380 流行作家殺人事件
「オレ様化する子どもたち」 諏訪哲二 著
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
年末年始の休みで時間に少し余裕があって、久しぶりに教育関係の本を読みました。
いじめや学校現場を取り巻くニュースやテレビを見ると、何となく違和感があって(子どもに迎合しすぎみたいな)、前から気になっていたこの本を読みました。
著者は「プロ教師の会」代表(2005年発行の時点で)だそうです。
2001年に退職されるまで40年近く現場で子どもたちを見てきた人の意見では80年代に入ってから、子どもが変わったと確信しておられる。
子どもが「オレ様化」し始めたという。「学ぼうとしなくなり」「自分を変えようとしなくなった」
子どもが「生徒」として学校へ来て、まずは「従うべき」という姿勢がなくなって「個」として「この私」が受け入れるか受け入れないかを判断する。
教師と生徒が対等になる。
こういう子ども(生徒)の変化は、著者は教師とのコミュニケーションの点で、「等価交換」という言葉を用いている。
経済が豊かになり、何でもお金で換算することが一般的になる。子どもも「物を買う者」として自立していく。大人と変わらない資格を有するようになって、人と人とのコミュニケーションも共同体的なものから対等なものになっていく。
教師と生徒も共同体的(上下的)から"商品交換"的(水平的)な関係になっていく。
生徒とのそういうやりとりの解説は、説得力があって興味深く読めた。
この本を読むと、現場の(教師の)大変さがよくわかった。
「学ぶ」以前の家庭的なしつけのレベルや地域的な集団生活のやり方においても、再訓練せざるを得ないそうだ。
著者の「個性化」の前に「社会化」が必要、という考えには賛成だ。(でも、バランスも大切だと思う)。
個性はその社会化される過程で浮上してくるもの、というのも前に別のもので読んだことがある。
何でも子どもの欲望や意見を受け入れてきた親たちが、中学、高校受験が視野に入ってくると手の平を返したように、規制を加えようとする、という話に頷けました。(そういうので大人になって適応できなくなり、ひきこもりとかにつながっているのでは?)
後半は6人の教育論者の学校や子ども観についての著者の意見(批判)が書いてあり、いろいろな視点から参考になったり、考えさせられました。(批判しているけど、著者の見方も一面的な感じがあるように思う)。
この本を読んで、学校ではないが、自分の職場のことを思い出しました。
上司が年下というのもあるかもしれませんが、上司が部下に気を遣っているような雰囲気があります。(上司が仕事をしてもらう。部下は"してやっている"みたいな感じの時も)。
こういう雰囲気は初めてで、昔と変わったのか、たまたま自分の職場(部署)だけなのかわかりませんが、違和感を持っていました。
もう1冊借りました。
「教室内(スクール)カースト」 鈴木翔 解説 本田由紀 光文社新書
タイトルに興味を持って読みましたが、内容がなかった。
大学一年生を対象にした「これまでの学校生活の人間関係に関する回顧的調査」として男女5名ずつのインタビューなど、三つの調査が主な内容。
そういうものがあることは否定しないが、インタビューで話している人が少なすぎるし(アンケートも)、内輪の雑談といったものにしか読めませんでした。
得るものがなく、まともに読む気がなくなってしまいました。
特に教師は若手四人の男性だけで、もし、こういう教師に当たったら、不登校とかになる子に同情したくなりました。小学校の年代から、この子はこういう子みたいに決めつけて、教師として指導したり育てたりする気がないような人もいて、子どもがかわいそうになりました。
著者の「学校はそれほど強制されて行くような場所ではなくなっている」という意見(こういうことを書くこと)には危惧を抱きます。
第2章の「ハイパー・メリトクラシー」(「〇〇力」が重視されるようになった社会)で、学校でもそうした能力が重要視され、子どもたちがどの方向へ努力すればいいかわからなくなってしまう、という意見だけ頷けました。
陽だまりの彼女
再開、余計なお世話ではありません。
NOVA4 書き下ろし日本SFコレクション
気がついたらずいぶん髪が伸びていたので床屋へ行った。
で、帰ってきたら、突然くしゃみが出てきて、
さらに鼻水が止まらなくなってしまった。
どうやら風邪を引いてしまったらしい。
正月休みももう終わろうというのに大丈夫なんだろうか、私。
NOVA 4---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)
- 作者: 北野 勇作
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2011/05/07
- メディア: 文庫
評価:★★☆
書き下ろしの短編SFのアンソロジー、第4弾。
今回は9編入っているんだけど、今ひとつ好みに合うものが少なかったかなあ。
面白かったベスト3は以下の通り(目次順)
「ドリフター」(斉藤直子)
学校の守衛のおじさんと、学生の "僕" が見つけた古い官報の束。
ここから始まる、ユーモラスな会話が楽しいコメディ。
ラストはちょっぴりしんみり、かと思うと・・・
この人、面白いなあ。もっと書いて欲しいなあ。
「マッドサイエンティストへの手紙」(森深紅)
ヒロイン・円(まどか)が社外へ向けて発送した封筒が、
なぜか社内の研究棟へ届いてしまい、それが縁で円は
一風変わった研究者である "ドクター" 葉加瀬 と知り合う。
折しも、厳重なセキュリティに守られた社内の敷地から
一人の社員が姿を消す。
この "密室状態からの人間消失" に、円と "ドクター" 葉加瀬が挑む。
「探偵ガリレオ」よりはちょっぴり近未来を舞台にしたSFミステリ。
消失トリック自体はあまりスゴイとは思わないけど、
円と "ドクター" 葉加瀬(と "宇佐見ちゃん")のキャラがいいなあ。
もっとこの二人の話が読みたいって思わせる。
ぜひシリーズ化してほしいなあ。
「警視庁吸血犯罪捜査班」(林譲治)
10万人の吸血鬼(!)を "移民" として東京に受け入れ、
その労働力を活用している近未来の日本。まず、この設定がすごいね。
その吸血鬼の引き起こす犯罪を専門に取り扱うために設置された
警視庁吸血犯罪捜査班の活躍を描くSFミステリ。
吸血鬼が犯人と思われる連続通り魔殺人事件が起こる。
犯人の動機が意表を突くもので、この作品における吸血鬼の設定とも
密接に結びついていて、そこは良く出来てると思う。
でもシリーズ化は・・・しなくてもいいかなぁ。
他の作品についても一言。
「最后の祖父」(京極夏彦)は、昔よくこんな感じの話を読んだような気がする。
「社員食堂の恐怖」(北野勇作)はユーモア・ホラーかな。
(そんなジャンルがあるのか知らんが)
「瑠璃と紅玉の女王」(竹本健治)はSFではないと思う。
「赤い森」(森田季節)も、SF成分はかなり低め。
「宇宙以前」(最果タヒ)は、よくわかりませんでした。
「バットランド」(山田正紀)も、「宇宙以前」ほどではないけど
よく分からなかった。せっかくの山田正紀の新作なのに。何だか残念。
森博嗣「喜嶋先生の静かな世界」を読みました
今年は積読本をなんとか消化したいと、お正月から精力的に
読むぞ!と思っていたのですが、なんだかんだで思うように
はかどりません。
まぁ、マイペースで行くことにします。
年またぎでお正月読破した本の1冊目はこちらです。
喜嶋先生の静かな世界 The Silent World of Dr.Kishima (講談社文庫)
- 作者: 森 博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/10/16
- メディア: 文庫
某大学の先生ながら推理小説作家である森博嗣さんの
自伝的小説です。まったくミステリー風味なし。
主人公は、卒論を控えた工学部の4年生。
配属されたのが喜嶋先生の研究室で、その後の主人公の
人生に多大なる影響を及ぼしたのが喜嶋先生と研究室の人たち。
主人公は大学院へ進学し、研究生活を続けるのですが、その大学
での研究生活の描写がすごく面白いです。
喜嶋先生やほかの大学の先生の言動や行動もいろいろな意味で
興味深い。
時代の設定が少し前なので(たぶん森さんが学生の頃ですよね)
なんとなく時間の流れ方がゆっくりした感じに思えます。
喜嶋先生が実在したらぜひお話してみたいです
☆1冊目☆
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戦国の軍隊がわかる好著
土鍋
2013年12月の読果
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見仏記 ぶらり旅篇 (☆☆☆☆)
インダス文明の謎 古代文明神話を見直す
「なぜ会社は変われないのか」
なぜ会社は変われないのか―危機突破の風土改革ドラマ (日経ビジネス人文庫)
- 作者: 柴田 昌治
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2003/11
- メディア: 文庫