2013年の読書メーター読んだ本の数:114冊
読んだページ数:19467ページ
ナイス数:415ナイス
頭で走る盗塁論 駆け引きという名の心理戦 (朝日新書)の
感想ハードコアな内容なので,生半可な野球ファンにはお勧めできませんが、本当の野球ファン必読の書です。テーマを「盗塁」に限定し、その神髄を語る貴重な一冊です。生ぬるい内容のものが多い野球関連の新書の中では異色の存在です。近い将来、著者には一塁コーチとなってもらい、「世界一の1・2番打者」を育ててもらいたいです。野村克也監督が飯田哲也選手を生み出したように、著者であれば、必ずやダイヤの原石を発掘し、磨き上げてくれるはずです。日本球界のためにも、糸井選手のような大型選手を「完璧な一番打者仕様」に仕上げてほしいです。
読了日:12月30日 著者:
赤星憲広
驚きの英国史 (NHK出版新書 380)の
感想イギリス史(ヨーロッパ史)を知らない私でも,楽しく読める一冊でした。歴史上の幾つかの出来事をピックアップし,イギリスという国家およびその国民の一端を知ることができます。コリンの次回作に,期待しています。
読了日:12月30日 著者:
コリン・ジョイス
街道をゆく 31 愛蘭土紀行II (朝日文庫)の
感想前編(30巻)に続き,アイルランドという国家およびその国民の特殊性を鋭く分析しています。本書が出て30年近くが経ち,特に経済面においてアイルランドは大きく変化しましたが,彼らのメンタリティや国土は今も不変のはずです。著者も言うように,グローバル化が進むこの世界において,アイルランドのような自然が守られている国が現在も残っているいることに,私たち「地球市民」は感謝すべきかもしれません。アイルランドを通じて,「長い尺度でみれば,帝国主義という”収奪の機構”は決して儲からない」ことが示されたことに感銘しました。
読了日:12月30日 著者:
司馬遼太郎
街道をゆく 30 愛蘭土紀行I (朝日文庫)の
感想アイルランドを語る前にイギリスについて多くの紙面を費やしていますが,これはアイルランドという特殊な国を考える上で,イギリスについて考えることが絶対に必要だからです。この前編(30巻)では,イギリス国民の紳士性を高く評価し,アイルランド人の奇異な面を浮き彫りにする文章が目立ちましたが,これもすべて後編(31巻)への序章にすぎません。「街道をゆく」シリーズを読んだのは久しぶりですが,前後編を読み終え,「さすが司馬遼太郎!」と感心してしまいました。
読了日:12月30日 著者:
司馬遼太郎
アイルランドを知れば日本がわかる (角川oneテーマ21 A 101)の
感想「物語アイルランドの歴史」が途中退屈になってしまい,読了前にこちらを読み始めたのですが,正解でした。アイルランドのことを知りたいと思う人に,真っ先におすすめしたい一冊です。アイルランドの歴史や自然,アイルランド人の精神性などが,わかりやすい事例を元に説明されています。本書で最も注目すべきなのは,アイルランドとイギリスの関係から,韓国と日本の関係を分析している点です。元・アイルランド大使である著者の分析は,さすがに的を射ていると思いました。
読了日:12月30日 著者:
林景一
A05 地球の歩き方 アイルランド 2012~2013の
感想アイルランド訪問のために購入。アイルランドは,まさにヨーロッパの「辺境」の地でした。首都ダブリンを少し離れれば,そこには商業主義から切り離された美しい世界が拡がっていました。アイルランドをUKの影響圏と捉えていた私は,予想を大きく裏切られました。ロンドン,パリ,ミラノなど,都会の旅に飽きた欧州ファンの方は,ぜひ一度アイルランド訪問を検討してみてください。
読了日:12月30日 著者:
A03 地球の歩き方 ロンドン 2013~2014の
感想ロンドン訪問のために購入。12月のロンドンは昼が非常に短く(8時間程度),わずか2泊では有名どころをグルッとひと通り回りする程度のことしかできませんでしたが,本書で得た情報が役に立ちました。いろんな意味で一番印象に残ったのは大英博物館。「掠奪博物館」などと揶揄される場所です。本来,ここにあるべきでない「遺物」が「異物」に見えることしばしば。歴史的資料が素晴らしい状態で守られている点においては,大英帝国がやったことを高く評価できますが,それにしてもやりすぎ・・・と感じずにはいられませんでした。
読了日:12月30日 著者:
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 12/10号 [がんは放置すべき?]の
感想特集は癌治療。ベストセラー「医者に殺されない47の心得」の著者である慶応大教授は,「放置する」治療を提案している。悲しいことに,癌という病気は治療する・しないにかかわらず,いずれ苦しみを伴った死を招く。どちらの治療法が正しいかは神のみぞ知るところだろう。どういった問題にせよ,既成概念を打ち壊す概念が現れ,論争が発生すること自体は悪いことではないが,癌を現在抱えている患者には有益と限らない。今号の別記事にもあった遺伝子診断など,検査法や治療法が確立すればするほど,患者の悩みはむしろ深くなるのかもしれない。
読了日:12月10日 著者:
教えない教え (集英社新書)の
感想そもそもプロ野球という世界は,程度の差こそあれ「エリート」たちが集まった世界です。そのような世界と,玉石混交の一般社会を同一視すること自体に無理があると私は思います。ライターさんには,著者の経験や持論を深く掘り下げることにエネルギーを注いでもらい,一般社会との対比や重ね合わせは,あくまでも読者自身がおこなえば良いと私は思います。
読了日:12月6日 著者:
権藤博
財政学から見た日本経済 (光文社新書)の
感想再読。ここまで鮮明に「地方の切り捨て」を主張されると,もはや爽やかである。分析自体は極めて明快だが,どうしても結論(提案)に飛躍があるように感じる。しかし,著者の主張こそが小泉・竹中が取った改革路線の本質なのだろうし,また本書のレビューには読者による好意的なコメントが数多く並んでいるところをみると,多くの国民は著者の主張を素直に受け取るのかもしれない。本書は10年以上前に刊行されたものなので,現在の著者の意見は多少は変化しているのかもしれない。質の高い本だっただけに,同著者の新刊をぜひ読んでみたい。
読了日:12月6日 著者:
土居丈朗
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 12/3号 [アメリカも困惑する韓国の世界観]の
感想今号はかなり充実していた。特集は「韓国の世界観」。そこいらの嫌韓記事とは一線を画す素晴らしい内容であった。韓国の国家的反日意識の根底にあるものを,見事なほど明晰に論じている。記事を書いているロバート・E・ケリーという釜山大学の准教授は,実在の人物なのだろうか?これほどまでに「本当のこと」を書いてしまうと,「親日派」の烙印を押されて韓国にいられなくなるような気がする。准教授の身が心配である。特集以外では,宮崎駿氏の記事が印象に残った。アメリカ人記者の「ミヤザキ観」は,かなりいいところを突いていると思う。
読了日:11月30日 著者:
野球へのラブレター (文春新書)の
感想長嶋さんが国民栄誉賞を受賞されるずっと前に購入していたのですが,最初の数章を読んだところで積読状態にしていました。正直に言いますと,退屈な内容だなぁと感じつつ再読を開始したのですが,思ったより読み応えのある本でした。本書は月刊ジャイアンツの連載を再編集したものですが,長嶋さんに対する綿密なインタビューがなされていることを十分に感じます。この点はさすが読売グループのやることですね。長嶋さんには,これからも日本の野球を見守り続けていただきたいと思っています。どうかいつまでもお元気で・・・
読了日:11月29日 著者:
長嶋茂雄
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 11/26号 [不妊治療の新たな道]の
感想特集は不妊治療。「実の子供が欲しい!!」という切実な願いを持つ夫婦の気持ちは理解できるが,先鋭化?した不妊治療について知ると,どうも釈然としないものを感じる。不妊治療に限らず,最新医療は「神の領域」に踏み込んでいる。特にこの分野の議論が立ち遅れている我が国は,一刻も早く法整備をするべきだろう。この特集の中では,「オトコたちの責任」が興味深かった。不妊の原因はとかく女性にあると考えがちであるが,約半数は男性にあるとのこと。フランスのように,不妊治療はカップル同時で実施することを前提とするべきなのだろう。
読了日:11月29日 著者:
人間にとって成熟とは何か (幻冬舎新書)の
感想著者の思想や発言に反感を持つ人は少なくありません。本書を読んだ人の中にも,老人の戯言のように感じた人がいるのかもしれませんが,私は素晴らしい本だと思いました。本書は雑誌の連載をまとめたものですが,重すぎず軽すぎないという新書の良さが出た,時折読み返したくなる一冊です。著者の文章の特徴なのだと思いますが,各章の結言が割とあっさりしているので,何を言いたいのかわからない人も多いのかもしれません。しかし,タイトルにもなっている問いには十分に答えていると思います。私も著者のような人間になりたいものです。
読了日:11月24日 著者:
曽野綾子
本当は怖い昭和30年代 〜ALWAYS地獄の三丁目〜の
感想コンビニ本ですが,しっかりした文章で書かれている,なかなか充実した一冊でした。映画「Always3丁目の夕日」を観終わった後に抱いた違和感を,払しょくしてくれました。結局のところ,経済の安定が社会の安定をもたらすということでしょう。あの時代はとにかく貧しかった・・・ということに尽きるのですが,「これから良くなる」という期待感だけは大きかったはずです。そういう期待感を持てない現代とあの時代,生きるならどちらが良い?と尋ねられても,「絶対に現代!」とも言い切れないような気もします。
読了日:11月24日 著者:
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 11/19号 [中国への機密漏洩]の
感想特集は,中国への機密漏洩。現在,我が国でも国家の機密情報保護に関する話題が中心となっているが,ここで書かれているのは国家機密情報の漏洩に限らない。記事によると,中国は国家自身が産業スパイとなり,他国の民間企業の秘密を盗んで自国の企業に与えている。彼らは「サイバー空間にルールはなく,ハッキングによる盗みは法律的に問題なし」と考えている。同盟国にまで及んでいた監視問題によって,サイバー諜報活動の自由度を失ったアメリカは,今後どう対処してゆくだろうか。このままでは,世界が大混乱してしまうだろう。
読了日:11月19日 著者:
財政のしくみがわかる本 (岩波ジュニア新書)の
感想「財政」とは何かがわかる良書です。社会にはウォンツとニーズがあるが,ニーズは市場に任せてはならず政府が供給しなければならないこと,財政の目的は経済や社会の危機を解消すること,そのためには財政による所得再配分機能こそが重要であることなどを深く理解できました。「小さな政府(小さすぎる政府)」を否定し,地方分権の重要性を解く著者の意見に強く同意します。豊かな社会を築き,守ってゆくためには,民主主義こそが重要であることを改めて実感しました。
読了日:11月15日 著者:
神野直彦
Slugger (スラッガー) 2013年 12月号 [雑誌]の
感想2013年のMLBプレーヤー500人の「通信簿」。さすがに500名全員のコメントは読み切れない(苦笑)。MLBは30球団もあるので,好成績を残した選手であっても名前さえ知らなかった選手がたくさん見つかりました。セイバーメトリクスには賛否あるものの,数値を見比べながら選手の能力を比較するのはとても楽しいです。NPBの記録にも,せめてOPS,WHIP,K/BBぐらいは表記するようにしたらいいのに。このままでは,記録好きの野球ファンはどんどんMLBに流れてしまうような気がします。
読了日:11月15日 著者:
池上彰の就職読本―就職難もまたチャンスの
感想社会が要求する能力を論じることを通じて就活生の意識昂揚を目指した,就活本としては異端に属する本です。質の高いアウトプットをするためには,質の高いインプットが必要だと池上さんは言っています。インプットの具体例として読書を挙げていますが,それ以外もここに当てはまります。例えばアルバイトや部活動などの経験も,ひとつのインプットと言えるでしょう。そして,もちろん学業も。多くの若者はアウトプットにばかり気を取られ,インプットが疎かになっています。楽をしていては自分を磨けないことを,若者たちには知ってもらいたいです。
読了日:11月14日 著者:
池上彰
和田の130キロ台はなぜ打ちにくいか (講談社現代新書)の
感想迫力不足のフォームから投げ込まれる決して速くないストレートで打者を翻弄する,和田投手の直球の謎を解いた本。本書が導いた答えは特に斬新なものではなく,投球メカニクスに関する説明自体が控えめであるが,我ら素人にはこれぐらいの説明が適量だと思う。メカニクスをもっと深く知りたい人は,別の本(今ならば前田健氏の著作など)を読むべきだろう。多くのページを割いて,和田という「努力の人」が魔球を手に入れるまでの過程が丁寧に説明されているが,これがなかなか読み応えがある。ノンフィクションとして楽しめる一冊。
読了日:11月10日 著者:
佐野真
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 11/12号 [汚染水の真実]の
感想特集は汚染水。米の知識人による「厳しすぎる放出基準が問題解決を難しくさせている」という主張に納得。著者らは「適切なのは,労働力と資源を現在進行中の重要な作業の強化・促進に集中させること」と主張している。首相のリーダーシップに期待したい。「トリチウム以外の放射性元素を除去した汚染水は安全に放出できる」というバークレーの教授の主張も,科学的に正しいのだろう。トリチウムは自然由来のものもあり,生態系に対する影響は低く,他国の原発では福島の何倍・何十倍もの量を海に放出していると聞いたことがあるが・・・
読了日:11月9日 著者:
偏差値37なのに就職率9割の大学 (メディアファクトリー新書)の
感想「偏差値37なのに就職率『100%』の大学」というタイトルだったら絶対にスルーしていましたが,『9割』という現実的な数字のタイトルに目を奪われて購入しました。これは良書です。大学における就職指導の問題点の分析と対策が,実に明晰な構成と文章で記されています。地方の小さな文系単科大学で,これだけの結果を短期間で出すことは容易なことではありません。著者の情熱とアイデアがあってこそ成し遂げられた偉業です。教員が幅を利かせる大学という場所において,有能な事務職員がいかに大切な存在であるかを改めて認識させられました。
読了日:11月8日 著者:
堀口英則
甲子園の奇跡 斎藤佑樹と早実百年物語 (講談社文庫)の
感想タイトル通り,斎藤佑樹と早稲田実業野球部の100年を描いたノンフィクションです。斎藤,荒木,王,荒川,それぞれで1冊ずつ書けそうなところを1冊にまとめたわけですから,やや消化不良の感を持ちました。著者は,斎藤VS田中で沸いた平成18年夏以前から早実野球部の取材をしていたようですが,思いがけぬハンカチ王子ブームが起きたことにより,駆け足で本書を出版せざるを得なくなったのではないでしょうか。全体的に著者らしくない印象を持ちましたが,最初に和田監督,最後に小沢章一さんで締めるあたりは,さすが門田さんでした。
読了日:11月7日 著者:
門田隆将
「人間嫌い」のルール (PHP新書)の
感想思い込みや決め付けが強すぎる印象を持ちましたが,これぐらい独善的な人でなければ,こんなに面白い文章は書けないのかもしれません。しかし,女房も子供もいて60過ぎまで無事生きた人が,果たして本書にあるような人間嫌いな生き方をしてきたのだろうか?という疑念を持ちました。この人の場合,地位や名誉をどん欲に追い求めて生きてきたことの後悔や反動が,人間嫌いという形で現れたにすぎないような気がします。私のような,生育環境の中で醸成された純然たる人間嫌い?からすると,著者の人間嫌いのレベルは大したものとは感じません。
読了日:11月7日 著者:
中島義道
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 11/5号 [高齢化時代の仕事]の
感想特集は「高齢化時代の仕事」。我が国に限らず,長寿命化が進み,年金受給年齢の引き上げが進む先進諸国では,高齢者の雇用問題が大きくなっている。高齢者が働くこと自体,決して悪いことではない。しかし,それにより若者たちの雇用が脅かされるならば,それは大問題である。若い人の将来を大切にする社会を構築しなければ,社会不安はどんどん加速してゆき,国家は高齢者を支えるどころではなくなるだろう。自分たちの将来を守るためにも,若者たちはもっと大きな声を挙げるべき。まずは選挙に参加しよう,若者たち!
読了日:11月7日 著者:
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 10/29号 [アメリカ経済 危機後の落とし穴]の
感想特集はアメリカ経済。「今やるべきは債務上限の撤廃だ」という記事に納得。一国のルールに世界経済が振り回されるのは,もう御免こうむりたい。特集以外では,イランとシリアの記事が印象的だった。現時点で筋が通った主張をしているイランをこのまま捨て置くと,次はイスラエルやアメリカが国際的な非難を浴びるだろう。レバノンにおけるシリア難民の子供達。男の子は憎悪や復讐心に燃えて過激になり,女の子は幼な妻になるしかない。丸ごと1世代の教育が中断された状況は,この国の将来を大きく揺るがしている。我々にできることは何だろう・・・
読了日:10月29日 著者:
ベースボールマガジン増刊 MAJOR LEAGUE (メジャーリーグ) 2013記録集計号 2013年 11月号 [雑誌]の
感想日米通算4000本安打を達成したイチローを皮切りに,M.カブレラ,C.デービス,シャーザー,快進撃のドジャース,躍進のパイレーツ,ダルビッシュ,上原・田澤コンビ,A-Rod問題など,今シーズンの話題を効率的にピックアップし,うまくレビューしている点が高評価です。昨年の集計号の表紙はカブレラ・イチロー・ダルビッシュでしたが,今年の表紙はまるで昨年のコピーのような仕上がりになりました。3年連続首位打者のM.カブレラ,もの凄いスラッガーです。来年もまた彼が表紙を飾るのかな? それとも・・・田中将大か!?
読了日:10月25日 著者:
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 10/22号 [亡国のアメリカ 自壊する超大国]の
感想特集はアメリカ。「決められない政治」は日本の専売特許だと思い込んでいたが,実はそうでもないらしい。結局,「決めることができる政治」には経済の安定が絶対条件なのだろう。不況が続く現在,世界中で政治が揺れている。アメリカのプレゼンス低下を導いたオバマに懲りたアメリカ人は,次は共和党の大統領を選ぶと思っていたが,共和党は今回のチキン・レースでかなり株を落としてしまったようだ。となると,次も民主党,ヒラリー・クリントンか? それだけは勘弁してほしいなぁ・・・
読了日:10月24日 著者:
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 10/15号 [野心を失う 中国の行方]の
感想特集は中国。中国の話題はもはや食傷気味であるが,興味深い記事が多かった(進行を妨げることが目的のTPP参加検討,領土問題と無人機の関係,宇宙ゴミなど)。特集以外で目を引いたのは,ケニアのショッピングセンター襲撃事件の真相に関する記事。事件発生後,何時間も遅れて出動して建物を制圧した治安部隊が,なんと店内の物品を略奪して飲酒,ロケット弾で建物を崩壊させて行方不明者を増やし,さらに襲撃犯を逃亡させた可能性があるとのこと。誰が敵で,誰が味方なんだ!不謹慎覚悟で言うが,これはもはやコントの世界だろう・・・
読了日:10月21日 著者:
ベースボールの夢―アメリカ人は何をはじめたのか (岩波新書)の
感想アメリカ人がベースボールの歴史をどのように「創ったのか」を,詳細にたどった本です。コアな野球ファン(特にMLBファン)なら,十分満足できる一冊です。著名な社会学者がまとめた,学術的にも高く評価される著作だと思うのですが,とにかく文章がくどい・・・ ほぼ同じ内容の説明が何度も繰り返されるので,特に後半はストレスを感じました。ベースボールの起源がクリケットにあっても別に何ら問題はないと思うのですが,アメリカ人には耐えられないことのようです。彼らは「アメリカン・オリジナル」が大好きですからね。
読了日:10月20日 著者:
内田隆三
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 10/8号 [世界経済 金融危機後のリスク]の
感想東京五輪決定直後,フランス誌に三本の手足を持つ痩せこけた力士が相撲を取る風刺画が掲載されたことが話題になったが,本号最終ページのコラムでフランス人ジャーナリスト・アルノー氏が,それに対する意味不明の弁明をしている。果たしてフランス人は,あの程度の風刺画に満足しているのだろうか? もしそうであれば,私は彼らの知性やユーモアのレベルの低さに驚く。良い悪い以前に,洒落も皮肉も効いておらず,全然面白くないのだから。フランス人よ,Newsweek巻頭の風刺画を見てよく学ぶといい。
読了日:10月14日 著者:
動くが負け―0勝144敗から考える監督論 (幻冬舎新書)の
感想ハッキリ言って、これは酷い本です。読み応えがほとんど感じられない、典型的な「読み捨て新書」です。もっと岡田の野球理論を知りたいよぉ・・・
読了日:10月5日 著者:
岡田彰布
マネー・ボール (RHブックス・プラス)の
感想本書は単なる映画の原作小説ではなく,野球選手の能力を統計的手法で評価する「セイバーメトリクス」発展の歴史を描いた偉大なノンフィクションでもあります。大ざっぱに見えるアメリカ人ですが,実は大の記録(数字)好きでもあります。セイバーメトリクスの構築は,ベースボールに対する歴史も愛情も深いアメリカ人だからこそ成し遂げることができた偉業といえます。ただ,貧乏球団アスレチックスを支えるビリー・ビーンのことは尊敬するものの,娯楽としての野球を愛する者の一人として,私はセイバーメトリクスを全面支持することはできません。
読了日:9月29日 著者:
マイケル・ルイス
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 10/1号 [反日韓国の妄想]の
感想特集は反日韓国。今回の記事を読んでも特別な感情は湧いてこなかった。どうぞご勝手に。特集以外では,ドイツ関連の記事が興味深かった。アメリカをはじめとする世界は,欧州におけるリーダーシップの発揮を期待しているが,それに応えようとしないドイツ。経済的繁栄を謳歌しながらも,安全保障面の責任は負いたくないドイツ。そういえばどこかの地域にも,経済大国でありながら「平和憲法」を振りかざして国際紛争から目をそむけていた国がありました。あの国とドイツって,何かとよく似ていますね。かつての同盟国でもあるし・・・
読了日:9月29日 著者:
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 9/24号 [東京五輪]の
感想特集は東京五輪。日本に対する愛と優しさが溢れる,コリン・ジョイスの記事に感動。そうだコリン,あなたの言うとおりだ。この20年,日本人はあまりにも萎縮しすぎていたんだ。2020年の東京五輪は,日本が自信を取り戻すためのプロジェクトなんだ!
読了日:9月21日 著者:
「イギリス社会」入門―日本人に伝えたい本当の英国 (NHK出版新書 354)の
感想外国に長く住み,母国に関する知識や情報が失われゆくにつれ,母国を知ることが自らの権利であり義務だと考えたコリン。愛国的であることを否定していたはずの彼の心の中に,いつの間にか蓄積されていた母国への愛情が本書に溢れています。彼らイギリス人が,自国の歴史を大切にし,紳士的で(列への割り込みを許さない),パブ(ビール)とお茶を好み,よくわからないジョークを愛する国民であることが分かりました。かつては世界一の大帝国であった国の民にも関わらず,ちょっと自信を失っているところがチャーミングに感じられました。
読了日:9月18日 著者:
コリン・ジョイス
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 9/17号 [雑誌]の
感想特集は富士山。世界文化遺産登録が引き起こすであろう問題を指摘した記事に,大噴火のXデーに関する記事が続く。江戸期と平安期の大噴火も大地震後に発生したことから(平安期の大地震は,1000年に一度の大津波を起こしたあの貞観地震),東日本大震災との関連が不気味に想起される。大噴火により発生する大量の火山灰が引き起こすパニック状態と経済的損失は,「想定外」を知ってしまった我々の想像さえ遙かに超えるかもしれない。どうか富士山,お願いだからこれまで通り,日本人に愛される存在でいてくれ・・・せめて2020年までは・・・
読了日:9月17日 著者:
新書365冊 (朝日新書)の
感想私が敬愛する評論家・宮崎哲弥氏による,365冊の新書の解説本。テレビやラジオでの明快な評論ぶりが光る著者ですが,文章は難解。遅読の私は読了に一年半を要しました。本書は月刊誌の連載を単行本化したものですが,著者はこの連載のために月に100冊読むこともあったとのこと。うらやましい限りの多読ぶりです。最終章における「最近発刊される新書は『入門書』ならぬ『門前書』ばかりという嘆きは,新書を愛する著者ならではの警告です。「新書の読み捨て単行本化」が極度に進むことがないよう,新書ファンのひとりとして願います。
読了日:9月16日 著者:
宮崎哲弥
ネットがつながらなかったので仕方なく本を1000冊読んで考えた そしたら意外に役立った (ノンフィクション単行本)の
感想タイトルを見て即買いしましたが,あまりスッキリしない読後感です。それはきっと,本書が書評的な内容だったからでしょう。堀江氏の視点は非常に興味深いのですが,本書で取り上げたトピックには若干の偏りがあり,タイトルの裏図けとなるような内容がやや欠けているという印象を持ちました。第一部も面白かったのですが,成毛眞氏との対談が掲載されている第二部の方に読み応えがありました。「本」にまつわる彼らの予言は,かなり信憑性があるように思います。今後この人たちに注目していて,我々読書人が損をすることはないでしょう。
読了日:9月13日 著者:
堀江貴文
聴くだけ日本史(近現代)の
感想読んでいません。聴くだけ。知識が頭にスラスラと入っているわけではありませんが,「なるほど,そうだったのか」と感じることしきりです。この「聴くだけシリーズ」は,とてもよい企画だと思います。ほぼ全てのシリーズを買い揃えてしまいました。
読了日:9月13日 著者:
東京大学受験日本史研究会
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 9/10号 [雑誌]の
感想特集はシリア。内戦に至った経緯が非常にわかりやすく解説されている。シリアを攻撃する・しないに関わらず,優柔不断さや八方美人ぶりが目立つオバマに対し,アメリカ人は失望するだろう。特集以外では,インドに関する記事の「若年人口の高さを強みにできるのは,若者を訓練・教育して雇用を創出できればの話し」という識者のコメントが印象的であった。明治期と大戦後,日本が奇跡的な成長・復活を果たすことができたのは,まさに国民の教育水準の高さにあった。インドや中国といった大国も,この点がネックとなって踊り場を迎えるのだろう。
読了日:9月9日 著者:
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 9/3号 [中国経済終末論]の
感想特集は,いよいよ高度経済成長の着陸点を迎えようとしている中国経済。記事の中では,「国のことなんか知らない,自分がうまくいけばそれでいい」という,中国人労働者のコメントが印象的であった。彼は「人生に過度な期待を抱いていない。もう家は建てたから,あとは経済の流れに身を任せるだけ。大事なのは生き抜くことだから」と続けている。この言葉はある意味において,人生の本質を付いている。さすが中国人,混乱の中を逞しく生きてきただけのことはある,と思わず感心してしまった。
読了日:9月9日 著者:
スカウト (講談社文庫)の
感想広島カープの黄金時代を支えた名スカウト・木庭教氏の最晩年の3年を追ったノンフィクション。ストーリーが淡々と進むこのような作品が「売り物」として十分に成立していた贅沢な時代を,懐かしく思い返しながら読む。昔のプロ野球のドラフト会議には夢が一杯詰まっていたが,それはドラフトの空間に,一年中全国を行脚する木庭氏のようなスカウトの努力の結晶が詰まっていたからであろう。今の時代,スカウトを題材とした作品は成立しにくいと思うが,それは商業的な理由ではなく,プロ野球の魅力が失われているからだろう。
読了日:9月3日 著者:
後藤正治
ボクシング現役世界チャンピオン「孤高の軌跡」 (別冊宝島)の
感想横浜光ジムの記事を読みたくて購入。多くの記事がボクシング界で著名な取材者によって書かれた,充実の一冊。長谷川穂積選手を巻頭に持ってきた辺り,この雑誌の心意気を感じる。最終章に「こうしてボクシングで一冊の本を作っても,採算がとれるかどうか非常に微妙なラインなのだ」と書かれているように,ボクシングを取り巻く環境は非常に厳しい。質の良い試合を見るためには試合会場にお金を落とし,質の良い情報を継続的に得るためには質の良い雑誌を支持し続ける。それこそが,真のファンに求められる姿勢だろう。
読了日:9月1日 著者:
甲子園への遺言―伝説の打撃コーチ高畠導宏の生涯の
感想伝説の打撃コーチ・高畠導宏さんを描いたノンフィクション。当時子供だった私は,現役時代の実績が乏しい高畠さんが長くコーチを務めていることが不思議でした。しかし本書を読み,多くの名選手達の陰に高畠さんがいたことを詳しく知りました。「打撃とはこうあるべきだ」という確固たる理論を持っていても,それを選手に押し付けることなく,敢えて欠点を直そうとせず長所を伸ばそうとする「高畠理論」は,スポーツにおけるコーチングのみならず,すべての教育に共通する理想の「教育理論」なのだと思います。球界は惜しい人を失いました。
読了日:8月31日 著者:
門田隆将
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 8/27号 [雑誌]の
感想特集はエジプト。シシ将軍に関する記事は精力的な取材に基づいて書かれたものだが,このベールに包まれた独裁者の人間像はまだはっきりとしない。特集以外で印象残ったのは,ロバート・キャパとゲルダ・タローの写真。沢木耕太郎さんが今年発表した「キャパの十字架」を読みたくなった。福島の記事では,在日米軍を撤退させることによって東アジアの軍事バランスが崩れても構わないとアメリカが考えていたという事実に驚いた。同盟関係なんて所詮その程度のものであり,好むと好まざるとにかかわらず,自国は自国民で守るしかないということだろう。
読了日:8月30日 著者:
日銀を知れば経済がわかる (平凡社新書 464)の
感想池上さんらしい,起承転結の効いた構成の,初学者向けの本です。日銀という組織とその役割を論じることを通じて,金利水準の決定が経済にどのような影響を及ぼすのかが,大変わかりやすく,そして丁寧に説明されています。この本でさえ難しいと感じる方もいるでしょうが(何を隠そう私もそのひとりです),読後に何かを学べたという感触さえあれば十分だと私は思います。本書は,私たちの「はじめの一歩」として素晴らしい役割を果たしてくれるでしょう。関連書籍を読み続け,少しずつ知識を積み重ねてゆくことが大切です。焦らず,焦らず・・・
読了日:8月25日 著者:
池上彰
そうだったのか! 中国 (そうだったのか! シリーズ) (集英社文庫)の
感想池上先生の「そうだったのか!」シリーズをこれで完読しましたが,他のシリーズに比べ,本書は内容があまりにも陰鬱であり,どうしても早く読み進めることができませんでした。本書は2007年刊行の単行本を2010年に再編集したものですが,中国を知るための入門書としては今でも絶好の参考書のひとつです。中国の抱える問題の原因が,ほぼ全て非民主的な国家運営にあることを浮き彫りにしています。中国の方には大変申し訳ありませんが,隣国としては極めて厄介な存在であることを再認識しました。
読了日:8月20日 著者:
池上彰
正々堂々と「公共事業の雇用創出効果」を論ぜよ―人のためにこそコンクリートをの
感想ここまで清々しく公共事業の重要性を解いた本に巡り合ったのは初めてのことでした。研究者というだけでなく,物書きとしての著者の力量の高さを強く感じる一冊でした。
読了日:8月20日 著者:
藤井聡
死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日の
感想死の淵を見た男「たち」の闘いを描いた,迫真のノンフィクション。「戦争を経験した大正生まれの人々を『他人のために生きた世代』,そして現代の日本人を『自分のためだけに生きる世代』」と著者は最後に表現したが,吉田所長以下,福島第一原発で戦った人々はまさに「他人のために生きた」人々である。事故を未然に防ぐことができなかったことは大いに悔やみ反省すべきであるが,現代の日本人の中にも,絶望的な場面において利他的に生きるメンタリティが今も棲みつづけていることを改めて確認できた。多くの人に薦めたい,感動の一冊。
読了日:8月16日 著者:
門田隆将
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 8/20号 [日本を極める]の
感想特集は「日本を極める」。日本文化に深く傾倒している外国人に関する記事は興味深い内容ではあったものの,特に新鮮味はなかった。「外国(人)から見た日本」を知ることは大切だが,若干食傷気味。私はNewsweek誌に対して国際情勢の新鮮な情報提供を期待しているので,日本関係の特集号に対する満足度はどうしても下がってしまう。特集以外では,がんの重粒子線治療に関する広告記事に珍しく興味を持った。患部をピンポイントで攻めることができる治療法として注目されているが,その施設が体育館級の大きさだったとは!!
読了日:8月15日 著者:
プロ野球スカウトの眼はすべて「節穴」である (双葉新書)の
感想90年後半のスワローズ黄金時代を支えた名スカウト・片岡宏雄さんの著書です。アマ選手と球団の間の裏金のやりとりを暴露するなど,選手獲得競争のインサイド・ストーリーを生々しく描いています。プロ球団にとって極めて重要なスカウトという仕事が,もっと評価されるべきであることを再認識しました。著者も指摘しているように,現在は「育成枠」という魅力的な制度があるのですから,スカウト諸氏には是非,プロで活躍することを夢見る野心的な若者を数多く発掘してもらいたいと思います。日本プロ野球の人気復活の鍵は,必ずここにあります。
読了日:8月15日 著者:
片岡宏雄
聴くだけ世界史(古代~近代へ)の
感想文字は読まずに2回聴きましたが,「政治経済」とは違って全然頭に入りませんでした。歴史を理解する(覚える)には,ヨコの糸とタテの糸を紡ぐような作業が必要です(それが歴史の受験勉強の難しいところです)。しっかり読みながら何度も聴き返すことにします。歴史を学ぶこと自体は楽しいのですが,歴史の受験勉強はそれほど楽しいものではないなぁと,かつて地理を選択した理系人間の私は思います。しかし,歴史を学ぶ機会をみすみす失ってきたことを今更ながら後悔していますが・・・。
読了日:8月9日 著者:
植村光雄
メジャーで勝つ―日本人ピッチャーの心技体 (ベースボール・マガジン社新書)の
感想この本のターゲットは,野球ファンではありません。将来,メジャーリーグで投げることを目指している人に向けて書かれたものです。実質100人にも満たない?と思われる読者に捧げられた本だと思うと,天晴れベースボール・マガジン社!凄いぞベースボール・マガジン社!と叫びたくなります(笑)。さらにこの本,ライターさんが書いたものではないような気がしました。プロの文章ではないと思われる箇所が随所にありましたが,もしこれが長谷川さんご自身の文章であれば,さすがに秀才と噂される方だけのことがあります。
読了日:8月9日 著者:
長谷川滋利
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 8/6号 [3Dプリンターが創る未来]の
感想特集は3Dプリンタ。インクジェットプリンタのように素材を吹き付けながら成型する3Dプリンタの長所は,何といっても成型の自在性と精度の高さにある。私は10年近く前に3Dプリンタのデモに立ち会ったことがあるが,あの頃は吹き付け素材には樹脂しかなかったと思う。それが今やアルミと同程度の強度を持つ素材も使えるようになり,その用途と実用性は飛躍的に上がった。「(3Dプリンタを取り巻く)雰囲気は70年代のパソコン革命初期に少し似ている」と記事にはあったが,それも大袈裟な表現ではないかもしれない。
読了日:8月6日 著者:
聴くだけ政治・経済の
感想読んでません。通勤中の車の中で付録CDの音源(MP3)を聴いただけです。しかし,聴くだけでも8時間掛かります。おじさんになってから高校の勉強をやり直したいと考えるようになった私にとって,この本はまさに長きにわたって求めていたものです。もちろん,聴いただけで多くを覚えられるわけではありませんが,高校の政治経済の内容を大まかに把握するには絶好の参考書であり,音源です。一度聴き,二度目は読みながら聴き,そして三度目以降は聴き続けようと思っています。別のシリーズ(日本史や世界史,倫理)も購入予定です。
読了日:8月3日 著者:
大塚哲
悪韓論 (新潮新書)の
感想堤未果氏の名著「ルポ・貧困大国アメリカ」に対する一般読者の書評の中に,「その気になれば,『ルポ・絶望大国日本』だって何冊でも書けるはず」というものがあった。それを読んだ時,私は思わず膝を打った。どの国にも光と闇があり,闇の部分をクローズアップしたならばその国の醜い部分は浮き彫りとなる。本書は韓国の歪んだ部分を見事に切り出しているが,これを読んだからといって韓国を必要以上に卑下したり,日本の底力を過信すべきでもない。読み方を選ぶ本だと感じた。興味深い本ではあったが,期待以上というわけではなかった。
読了日:7月31日 著者:
室谷克実
ヘルタースケルター (Feelコミックス)の
感想映画を見たわけでもないのに,「沢尻エリカはこの役をやるために女優になったのではないか?」と思うぐらい,りりこと沢尻のキャラクターが重なって見えた。私はマンガを読み慣れていないので作品の良し悪しを判断する能力も資格もないが,これは良い作品ではないでしょうか。りりこの人間臭さは嫌いじゃないです。
読了日:7月31日 著者:
岡崎京子
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 7/30号 [再考:安倍晋三]の
感想特集は安倍晋三総理大臣。噂される在日朝鮮人社会や宗教との関係について踏み込んだ記事は興味深く,その他の分析記事も良かったが,表紙を含む写真の選定に若干の悪意を感じる。「安倍が経済の再浮揚策に集中しているのは,安定した暮らしがなければ国民が『誇りの回復』になどに見向きもしないことを学んだからだろう」という見解は,的を射ている。安倍総理の真価が問われるのは,まさにここからである。現在の選挙システムを鑑みれば,自民党は決して「フリーハンド」を得たとはいえない。これからの安倍総理の手腕に,大いに期待したい。
読了日:7月28日 著者:
そうだったのか! 日本現代史 (そうだったのか! シリーズ) (集英社文庫)の
感想素晴らしい。素晴らしすぎます,池上さんの「そうだったのか!」シリーズ。歴史の教訓から学ぶことの大切さと,その教訓を活かすことなく過ちを繰り返す愚かな人間の存在を,池上さんの豊かな文章力が改めて浮き彫りにしてくれます。このシリーズは,ノンフィクションの歴史小説といっても過言ではありません。今では超多忙な池上さんですが,このシリーズの続編を書いてもらいたいと願わずにいられません。またいつか,ゆっくりと読み返したい一冊です。
読了日:7月26日 著者:
池上彰
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 7/23号 [TOEFL時代を制する英語術]の
感想「世界一英語が苦手な日本人へ」という特集のタイトルは決して大袈裟ではない。北朝鮮人にさえ及ばないと言われる日本人の英語の問題は,「使えない」点に尽きる(文法力に限れば,日本人の能力は決して低くないと私は思う)。記事にも書かれているように,多くの日本人は議論についてゆくスキルを持ち合わせていない。「英語が話せない」のではなく,「英語で話す内容(事柄)がない」ため,せっかくの会話の機会をみすみす無駄にしている。これはTOEFL義務化程度で解消できるような小さな問題ではない。原因はもっと根本的なところにある。
読了日:7月26日 著者:
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 7/16号 [雑誌]の
感想今号は特集以外にも興味深い記事が多かった。まず,韓国の原発問題の深刻さを改めて認識した。先日,ラジオの討論番組で,日米・仏の企業を振り切って韓国がアラブの国との原発建設契約を勝ち取った背後にある「かなり強引な条件」について触れていた。人のことを言える立場にないかもしれないが,この国は本当に原発を制御できるのだろうか・・・と疑いの目を向けてしまう。その他には,あのアメリカでもスポーツ選手が笑わない現象が起きているという記事や,偉大な人物と心の病の関係に関する記事,レイプ被害者に関する記事も興味深かった。
読了日:7月22日 著者:
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 7/9号 [雑誌]の
感想特集は,LCCの参入により成長を続けている航空業界。アメリカのLCCに乗るたびに,CAのラフな服装とサービスに驚かされますが,それは飛行機という交通手段がもはや庶民のものとなったことを示しています。最近は事故率もかなり下がっているらしく,毎日飛行機に乗ったとしても事故に遭うには13,500年以上かかる計算とのこと(確率1/500万)。しかし,そのことを知っていても離着陸時にはいまだに緊張する私・・・
読了日:7月8日 著者:
これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)の
感想複雑化する社会の問題点の深層を解くためは,かくも複雑な分析が必要であることを思い知らされました。翻訳家の技量と能力に驚嘆。心から敬意を表します。しかし・・・読み終えるのにこれほど時間を要した本はありませんでした。おかげで,ここ2か月の読書量がグッと減ってしまいました。
読了日:7月3日 著者:
マイケルサンデル
プロ野球を殺すのはだれだ (ベースボール・マガジン社新書)の
感想「週刊ベースボール」誌上で「オレが許さん!」の連載が始まった1993年当時,私は週ベの熱心な読者でした。切れ味が鋭いばかりでなく,野球への愛情に溢れた豊田さんの評論を読み,私はたちまち彼のファンとなりました。あれからずいぶん月日は経ちましたが,本書を通じて豊田さんが今も健在であることを知ることができ,本当に嬉しかったです。本書の帯には「10年後への遺言」と書かれていましたが,豊田さんにはこれからも,厳しくも温かい評論を続けていただきたいと心から願っています。
読了日:6月30日 著者:
豊田泰光
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 7/2号 [雑誌]の
感想特集は中国経済。この国の経済成長が減速し,金融システムの大混乱が現実のものとなりつつある理由を,わかりやすく解説している。我々日本人は,バブル経済の崩壊とリーマンショックという2つの大きな波を経験したが,第3の波がすぐそこまで来ていることを強く認識しなければならない。この問題が恐ろしいのは,経済問題だけに限らない点である。バブル経済の崩壊はこの国全体を大混乱に陥れ,東アジアの平和を乱すことにも繋がりかねない。中国にせよ韓国にせよ,経済的な豊かさだけを急ぎ求めたツケが,ここ数年のうちに噴出するのだろう。
読了日:6月29日 著者:
メジャーリーグのWBC世界戦略 (PHP新書)の
感想これもまた「看板に偽りあり」な新書。タイトル通りの内容を期待する人にはお勧めできません。MLBのWBC戦略について書かれているのは最初と最後の章だけといっても構いません。著者はおそらく,WBCを語る前にMLBの基本的な経営戦略について説明する必要があると考えたのでしょうが,それならば岡田功著『メジャーリーグなぜ「儲かる」』などの方がずっと深く踏み込んで書かれています。著者の他の作品の書評に厳しいコメントが並んでいるのを知っていましたが,一冊読み終えてみて,なるほど・・・と頷いてしまいました。
読了日:6月26日 著者:
古内義明
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 6/25号 [雑誌]の
感想ネット社会の成熟が,国家の安全と個人のプライバシー保護が二律背反となり得る難しい状況を生み出している。「実のところ現代人の多くは,世界最高レベルの盗聴器(つまりスマホ)を四六時中持ち歩いているようなものだ」という一文が印象的だった。スマホが高機能になるほど,プライバシーが侵害される可能性が高まる。「悪いことをしなければ大丈夫」などと悠長に構えているわけにはいかなくなる日も近いだろう。政府や企業・団体が,メタデータと呼ばれる「情報の情報」を収集・分析することの危険性も強く認識した。
読了日:6月25日 著者:
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 6/18号 [アベノミクス 次の局面]の
感想特集はアベノミクス。ピーター・タスカという英国人経済評論家による記事は,経済に詳しくない私でも理解できる内容だった。アベノミクスをやや過大評価しているような気がしないでもなかったが,著者は日本国民に対し,長い目で安倍首相の経済政策を見守りなさいと訴えていると読み取った。特集以外では,中国の企業によるアメリカの豚肉生産企業買収の記事に着目。他国の国内産業や食の安全保障を散々破壊しまくっているアメリカであるが,自国に対する外国の侵略に対してナーバスになっている。滑稽という言葉以外,思い浮かばない。
読了日:6月20日 著者:
野球と余談とベースボール (マイナビ新書)の
感想大塚晶文投手とともに過小評価されている元日本人メジャーリーガー,田口壮の著書です。軽妙で楽しい文章は期待通りのものであり,飽きることなく最後まで楽しく読むことができました(もう少し専門性の高い内容だったらさらに良かった・・・)。苦労を重ねた末にMLBの強豪チームで名脇役として成功を収めた著者ですが,日本野球に対する愛情は並々ならぬものがあります。最終章の提言は非常に多くの示唆に富んでいます。発言者として,そして指導者として,今後の著者の活躍に大いに期待します。
読了日:6月15日 著者:
田口壮
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 6/11号 [雑誌]の
感想「いわゆる従軍慰安婦問題」の経緯について,特集記事は比較的客観的に書かれていると感じた。しかし,この特集記事を書いた同じ編集者による最終68ページの編集後記が非常にいただけない。「アメリカの良識的な人は『黒人奴隷は建国に必要だった』とは決して言いません」だと?? だったらアメリカ人の腹を掻っ捌いてみたらいいい。「原爆投下は戦争終結のために必要だった」という言葉が噴出してくるだろ? アメリカ人はそんなに良識的なのか? 周辺の「平和を愛する諸国民」は良識的なのか? 答えてみろよ,Newsweek!!
読了日:6月15日 著者:
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 6/4号 [雑誌]の
感想特集は,マンUを去る名将ファーガソン。彼を理解するキーワードは「ヘアドライヤーと父親」。熱くて激しいが父親のような愛情をもった監督ということだろう。彼はチームを「バス」に例え,選手に規律を求めたという。言い換えれば,選手にプロとしての自覚を強く促すということだろう。日本では,プロ選手に規律を求めることは良くないことのように言われることがあるが,私はそれに与しない。プロ意識の高い集団には強い規律が必ず存在する筈である。代表チームに対して本田圭佑が言わんとしていることも,そこにあるのではないだろうかと思った。
読了日:6月9日 著者:
僕のメジャー日記の
感想「(ドームで野球をすることが当たり前となっている)環境で,一番損をしているのはファンの皆さんだと思うんですよ。僕たちプレーヤーも,もっともっとギリギリのプレーをしたいし,ファンの皆さんもそれを見たいと思っているはずです。そのためにはやっぱり,そういう環境面は必要だと思います。ヤンキースタジアムをはじめとしたアメリカの球場を見て,プレーしてきて,その部分は痛感しましたね。」という松井さんの発言に強く同意します。選手を消耗させる人工芝の問題を解決しない限り,日本の野球がメジャーを超えることはないと断言します。
読了日:6月9日 著者:
松井秀喜,鷲田康
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 5/28号 [雑誌]の
感想ロバート・E・ケリーという釜山大学の准教授の記事が興味深かった。アジアを見下すような姿勢は気に入らないが,言っていることは至極まともである。「(日韓が)紛争に発展すれば,アメリカは日韓のどちらにも味方せずアジアから出てゆくだろう」と彼は言う。後半部はいざ知らず,前半部は正しいだろう。特に韓国は,日韓が軍事衝突した際にアメリカは自分達に加勢してくれると信じているだろうが,アメリカはそれほど甘い国ではない。つまりケリーの言うとおり,我々は「自分たちの安全保障に自分たちで責任を持つこと」が大切ということである。
読了日:6月1日 著者:
逆風に立つ 松井秀喜の美しい生き方の
感想松井選手が私たちファンに与えてくれた数々の感動シーンを思い返させてくれました。世にあまり知られていない裏話も満載です。しかし・・・この本は2007年に刊行された本の焼き直しのため,特にヤンキースを退団して以降の内容が手薄で,引退を決断するに至った本人の心境に関する記載はほとんどありません。引退表明直後に刊行が発表されたことで期待が大きかったのですが,残念ながら期待外れの面も多かったです。松井選手と交友関係の深い著者による「続編」に期待したいです。
読了日:5月26日 著者:
伊集院静
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 5/21号 [日本人が知らない 村上春樹]の
感想特集は「日本人が知らない村上春樹」。外国人による村上春樹評は,非常に的を射ているように感じました。特にアメリカ人作家による,「とうに過ぎ去っていたと考えていたものが,実は過ぎ去っていなかったという感覚をもたらしてくれる小説」という評論に納得しました。平穏な日常を突き破って現れる非日常の世界をみせる村上作品の魅力の本質を見事に突いています。彼のファンの一人として,村上作品が世界中で愛されていることを誇りに思います。彼がノーベル文学賞を受賞する日を,私はひたすら楽しみにしています。何年でも・・・
読了日:5月18日 著者:
高校野球「裏」ビジネス (ちくま新書)の
感想高校野球(と少年野球)の闇に迫った意欲作ではあるが,ミスマッチなタイトルだと思った。このタイトルに内容を合わせるべく第1章・第2章に刺激的な内容が記されているが,中盤はトーンダウンしている。後半に再び盛り上がりを見せているだけに,構成のアンバランスさを感じずにはいられなかった。「裏ビジネス」は副題とするべきだったのではないだろうか。
読了日:5月12日 著者:
軍司貞則
新島八重: 波瀾万丈――幕末のジャンヌ・ダルク (学研M文庫)の
感想京都に移り住み新島襄と結婚する前のエピソードは,ほぼフィクションではないだろうか? おそらく,彼女の前半生を語るには情報が不足しているのだろう。福島生まれの凛とした女性ということで,必要以上に神格化されているような気がしてならない。新島八重の生涯についてあれこれ言いたいわけではなく,歴史を誇大化しようとする作用に対して嫌悪感を覚えずにはいられない。
読了日:5月12日 著者:
中江克己
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 5/14号 [雑誌]の
感想特集は「歌舞伎」。興味深い内容だったが,Newsweekで日本の話題を特集されるとどこか興ざめしてしまう。特集以外ではロボット兵士開発の記事が印象的だった。この記事は,「ロボット兵士は倫理・法律面で『一線を越える』兵器」と指摘している。だったら通常兵器は『一線を越えない』殺人兵器なのか?とツッコミを入れたくなる。しかしこの記事を読むと,確かに自立型ロボット兵士は人類に対して恐るべき存在となる可能性も理解でき,何らかの形で禁止・抑制するべきものであることがわかる。アニメの世界の戦争は,もう目前にあるようだ。
読了日:5月12日 著者:
本当に「英語を話したい」キミへの
感想タイトル通り,「本当に」英語を話したい人々への素晴らしい贈り物となる一冊です(『芸能人本』的な装丁が軽薄なイメージを若干醸し出してしまっている点は残念)。留学中の若者や,目的を持って外国語を学ぶビジネスマンなど,志の高い学習者ならば,川島選手の言葉の一つ一つの重みが理解できるはずです。これから海外に出ようとする若者には,現時点では十分に理解することはできないかもしれませんが,いつの日か本書が彼らの「座右の書」となるかもしれません。Go for it, young men!
読了日:5月4日 著者:
川島永嗣
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 5/7号 [雑誌]の
感想特集は映画。世界各地の映画が興味深い文章で紹介されている。いつの日かこの特集を読み直したい。特集以外では,銃規制が否決に関する記事とテロ対策の記事が印象的だった。銃規制を否決した米下院に対する批判の鋭さには,リベラルなNewsweekらしさを感じた。諜報能力をかなり失いつつあるアメリカは,無人機を用いて低~中レベルのテロリスト要員を排除しているらしい。それは一定の成果を収めているが,新たな「復讐心」も生み出しているとのこと。「テロとの戦い」は,これからも果てしなく続くのだろうか。
読了日:5月4日 著者:
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2013年 4/23号 [雑誌]の
感想特集は,1日の所得が4ドルに満たない貧困層BOP(Base of the Pyramid)を対象としたビジネスについて。貧困国の貧困層を対象するビジネスは単なる利益追求型では成立・成功しにくく,現地との「共創」がカギという意見に大いに納得。大きな利潤を挙げることを目的とせず,「目的を達成するための手段」として活動を展開し,現地の経済や生活水準の向上に貢献している日本企業の活躍を誇らしく思いました。今後も,「経済的侵略」ではないBOPビジネスが日本企業によって積極展開されることを心から期待します。
読了日:5月3日 著者:
心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣の
感想100万部を超えるベストセラーとなった長谷部キャプテンの著書です。印税の全額を東日本大震災支援に寄付したことからもわかるように,長谷部選手は素晴らしい人物です。この本が多くの人に支持されたのも,彼の人柄によるところが大きかったはずです。正直に言えば強いインパクトを受けた部分は多くありませんでしたが,読み進めてゆくにつれて,彼の「心」がジワジワと伝わってきました。出版元の幻冬舎の企画力も高く評価します。プロスポーツ選手の本としてはかなりボリュームがあり,お買い得感の高い本です。若い人にお薦めしたいです。
読了日:5月3日 著者:
長谷部誠
ふらっとアフガニスタン7泊8日の
感想メディアが流す第三国の情報にはバイアスが掛かるため,真実の情報を得るためには現地に赴き,自分の目で物事を確かめねばなりません。また本書は,「第三世界が抱える共通の問題に我々ができることは多くない。ただ,誰にでもできて,おそらくもっとも効果的なことは,常に,これらの国の現状に関心を持ち続けることだろう」という言葉で締められています。著者が自らアフガニスタンを訪れたのは,単にアレキサンダー大王や三蔵法師の歩んだ道への憧れだけでなく,メディアに生きる人間としての矜持がそうさせたのではないでしょうか。
読了日:4月21日 著者:
辛坊治郎
国境の南、太陽の西 (講談社文庫)の
感想村上作品の中では,比較的主題がわかりやすい部類に入る作品ではないでしょうか。この作品,私は好きです。一生懸命生きている人間が,ある日「太陽の西」を目指して歩き出す・・・わかるような気がします。私はまだまだ,その心境に達していませんが・・・
読了日:4月21日 著者:
村上春樹
局アナ 安住紳一郎の
感想ラジオの安住アナは、TV以上に面白い。私はTBSラジオが聴けない地域に住んでいますが、podcastで「日曜天国」を聴き彼の虜になってしまいました。ラジオ同様、彼の人間臭さが滲み出た一冊でした。本書を読み出して最初に感じたのは、文章がちょっとおかしいことでした。日本語を非常に大切にしている彼の文章とは思えないような違和感。話し言葉と書き言葉には微妙な違いがあることを再認識しました。しかしそれも、回を重ねるごとに解消されていったように思います。彼の文章力に磨きがかかった頃に連載終了。かなり残念。続編求む!
読了日:4月14日 著者:
安住紳一郎
Slugger (スラッガー) 2012年 12月号 [雑誌]の
感想昨シーズンのMLB総集編。新シーズン開幕後にやっと読了。アメリカのメディアに出た英語の記事をもとに編集された雑誌だと思いますが,かなり読み応えのある一冊でした。セイバーメトリクスに対する興味がさらに増しましたが,各種指標にはちょっとした主観が入りやすいのではないかと思いました。私が注目していたある堅守の三塁手の守備防御点がマイナス評価となっていたのは意外でした。もはや私も若くないので,かつて(高校生の頃)のように,こういった雑誌を隅から隅まで読むことは難しくなりましたが,今後も注目したい雑誌です。
読了日:4月13日 著者:
アフターダーク (講談社文庫)の
感想闇の後に現れるのは,暁か,あるいはさらなる深い闇か。明と暗の境界線は極めて不明瞭であり,私たちはいつ闇に陥っても何ら不思議ではない。派手さはありませんが,示唆に富んだ小説です。コオロギさんの言葉にはとても深いものを感じました。
読了日:4月10日 著者:
村上春樹
逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録の
感想逮捕を恐れ逃亡を続けた市橋の心理を知りたくて読みましたが,最後までよくわからずじまいでした。市橋は頭の良い人間です。犯した罪の大きさは感じていたはずですが,逮捕されることを頑なに拒み,さらに自ら死を選ぶことさえできませんでした。逃亡中,彼は死刑を恐れたようですが,彼を突き動かしたのは「生」ではなく「自由」に対する執着だったのではないでしょうか。罪を犯した理由として,「感謝」の意味を知らなかったことを本人は挙げています。人との関わりあいの屈折が,彼自身が暴挙を止められなかった遠因だったのかもしれません。
読了日:4月5日 著者:
市橋達也
Number (ナンバー) WBC速報号 2013年 3/30号 [雑誌]の
感想久しぶりにNumberのすべての記事を読みました。以前に比べると多少薄口になった感はありますが,さすがNumber,素晴らしい雑誌です。本号の特集はWBC。侍ジャパンの敗因を,多くの評論家やライターが多方面から分析しています。週刊ベースボールの特集号も購入して読みましたが,文章,写真,表紙,価格,すべての面でNumberの圧勝でした。WBC以外では,久光製薬監督の中田久美さんの記事が印象的でした。あの激情家だった彼女が,ある意味で丸くなって,若い選手たちと共に戦っています。さらに素敵な女性になりましたね。
読了日:4月3日 著者:
1Q84 BOOK3〈10月‐12月〉後編 (新潮文庫)の
感想村上作品の中で最高の純愛小説ではないでしょうか? この「1Q84」は私にとって,「海辺のカフカ」や「ねじまき鳥クロニクル」ほど惹きこまれる作品ではありませんでしたが,読後,最も爽やかな気持ちにさせられた村上作品でした。月がひとつの世界で,天吾と青豆がいつまでも幸せに暮らすことを心から祈ります。そこが1984年であっても,そうでなくても・・・
読了日:3月30日 著者:
村上春樹
週刊ベースボール増刊 第3回WBC決算号 2013年 4/10号 [雑誌]の
感想敗因分析の記事などには「さすが週ベ」と思わせるものはありましたが、何と言っても雑誌としてのボリュームの欠乏感にガッカリしました。わずか58ページの雑誌が780円とは、ボッタクリに近い・・・ 日本が入っていないプールの試合の記事に期待したのですが、しっかり裏切られてしまいました。Numberの爪の垢を煎じて飲ませてやりたいです。しかし、侍Japanが優勝していればこの雑誌の記事やボリュームはもっと充実していたのかもしれませんね。やはり勝負事は勝たなければならないということでしょう・・・(涙)。
読了日:3月27日 著者:
ゼロから知る「古事記」 (学研ムック)の
感想「古事記を知りたい」に続き、古事記関連のムックを読みました。多彩なイラストや写真が読む側の想像を大いに掻き立ててくれます。高さ48mと言われる古代の出雲大社の復元図は圧巻です。最後に掲載されている阿刀田高氏の「私の古事記物語」は、読みやす上になかなか読み応えもあります。ムックの楽しさを強く認識できた一冊です。
読了日:3月26日 著者:
贖罪の
感想本書を出版することによって,タイトル通りの「贖罪」を果たせたかどうかはわかりませんが,周囲の人々への謝罪と感謝の気持ちは強く感じられる本でした。ダンナが警察に捕まった後の逃避行によって彼女のイメージは大きく損なわれてしまったわけですが,それにしても彼女に対する世間(特にネットの世界)のバッシングは強すぎるように感じます。芸能界は,過去にも多くの薬物犯を受け入れてきた包容力のある世界です。今後,彼女が世間に受け入れられるかどうかは,これからの彼女の生き方次第です。私は彼女を,静かに見守りたいと思います。
読了日:3月24日 著者:
酒井法子
1Q84 BOOK3〈10月‐12月〉前編 (新潮文庫)の
感想時間軸と空間のズレ、か・・・
読了日:3月22日 著者:
村上春樹
古事記を知りたいの
感想これは面白い! シュールな漫画やイラストの助けによって、古事記のことがザックリと理解できます。古事記入門書としては最適の書でしょう。定価580円がすごくお安く感じられた本でした。私は次に、竹田先生の「現代語古事記」を読みますが、本書はその導入に非常に役に立つはずです。
読了日:3月16日 著者:
3時間で「専門家」になる私の方法の
感想ネット上にある情報を3時間で収集し、その分野の専門家に近い認識を得られる方法が示された本です。かなりのページ数を割いて、マトリクス表を描きながら情報を整理する方法について解説していますが、ネット検索でディープに情報収集することに慣れている人ならば無意識に類似の方法をとっているはずです。一世代前に刊行された本という印象を持ちましたが、このような手法を論理的に説明するのはなかなか難しい作業なので、そういった意味では貴重な一冊かもしません。「クオリア」と「セレンディピティ」という概念を意識することは重要ですね。
読了日:3月10日 著者:
佐々木俊尚
1Q84 BOOK2〈7月‐9月〉後編 (新潮文庫)の
感想うーん・・・ファンタジーすぎる・・・ さあ,BOOK3へ行こう。
読了日:3月8日 著者:
村上春樹
パフォーマンス評価―子どもの思考と表現を評価する (日本標準ブックレット)の
感想ルーブリックと呼ばれる4×4のマトリクス表を用いながら複数の人が答案を評価する「パフォーマンス評価」について、わかりやすく解説しています。子ども達の可視化しにくい部分の学力や理解度を測るものさしとしては、非常に興味深い手法です。この手法は、学力レベルの一般化・数値化のためにあるのではなく、子どもの学びに関する「鑑識眼」を育て、有効な教材開発を進めるためのものです。こういった手法がメインストリームとなることはないでしょうが、積極的に研究・開発するに値する手法だと感じました。
読了日:3月4日 著者:
松下佳代
アクティブラーニングでなぜ学生が成長するのか―経済系・工学系の全国大学調査からみえてきたことの
感想第1部と第3部を読みました(第2部は近いうちに読みます)。読みごたえのあった第3部は,アクティブラーニングの意義が非常にうまくまとめらているのと同時に,その問題点も鋭く指摘しています。高度なアクティブラーニングを導入するには,やはりヒト・ハコ・モノが重要であることを再確認しました。その中で意外に軽視されるのがハコであるように思いますが,学生が自由に出入りして活動できる教室空間を創ることは,高度なアクティブラーニングを成功させるためには必要不可欠です。先立つものは,やはりカネということでしょうか。
読了日:2月27日 著者:
河合塾
車中泊の作法 (ソフトバンク新書)の
感想車中泊を楽しんでいる人、そしてこれから楽しもうとする人必読の書です。車中泊を楽しむためには(滞在地に迷惑を掛けないための)マナーを守ることが大切ですが、本書がその点を力説している点に好感を持ちました。同時に、道の駅やキャンプ場に対する前向きな提言も忘れていません。我が国には魅力的な観光スポットがたくさんあります。内需拡大のためにも、国内旅行の一手段としての車中泊が成熟してゆくことを願ってやみませんが、本書はその一助となっていると思います。
読了日:2月27日 著者:
稲垣朝則
決断する力 (PHPビジネス新書)の
感想石原慎太郎氏から「作家の発想力がすべてだ,協力してくれ」と頼まれて副知事となり,そして知事にまで登り詰めた作家・猪瀬直樹氏の著書です。「困難な課題でも,発想力があれば乗り切れる」「感性と集中力で自ずと『解決する力』が湧き出てくる」と著者が言うように,それは国を運営する為政者に無くてはならない力です。豊富な教養や深い思想・哲学を持つ作家は,ある意味政治家に必要な素養を有しているといえるかもしれません。しかし,そこに「自己顕示欲」が絡みすぎることがないよう,著者には十分に気を付けてもらいたいと思いました。
読了日:2月17日 著者:
猪瀬直樹
1Q84 BOOK2〈7月‐9月〉前編 (新潮文庫)の
感想いつものように,読んでいて胸が苦しくなってきた・・・ 村上ワールド,本格的に始まる・・・
読了日:2月16日 著者:
村上春樹
フクシ伝説 うちのとーちゃんは三冠王だぞ!の
感想こういう人を,天真爛漫だ金持ちのボンボンだと言って面白おかしく取り上げるのもどうかと思う。私は落合博満選手(そして監督)のファンですが,彼ら夫妻の子育てには疑問符を打たずにはいられません。同じ育てる作業であっても,子育てと選手の育成とは全く違うものなのですね。Amazonの書評がいかにいい加減なものであるかが,よくわかりました。
読了日:2月14日 著者:
落合福嗣
誰も書けなかった年金の真実―あなたがもらえなくなる日の
感想「とにかく年金には加入しておくべき」「年金の基礎部分は全額税方式が理想」そして「社会保険庁はどうしようもない集団」という,著者の論に同意。社会保険庁という役所の腐りっぷりにはもはやため息も出ないが,多かれ少なかれどこの役所も同じように堕落していると思うと,この国の将来が本当に心配になる。私は,年金の掛け金は税金の一部と考えるようにしている。だからと言って民間の個人年金に積極的に加入しているわけでもないが,それぐらいの覚悟が無いと,残念ながらこの国で生きてゆくことはできないと思っている。
読了日:2月8日 著者:
辛坊治郎
1Q84 BOOK1〈4月‐6月〉後編 (新潮文庫)の
感想天吾と青豆が、細い糸で繋がった!
読了日:2月2日 著者:
村上春樹
ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)の
感想「ブラック企業」が個人に対して被害をもたらす単なる存在ではなく、社会全体を蝕む大きな存在であることを世に訴えた渾身の一冊です。「使えない」社員の精神を破壊して自己都合退職に持ってゆくブラック企業の手法はおぞましいの一言ですが、今では多かれ少なかれどの企業でも同じような手法を採っているでしょう。つまり「日本企業総ブラック化」に向かっているということですが、グローバル化が進む世界経済に取り残されないようにするためには不可避の流れなのかもしれません。この流れに歯止めをかけるのは決して容易なことではありません。
読了日:1月26日 著者:
今野晴貴
オーケー!ボーイ―エディさんからの伝言読了日:1月17日 著者:
高橋和幸
オーケー!ボーイ―エディさんからの伝言読了日:1月17日 著者:
高橋和幸
「松本」の「遺書」 (朝日文庫)の
感想15年以上前に読んだ本を,本棚から引っ張り出してきて再読。著者・松本人志を,お笑い芸人とバカにするなかれ。本書の内容を,若気の至りと笑うなかれ。この稀代のコメディアンが,若い頃から強い信念と独立心を持って努力を重ねていた姿を垣間見ることができます。彼や私が若い頃,日本社会は現代以上に「オヤジ中心社会」でした。「寄らば大樹の陰」で生きることが最も安易かつ安定的であった時代に,師匠や先輩芸人に阿ることなく自分の理想に突き進んだ著者の生き方に感服するばかりでした。
読了日:1月16日 著者:
松本人志
人格障害かもしれない (光文社新書)の
感想特に前半部分の文章が冗長すぎて(うまく編集したら2/3ぐらいにシュリンクできるかも?)読みにくい部分もありましたが、第7章(異常犯罪者達の分析)と第8章(天才的な表現者達の分析)は非常に読み応えがありました。「犯罪はあくまでも彼(=犯罪者)自身の行動であり、(中略)行動は彼自身の意思だということです」と述べ(p.166)、著者は刑法39条の濫用を否定しているように思います。それは人格障害を患う(=大多数の善良な)人達の人権を損ねるのではなく、むしろ偏見や差別を解消させる一助となるのではないでしょうか。
読了日:1月14日 著者:
磯部潮
1Q84 BOOK1〈4月‐6月〉前編 (新潮文庫)の
感想ふしぎなふしぎな2つの世界がいつか繋がる、典型的な?村上ワールドが展開される予感...
読了日:1月13日 著者:
村上春樹
ブラックジャックによろしく 全13巻完結(モーニングKC ) [マーケットプレイス コミックセット]の
感想著者には申し訳ない?のですが、iPhoneの無料アプリで読了。普段は漫画を読まない私ですが、十分に楽しめました(斎藤先生の一途さに感動…)。医療従事者が読めばストーリーの矛盾や荒唐無稽な部分を指摘するのかもしれませんが、私のような門外漢には、社会問題を世間に訴える著者の気概が強く感じられる作品でした。妻夫木聡主演のTVドラマが、原作に忠実であったことにもビックリ。続編の「新・ブラックジャックによろしく」は、単行本を購入しようかな?
読了日:1月9日 著者:
佐藤秀峰
就活革命(生活人新書322)の
感想いわゆるマニュアル本ではない就活本として,就活中の学生に強くおススメできる本です。就職活動の矛盾を鋭く突きつつも,就活に「勝つ」ための大切なポイントを指摘し,さらにこの狂った「日本の就活システム」に対する改革案も提示している,バランスの良い内容です。就活に勝つために学生がやるべきこと・・・それは「大学で勉強すること」だと著者は言いますが,私もその意見に同意します。無意味に思えるかもしれない大学の勉強が,実は学生の論理能力やコミュニケーション能力といった「就活に勝つための能力」を育てているのは明らかです。
読了日:1月9日 著者:
辻太一朗読書メーター