと面白かった気もするが、それでも十分楽しめる作品だと思う。 僕も中3の時、郡の中学校対抗駅伝大会の中学代表メンバーに選ばれ、11月に走ったことがある。準備期間は2ヵ月弱だったので、大した練習はしていなかったが、剣道の方は夏の中体連大会で卒業してしまい、生徒会で秋の運動会の企画と運営が10月に終わると、次の目標として駅伝の練習に打ち込んだ。お蔭で肝心の学業の成績の方は下落傾向に歯止めがかからず、祖母から「そんなことばっかりやっとるからあかんのや」と苦言を呈されてしまったが、駅伝が終わったら勉強に専念するからということにして、取りあえず練習は続けさせてもらった。(そこからがむしゃらに勉強して、なんとかすべり込みで第一志望校に合格できるところまで立て直せた。)35年経った今も走っている自分のことを考えると、中3で走った駅伝の練習は、僕の原点の1つだといえるだろう。 駅伝やリレーマラソンは思いを次の走者につなげるという面白さがある。1人で走るよりも、チームで走るのは楽しい。そんなリレーマラソンの今年初戦は、来週土曜日の予定である。

「豪快! 両国夢想」第6話「神なるもの」その37

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その炎を防ごうと上げたルーズベルトの腕が 一瞬にして炎に包まれていく。 「なっ! なにぃっ!?  なぜ燃える!?  ありえんっ! ワシの腕がこの程度の炎で焼けるなど…」 自身の焼け焦げる腕を見て呻く間にも、 人の肉のこげる匂いがあたりを満たし、 炎は上腕へと広がっていく。 腕をバタバタと自分自身に当てて 火を消そうとするが、 火が当たった部分から服に燃え移り、 ルーズベルトは全身炎に包まれていく。 「があああっ! 熱いっ!! 誰かこれを消してくれ…」 悲鳴をあげるルーズベルトの動きがいきなり止まったかと思うと、 その全身が凍りに包まれ、海中へと没していく。 「増上漫な若造が……。 仕方がない、 ここはわしが一人で作戦を完遂するか…」 140112i1 のコピー.jpg ルーズベルトが消えたあとに立っていたのは、 腰越で逸鬼と戦っていたはずのワシントンだった。 つづく

佐々木正美他著「わが子が発達障害と診断されたら」を読んで

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IMG_4784.JPG 照る日曇る日第649回 医療の立場から(我が家の恩人でもある)佐々木正美氏、療育の側から海老名わかば園の諏訪利明氏、自閉症者の家族&専門職の立場から横浜市総合リハビリセンターの日戸由刈氏がそれぞれの視点から発言されているが、重度の自閉症者の兄、その兄の為に身命を擲って介護の極点まで到達された母(いずれも故人)という家族のもとで成人された日戸由刈氏の文章を読みながら涙が止まりませんでした。 突然トイレに行き服を決まった順序で全部脱ぎ、頭を便器に突っ込み、その後バスタオルで頭を丁寧に拭き、服をまた順番にきちんと着る。もし誰かが途中で誰かが止めればもう一度頭を便器に突っ込むところからやり直すという恐るべき「こだわり」を、この障がいの人々は大なり小なり持っています。 このとき大方の親や療育指導者は暴力を用いてでもそれを強引に抑止し、断固として健常児者のようにふるまうように「指導、教唆」するのですが、それはかえって逆効果となり生涯に亘って消えることなく、脳内で増幅拡大再生される精神的な傷跡を蓄積することになるのです。 たとえそれがいかなる善意に基づいているにせよ、脳の先天的な機能障がいをもつ自閉症児者を、風邪やガンのように「治そう」としたり、スパル教育的に「改善・善導」することが、いかにナンセンスで、場合によっては致命的な行為であるか。(ほかならぬ我が家の自閉症者もその悲しい犠牲者の一人ですが。) 日戸氏がいうように、「平坦ならざる人生を歩んで行く彼らをいたわり、ねぎらい、人間として尊敬を持って遇する」こと。そして「障がいを治そうとしたり、良くしたり、変えようとせず、そのまま彼らを歩ませること」こそ、この器質障がいの持ち主たちに取るべき基本的な態度ではないかと、悪しき親としての自戒をこめて、痛感するのです。     なにゆえに福田の里より電話しないホームステイの息子よ元気か  蝶人

ゴッドイーターマガジン Vol.3 発売日は2014年1月24日!通販受付中~

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いよいよ来週発売になりました、【ゴッドイーターマガジン Vol.3】! まだ予約していない方は、こちらからどうぞ~♪ ↓ ↓ ↓ ↓ ゴッドイーターマガジン Vol.3 予約はここから! 今回の特典としては、「ナナの衣装」とのことです。 前回のVol.2では、「シエルの衣装」でしたから、楽しみな方も多いはず・・・ また、カレンダーも前回のVol.2では付いておりましたので、他にも何か付属されるのでは ないでしょうか・・・? 値段は『900円』となっております。 アマゾンでしたら、配送料は一部の地域を除きまして無料となっております。 ほんと、vol.2は早々に売り切れてしまい、買いたい人は高くなったものを購入せざるを得なかった この【ゴッドイーターマガジン】!! Vol.3は予約しておいて方がいいですよ~!! 最終号でもありますしね♪ ↓ ↓ ↓ ↓ ゴッドイーターマガジン Vol.3 予約はここから!

411 うぐいす色の旅行鞄

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杉原爽香シリーズ 第13弾
2000年09月 光文社文庫 うぐいす色の旅行鞄―杉原爽香二十七歳の秋 (光文社文庫)

412 迷子の眠り姫

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2000年10月 中央公論新社 迷子の眠り姫
2002年08月 C・NOVELS 迷子の眠り姫 (C・NOVELS)
2004年02月 中公文庫 迷子の眠り姫 (中公文庫)

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413 待ちわびた花嫁

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花嫁シリーズ 第14弾

2000年12月 ジョイ・ノベルス待ちわびた花嫁 (ジョイ・ノベルス)
2003年12月 角川文庫待ちわびた花嫁 (角川文庫)

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414 そして、楽隊は行く

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2000年12月 マガジン・ハウス そして、楽隊は行く
2004年11月 角川文庫 そして、楽隊は行く (角川文庫)

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XPサポートが終了する前に、個人ユーザーが費用を抑えて最新パソコンへ移行する方法

415 幽霊の径

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2000年12月 角川書店 幽霊の径
2006年11月 カドカワ・エンタテインメント 幽霊の径 (カドカワ・エンタテインメント)
2008年08月 角川文庫 幽霊の径 (角川文庫)

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『アジア人との正しい付き合い方』

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『アジア人との正しい付き合い方』 小竹裕一 2008/12 アジア人との正しい付き合い方―異文化へのまなざし (生活人新書)  著者はシンガポールで20年暮らした後立命館アジア太平洋大学准教授。 異文化交流についての本。  60年後にはイギリスの人口が日本を上回る。英国は移民を受け入れ人口増加が続いているが、日本は減少するためだ。  日本人の国際結婚について、85年から5,6年の間に「夫・日本人」の国際結婚が3倍になった。バブルと円高で海外から多数の若い女性が接客業で来日したことが背景にある。夫・日本人の場合、妻は中国人、フィリピン人、韓国・朝鮮人の順で多い。この3つで83%。妻・日本人の場合、夫は韓国・朝鮮人、アメリカ人、中国人の順で多い。  著者はシンガポールでマレー人と結婚しイスラーム教徒になった。マレー人は家族の食事時間がてんでバラバラである。家族の一人ひとりへの”しめつけ”がゆるいのだという。  欧米人は夫婦喧嘩をすると、「問題解決のためにもっと話そう」となる。日本人は頭を冷やすために一人になりたがる。  欧米では生まれたばかりの子供でも、どんなに泣き叫んでも一人で自分の部屋で寝かせる。部屋がなければ風呂場に置いてもいいという。  日本人の食事スピードはシンガポールの2倍は速い。  中国人のタクシー運転手いわく、「話す声の大きいのが韓国人、小さいのが日本人」。  フランスや中国でトイレを作る文化がなかったのは、水が不足していたから。  日本の友達と韓国のチング(友達)とは、距離感が違う。「チングのものは自分のもの、自分のものはチングのもの」と考える。  韓国、中国など儒教社会では見知らぬ人に(店員が客に対しても)不必要にニコニコしない。これは『論語』の「巧言令色少なし仁」によるという。  ノンバーバル(ジェスチャーなど)で世界共通なのは「人差し指をタテに唇にあてる」=「静かに」のサインのみ。

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第八十二話_short 大事な役割

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 山田さんは毎朝八時半にきっちり出社してきて、五時になったらすっと退社する。

 その間、バリバリ仕事をしているのかというと、よくわからないが、とにかく一日中窓際の席に座ってじっとしているのだ。
「先輩、あの山田さんって、なにか仕事しているんですか?」
「さぁ~俺もよく知らないが・・・・・・いつもじーっとあの窓に向かった席に座っているから、なにかしてるんじゃぁないの?」
「でも、とても仕事しているようには見えないなぁ」
「いなくていいんじゃないの……? その、なんていうか・・・・・・」
「リストラ対象社員?」
 こそこそ話いると、通りかかった課長の耳に入ったらしく、話に入ってきた。
「お前ら、なにも知らないんだな。あの方がいなかったら大変なことになるんだぞ」
「大変な? なにが?」
「会社がだ。あの席は会社の重心なんだ。あそこに重しとして山田さんが座っていなかったらバランスが崩れて、会社が倒れてしまうんだよ」

                                   了

「死刑囚の最期 -生への執着編- 第一章 『死にたくない』 死刑囚 朝倉幸治郎」

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お断り

まず初めに少しだけ書かせてください



私は 「死刑」 という刑罰に対して肯定派です


たとえどんな理由があろうとも 『正当防衛』 以外で人を殺めた場合

極刑以外での罪の償いはできないと考えています


それは殺めた人の数に限らず  また犯人の年齢に関わらず極刑にされるべきだとも考えています



ときどき 人を殺めた被告人に対して 『精神鑑定』 といったものをとり

犯行当時に責任能力があったか否かを調べる措置をとりますが

私はこういった措置をとること自体が間違っているのではないかと思っています



犯行当時 どんな状態だったにしろ人を殺めた事実に変わりはなく

殺めた理由についても 大概が身勝手なものばかりだからです



以前にも 「死刑」 という刑罰について私の意見を書かせていただいたことがあります


「死刑廃止運動」 をされている方々に対しての意見も書かせていただきました


気になる方・または私の意見を読んでみたいと思われた方は

「死刑」 という刑罰へのチナリの意見

をクリックして読んでみてください





最後にもう少しだけ書かせてください



私は 「死刑」 という刑罰に対しては肯定派ですが

実際に死刑囚への刑が執行されたというニュースが報じられたとき

その死刑囚がどんなに凶悪な事件を犯していたとしても

何かとても虚しい気持ちになり ずっとその犯人のことを考えてしまいます



それは死刑囚とはいえ ”尊い命” がこの世から消えてしまったという事実を突きつけられたからという思いと

それに加えて

「ほんの数時間前までは まだ生きていたんだよな」

という思いが湧き上がってくるためだと思います


例え どんな人間であれ 人が亡くなってしまうということは とても悲しいことです


それでも私は 「死刑」 という刑罰はなくしてはいけないものだと考えています



チナリより <(_ _)>

『凶悪事件』 の記事に関しまして

私は記事としてお書きする以上

”責任” を持って書かせていただいております


記事を読んでくださる方の中には

”死刑廃止派” の方もいらっしゃることと思います


もし そういった方から記事への批判コメントが書かれたとしても

私はすべてを承認させていただいたうえで

私自身のコメントとともに返させていただきます



ただ 自分の感情が入ってしまったからなのかどうかは知りませんが

初コメントに対して

私のことを ”お前” 呼ばわりされる方がおられます


ネット上における匿名性を利用しているので

そのような強気発言ができるのだとは思っていますが

初コメントをお書きになられる場合は

例え批判コメント・反対意見のコメントだとしても

できるだけ失礼に当たらないようコメントをされるのが筋だと思います


私は批判意見をお持ちになられる方がおられることをわかってお書きしています


もし 批判コメントや反対意見などをお書きになられる方がいらっしゃいましたら

せめてそのくらいのマナーを守ってお書きください

今回は ”朝倉幸治郎死刑囚” について書かせていただきます 私はいつも記事の用意をする際に 本の年月日があっているのかを調べまして 本が間違っていましたら正しく訂正しています そのときに事件の内容につきましても調べているのですが 内容が多少異なる部分があります 本のタイトルが 『死刑囚の最期』 ですので やはり本では事件そのものよりも 死刑囚たちの姿がメインとなっています もし 事件の詳しい内容を知りたい方がいらっしゃいましたら 死刑囚の名前で検索していただきますか 事件名で検索していただきますと 詳細な事件の内容が書かれてあるサイトさんでしたり Wikipediaさんなどが出てくると思います それでは書かせていただきます・・・が 今回の事件は凄惨な事件となりますのでお読みになられる際はご注意なさってください それとですが 今回の事件の内容にはどうしても考えてしまう箇所がありますので 朝倉死刑囚に同情はできませんが お読みくださる方はオカシな部分をお考えになられてみてください それでは今度こそ書かせていただきます
腰の低い男

<一家を皆殺しにした上、ミンチにした男は最期まで卑屈 (ひくつ) なまでに従順 (じゅうじゅん) な姿を貫いた>

朝倉幸治郎

─ 事件概要 ─

1983年6月27日

東京都練馬区大泉学園で 一家5人が惨殺され バラバラに解体されるというショッキングな事件が発生し

東京都杉並区に住む不動産鑑定士・朝倉幸治郎が現行犯逮捕された


朝倉は競売にかけられた被害者の自宅を購入しており

明け渡しに応じない被害者とのトラブルの末の犯行だった

練馬一家5人殺し事件 朝倉幸治郎

東京都葛飾区 東京拘置所にて


朝倉 「はじめまして 朝倉幸治郎です!!

いえ ××番です

お世話になります!!」



朝倉はそう言うとお辞儀 (おじぎ) をした


看守 「あ・・・いや・・・

今日からこの房を担当することになったのでよろしく頼むよ」



朝倉 「先生!

いろいろご迷惑をおかけすることもあるかと思いますが

どうかひとつ面倒みてやってくださいまし!!」



朝倉はお辞儀の体勢のままそう言った


看守 「あ・・・ああ・・・」



朝倉の房を出た看守は区長と歩きながら話をした


看守 「××番はずいぶん腰が低いですねえ」


区長 「まあな・・・」


看守 「歳が半分以下のボクに対してもあんなに丁寧 (ていねい) に頭を下げて」


区長 「ま・・・ 手間はかからんから楽ではあるよ」


看守 「あんな温厚な人が5人も人を殺したなんて・・・

罪を悔いる (くいる) と人って変わるものなんですかね・・・」


区長 「お前も犯罪者は何人も見てきているんだろ

変に情を移すんじゃないぞ!」


看守 「はい・・・ わかってますよ・・・」



そう言うと 区長は看守を置いて歩いて行った





1983年 春

朝倉幸治郎は不動産鑑定士として忙しく働いていた


朝倉 「社長! いらっしゃいませ! どうぞお入りください!



こりゃあ かないませんなァ・・・

しかしまぁ 他ならぬ社長のことだ・・・



今回は勉強させていただきますよ! ハハハハ!!」



愛想 (あいそ) がよく 仕事も丁寧と評判で商売は順調だった


朝倉 「ありがとうございましたァ!!」



だが・・・実はこのとき 朝倉は大きな悩みを抱えていたのだった・・・



1983年2月

朝倉は東京都練馬区のある競売物件を1億280万円で落札していた


624平方メートルの敷地 (しきち) に建つ木造二階建ての家


そこには平井明夫さん (仮名) とその家族6人が暮らしていたが・・・


彼らに立ち退き料を支払っても利益は十分に出るはずだった・・・


ところが平井さんは あれこれと理由をつけてはのらりくらり立ち退きを引き伸ばし続けていた


物件の代金は全部銀行から借りたもので

その利子は毎月百万円近くにのぼった


転売先もすでに決まっていた


このままでは利子が膨らむだけでなく

転売先からは莫大な違約金を請求されることになる


朝倉は追い詰められていた



1983年6月27日 午後2時45分頃

朝倉は大きなバッグを片手に平井さんの家にやって来た


平井さんの妻 「はい・・・」


朝倉 「立ち退きの件で話しに来ました」


平井さんの妻 「主人が出かけておりますので・・・

またあらためて・・・」



朝倉 「じゃあ中で待たせてもらうよ」


そう言うと朝倉は勝手に家の中に入っていった


平井さんの妻 「困ります! 帰ってください!!

警察を呼びますよ!!」



そのとき 朝倉はバッグに隠し持っていた金づちで平井さんの妻の頭を何度も殴打した


平井さんの妻 「ぎゃああ!!痛いっ 痛い!!


平井さんの妻を撲殺したとき

まだ赤ちゃんだった平井さんの次男が泣きながら母親のもとに近寄っていった


朝倉は赤ちゃんの背後から金づちを振り下ろした


さらに家にいた平井さんの三女の首を絞めて殺害


その後 朝倉は帰宅した平井さんの次女と平井さんも相次いで殺害


5人の遺体を風呂場へと運び解体を始める


あらかじめ用意しておいた道具は

電動切断機 包丁 ノコギリ 医療用手袋 ビニール袋


車も遺体運搬のために新たに購入したもので

ペーパードライバーの朝倉は事前に自動車教習所で運転の練習までしていた


このとき 平井さんの長女は林間学校で留守だったため 難を逃れている

『Wikipedia』
より



翌朝 隣家 (りんか) の主婦が急に連絡がつかなくなったという平井家の親族からの頼みで

家の様子を見にやって来た


すると 家の中から出てきたのは朝倉だった


朝倉 「この家の人はゆうべ引っ越しましたよ」


隣家の主婦 「ええっ そんな・・・」



主婦は朝倉の態度に不信感を抱き 警察へ通報


朝倉の犯行が発覚した



平井さんの家に駆けつけた警察官は 風呂場のその凄惨な現場には思わず絶句 (ぜっく) したという





再び 拘置所にて


朝倉 「こんにちは!!」


看守 「面会だ

いつもの市民団体の人たちだよ」



朝倉 「ありがとうございます!!」


ここでも朝倉は看守へのお辞儀を忘れなかった





市民団体との面会にて


市民団体の人 「私たちは死刑には絶対反対の立場ですから

一緒に戦って無罪を勝ち取りましょう!!」




面会後 房へと戻るとき 朝倉に区長が話しかけた


区長 「ああいう市民団体の人たちね・・・」


朝倉 「はい?」


区長 「あんまり会わない方がいいよ

ああいう連中と会ってると裁判の結果にも影響してくるから・・・」



朝倉 「!!

ほ・・・本当ですか!?」



区長 「ああ・・・ 本当さ

それに彼らは君を支援しようとしてるわけじゃない

自分たちの活動に利用してるだけなんだ」



朝倉 「・・・・・・」



その後 再び市民団体の人たちが面会に訪れたのだが・・・


市民団体の人 「会わないってどういうことです!!」


区長 「だから朝倉さんはあなた方とは面会したくないと・・・」


市民団体の人 「そんなはずはありません

先週も会ったんですから!」



区長 「とにかくそういうことですから・・・ お帰りください」


市民団体の人 「待ってくださいよ!」


市民団体の人 「こいつは権力の横暴 (おうぼう) だッ!!」


市民団体の人 「そうだ!! そうだ!!」






朝倉の房内にて


看守 「××番・・・ 俺がこんなことを言うのもなんなんだが・・・

遠慮なく面会していいんだぞ

これはお前の権利なんだから」



朝倉 「いえ いいんです もう会いません」


看守 「・・・・・・」


朝倉 「別に区長に言われたからじゃないんです

私自身が決めたことなんです」



看守 「そうか・・・ それならいいが・・・」



拘置所内での朝倉は模範囚 (もはんしゅう) そのものだった


どんな忠告でも素直に聞き入れ 刑務官には絶対逆らわなかった





1985年12月

東京地裁において死刑判決



1990年1月

東京高裁が控訴を棄却 (ききゃく)


裁判の展開は朝倉にとって厳しいものだった



1996年12月

最高裁は上告を棄却


朝倉の死刑が確定した





朝倉は死刑囚房へと移された


看守 「今日からここが××番の部屋だ」


朝倉 「ああ・・・ 前より広い部屋ですね

ありがとうございます!!」



朝倉は何度もお辞儀を繰り返した



死刑確定後も朝倉の態度は変わらなかった





その後 看守は別の死刑囚と会話した


別の死刑囚 「ありゃあ芝居ですよ 芝居!

あいつはただ死刑を免れたい (まぬがれたい) だけなんだ


それで心証 (しんしょう) を良くしようとしてあんな卑屈 (ひくつ) な態度をとってるんですよ」



看守 「世の中にはね・・・

自分の犯した過ち (あやまち) に気付いて深く反省できる人間がいるんだよ

お前なんかと違ってな」



別の死刑囚 「俺は死刑囚房に十年以上もいて何人もの死刑囚を見てきました・・・


いろんな奴がいましたよ・・・

死にたくないと毎日泣き叫ぶヤツ・・・

暴れるヤツ・・・

気が触れちまったヤツもいた・・・


だけど・・・ あんなバカ丁寧な態度の死刑囚なんて1人もいませんでしたよ



先生

あの男に殺人未遂の前科があるのをご存知ですか?」



看守 「殺人未遂・・・!?」


別の死刑囚 「雑誌で読んだんですが・・・ あいつは昔 親父の遺産争いでもめて・・・

実の弟の目ン玉をくり抜いたんです・・・


それで懲役3年を食らってるんです」



看守 「し・・・知らなかった・・・そうなのか・・・」


別の死刑囚 「そんなヤツが今度は一度に5人も殺して・・・全員をミンチにしたあとで・・・

後悔したり 反省したりするんですかね?」



看守 「・・・・・・」





2001年12月27日

朝倉の部屋に区長と看守がやって来た


区長 「本日 刑が執行されることになりました

お別れです」


看守 「・・・・・・」



朝倉に最後の食事が用意された・・・が


区長 「食べなくていいのかね?」


朝倉 「・・・・・・」


区長 「じゃあそろそろ時間だ・・・」


看守 「××番 今までのお前の態度立派だったぞ

最期までその態度で・・・」



看守がそう言ってうつむいていた朝倉の顔を見てしまった


狂気に満ちたその目を・・・





そして朝倉幸治郎に刑が執行された

享年66歳───





刑の執行後 看守は区長と話をした


看守 「朝倉のあの態度・・・ やっぱり演技だったんですかね・・・

死刑を免れるための・・・」


区長 「さあな・・・

だが・・・ あれが演技だったとしたら皮肉だな」


看守 「どういうことです?」


区長 「法務大臣だって人間だ・・・

いろいろと厄介なヤツの死刑執行のハンコは押したくないってことさ」


看守 「つまり朝倉のように従順で支援団体との交流も断つような模範囚は・・・

逆に最もハンコが押しやすいと・・・?」


区長 「俺にはこれ以上何も言えんよ・・・」


私が今回の内容を読みました際に考えてしまいましたのは 「何故平井さん (仮名) 一家は立ち退かなかったのか?」 という箇所でした 少しだけWikipediaさんより引用させていただきます
Wikipediaさんからの引用です

<引用させていただく前の注意点です>

Wikipediaさんでは 朝倉死刑囚のことは ”鑑定士”

平井さん (仮名) のことは ”賃借人” となっています


Wikipediaさんに載っています内容をそのまま引用させていただきますので

混乱しないようにお読みください


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鑑定士は当該物件に住む賃借人一家を相手に立ち退き交渉を始めた


旧地権者は賃借人一家の妻の父親であったが

賃借人一家は彼から立退料の吊り上げを要請されていたため 当該建物の占有を続けていた


鑑定士は立ち退きを求める裁判を起こすが 賃借人の

「裁判を取り下げれば立ち退く」

との言を受けて訴訟を取り下げた


しかし この賃借人の言葉は引き伸ばし工作であり

賃借人は取り下げ後も全く立ち退く気配を見せなかった


鑑定士は 逆に賃借人の息のかかったヤクザに脅されたことから

(実際には鑑定士の神経症からくる妄想であった)

精神的に追い詰められ 賃借人の殺害を決意し 5月下旬から一家殺害の準備をすすめた

何だか うーん・・・という感じです もしも立ち退きに応じていれば こんなにも凄惨な殺人事件は起きなかったのではないか? とも思えます だからと言いましても 朝倉死刑囚には同情はできませんが・・・ 本の内容をできるだけわかりやすく活字で書かせていただいたつもりですが 本の中では過去の事件も出てきました この事件は実際のところはどうなのでしょうか 本当に過去にもこのような恐ろしい事件を起こしていたのでしょうか 今回の内容で腑に落ちない気持ちが出るのは私だけでしょうか? 「死刑囚の最期 -生への執着編- 第一章 『死にたくない』」 と題しまして3名の死刑囚のことを書かせていただきましたが 第一章 『死にたくない』 は今回で終わりとなります 第二章『断末魔の女たち』 という題でして 題をご覧になられましたらおわかりいただけるかと思いますが女性死刑囚の内容になります これからも少しずつ記事の用意をしていきますので お読みになられてみてください

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後記

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そもそも、このストーリーのネタの元になったのは、「夢で見た」から。 高級マンションで、バイトで出会ったばかりの女子三人位で、お風呂に入る。 そこに、他の同僚たちがドヤドヤ予告なしに何故か部屋に入って来る。 何故かこの家は、自分が住んでいる。 その中の一人が非常に気に障る。 気にはなっているけど、気にしないようにしているが、そこから、逃れならない感覚になる。 夢では、服が脱げてそこでばっちり見らた。 けど、自分は、恥ずかしさを無視しして、その場を後にする。 その後、彼が自分の後について来るのだが、彼を否定しようと、逃げようと思っても、その人から何故が逃れられず…。 抱き締められて、心地よいとさえ思ってしまう…。 頭の中と、心の中と、自分の何の感覚を信じて良いのか、混乱、格闘する。 逃げるべきか、留まっても良いのか?留まってはいけない…。 ストーリーは展開する。 …服が脱げる要素は、ありえなさすぎるし、周りに人が居すぎたので、最終的にはカット。 それ以外は、謎、何故、どうして…という自分の問に、 理由づけ、肉づけから、ネタを付け加えて、ストーリーが出来上がっていた。 その時に、現れていたのは、夜の大きなガラス窓が印象的な、この、マンション。 「大きな窓」「夢」から、ネットで夢判断を検索した。   大きな窓が印象に残っている夢は、あなたがパッと気持ちが晴れるようなことや、ワクワクする楽しいこと  を求めていることを暗示しております。   それだけ現実が厳しく、辛い思いをしているのかもしれません。   貼り付け元 なるほど、納得。 現実は、全くこのとおりだった。 当時の私は、全くその通りの状態だった。 現実が、辛すぎて、夢を見たのだ。 気持ちが晴れるようなことや、楽しい事を心の底では求めていたのだ。 見るべくして、見ていた、自分が求めていたストーリーなのだなあ。 自分が生み出したストーリーなのだなあ。 と、納得。 辛い毎日の中、ストーリー展開だけがサクサク進んだ。 楽しみと言うか…止められなかった。 夢を見てから、ネタを起こし始め、3週間程度で全体のストーリーが、一節30ページ×3程度、合計9章で、ワードに書き起こされた。(合計300ページ程?) 最後の10章(番外編)は、ブログに載せた後出来上がった。 ここに出てくる、彼が、すごく理想な人に出来上がった。 名前は最後に決まった。 名前が決まって、ストーリーが改めて固まり、「草食男子と不幸女子」が少しずつ出来上がった。 最終目的の、ブログに載せる。 も、2014年に入った年越し後、さっさと実行してしまった。 長期の休みも、この機会しかなく、チャンスだったから。 未だに、近藤さんは、理想の人である。 この人は、かなり創られた人物になってしまっているのだが…。 しかし、近藤さんと、紗己子の関係は、現実的にも、理想である。 そういう感覚が実際に起こる事を期待もしているし、 同じ感覚を理想としている人が、他にもいると、期待したい。 二人のキャラで、ネタはまだ生まれそうなのだが…今後は、未定である。

舞田ひとみ、ダンスときどき探偵

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舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵 (光文社文庫)

舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵 (光文社文庫)

  • 作者: 歌野 晶午
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2010/07/08
  • メディア: 文庫
<裏表紙あらすじ> 焼け跡から金貸しの老婆の死体が発見された。体には十数ヵ所の刺し傷があり、焼け残った金庫からはお金も債務者の記録も消えていた! 事件を捜査する浜倉中央署の刑事・舞田歳三(まいだとしみ)。彼にはゲームとダンスが好きな11歳の姪・ひとみがいた。行き詰まった事件の謎を、彼女の何気ない言葉が解決へと導く。キャラクターの魅力と本格推理の醍醐味が詰まった傑作推理小説。 歌野晶午の作品なので、無条件に「買い」ということで、文庫化されたら即買ったんですが、この「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」に関しては実は、あまり気乗りしなかったんです。 というのも、タイトルやあらすじを見ていただくと、どうも探偵役が11歳の少女。で、親戚の刑事を助けて事件を解決する、というパターンに見えます。天才少女名探偵、というところでしょうか。 こういうパターンの作品、世の中にいっぱいあります。 正直、歌野晶午が書かなくてもいいのに、なんて考えたのです。こんな世間に溢れた平凡な設定の作品なんか書かずに、歌野晶午らしい捻った素敵な作品を書いてくれれば、と。 ところが第1話 「黒こげおばあさん、殺したのはだあれ?」 を読むとちょっと様子が違いました。 あらすじも、よく見返すと微妙な書き方がしてあります。 「行き詰まった事件の謎を、彼女の何気ない言葉が解決へと導く」 彼女が解決する、のではありません。彼女の言葉が解決へ導く、なのです。 つまり、舞田ひとみは事件を推理し、解決するのではなく、舞田ひとみが放つせりふに触発されて、舞田歳三が推理して解決するんです。 なので、タイトルには若干「偽りあり」と言わざるをえませんが、個人的にはかえってその方がよかった。 と同時に、これでシリーズを続けるのは大変だろうなぁ、と思いました。 というのも、事件と直接的に関係がなかったりする会話から毎回毎回ヒントを得る、というのはその結び付け方が難しいと思うからです。 ということで、俄然、このシリーズを読む興味は、事件の謎そのものもそうですが、ひとみのせりふと解決の結び付け方、になりました。双方の距離感が遠い方がおもしろい。それでいて、あまりに遠いと「いくらなんでもそれで解決にはたどり着かないだろう」と感じられて困ってしまう。この点からも、構想が難しい連作です。 幸い、続巻「舞田ひとみ14歳、放課後ときどき探偵」 (光文社文庫)も出ており、シリーズは順調なようです。 11歳の少女を探偵にしてしまうと、さすがに子どもに推理させるのはどうか、というような内容の事件は扱うことができません。現実には子どもの目に触れさせたくないような事件が溢れていても、それに直面させるのは酷だと読者として思ってしまいますし、直面しても大人の事情を推理させるのは無理を感じてしまいます。 ところが、本書の設定だと、そういった事件でも扱うことができるようになります。 その象徴的な作品として、第4話の「いいおじさん? わるいおじさん?」があります。 これがいちばんおもしろかったです。ひとみとのやりとりから真相への跳躍ぶりも抜群でした。 軽めの作品に仕上がっていますが、さすが歌野晶午と思える充実感でした。 「舞田ひとみ14歳、放課後ときどき探偵」 (光文社文庫)にも大きく期待します。
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