横たわるブッダ(☆☆☆)
2013 回顧 小説
2013年12月の読書記録 14冊!
がんばりました!
今年は毎月の2ケタを目指します!!!
2013年12月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:2657ページ
ナイス数:3ナイス自殺した子どもの親たち
読了日:12月30日 著者:若林一美自ら逝ったあなた、遺された私―家族の自死と向きあう (朝日選書)
読了日:12月29日 著者:赤ちゃんの死へのまなざし ―両親の体験談から学ぶ周産期のグリーフケア
読了日:12月26日 著者:竹内正人,井上文子,井上修一,長谷川充子アスペルガーの人はなぜ生きづらいのか? 大人の発達障害を考える (こころライブラリー)
読了日:12月22日 著者:米田衆介あなたの知らない山口県の歴史 (歴史新書)
読了日:12月21日 著者:新版 死とどう向き合うか
読了日:12月19日 著者:アルフォンス・デーケン悲しみにおしつぶされないために―対人援助職のグリーフケア入門
読了日:12月15日 著者:水澤都加佐,スコットジョンソン幸福と成功だけが人生か
読了日:12月13日 著者:山折哲雄死別を体験した子どもによりそう―沈黙と「あのね」の間で
読了日:12月12日 著者:西田正弘,高橋聡美週刊 東洋経済 2012年 9/29号 [雑誌]
読了日:12月12日 著者:陸マイル・ネットマイルをがっちり貯めてとことん得するマル秘テクニック―貯める・使う・交換する・マイレージプログラムの達人たちの秘技
読了日:12月12日 著者:陸マイラーズクラブGLOW特別編集 人に聞けないお金 (TJMOOK)
読了日:12月12日 著者:逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録の感想
読み始めたことを、すぐに後悔したが、修行だと思い最後まで読んでみた。人として、普通に育てば備わっているはずの何かが完全に欠落している。逃亡中、家族のことは思わなかったのか? 感謝の気持ちがわからないとはいったい、、、刑事罰が彼の心の欠落に効果的とは思えず、かといってどうすれば欠落を埋められるのか。恐怖と絶望を禁じ得ない一冊だった。
読了日:12月9日 著者:市橋達也日本人の清潔がアブナイ!
読了日:12月4日 著者:藤田紘一郎
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2013 回顧 本
最近読んだ本
データベースより) 天竜ギャラクシートランスが開発した新型エンジンを得て、月面結婚式場「第六大陸」建設計画はついに始動した。2029年、月の南極に達した無人探査機が永久凍土内に水の存在を確認、もはや計画を阻むものは存在しないかに思われた。だが、再起を賭したNASAが月面都市建設を発表、さらには国際法上の障壁により、「第六大陸」は窮地に追いやられる。計画の命運は?そして、妙が秘めた真の目的とは。 終わり方良かったですね。ちょっと先に進むという感じで。 未来は発展のためにあるのかな?ッて感じです。 USAがいいところと悪いところがすごいですね。 泰が死ぬところはちょっとなぁと思いますが。 ドラマチックな効果を狙ってるんでしょうけど、要らないところでしたね。 未知との生命体との遭遇というテーマも好きですが。 ヒロインが一巻の終わりの状態のままだと嫌でしたが。 読んで良かった作品です。
ホンダ イノベーションの神髄 / 小林三郎
とある場所で、講演会を聞いて興味が湧いたので半年近くも前に買った本を、年末年始の休暇中のようやく読み終えることが出来ました。この本の作者は、ホンダでエアバックの開発で陣頭指揮をとった方です。1986年に世界初エアバックの実用化が発表されたときはかなり話題になったことは私も覚えています。開発に16年かかったそうですから諦めずに実用化までこぎつけたなんて大したものですよね。
本書の内容は主に、16年間のエアバック開発の体験談を元にホンダのイノベーションを生み出す仕組みの解説と、これからイノベーションを起こし続ける為の、企業と開発者のあるべき姿を解説しています。
この本を読み進んでいくとホンダ独自のしきたりの独自性に驚く部分は多々ありありますが、これは創業者本田宗一郎は二度と生まれて来ないのだから、普通の人間の複数の力で本田宗一郎の意思を受け継ぐために2代目社長の藤沢氏が考案し、後の3代目社長である久米氏が実行したのだそうです。
著者いわく、今の日本企業にイノベーションが起きないのは、管理で出世した人材が会社を経営しているからであり、彼らにはイノベーションは理解できないし、なかなか実績も出ないので削減、中止の対象になってしまう。確かに会社の業務の内95%はオペレーションだが、残りの5%をイノベーションに割かないと企業全体のイノベーションが立ち行かなくなってしまう。
イノベーションを起こすためにはメンバー間のコミュニケーションが重要であり、新規事業の顧客価値、すなわち「絶対価値」を一言で示す、良いコンセプトの共有が最も重要である。良いコンセプトをメンバー間で共有する為には、ワイガヤが有効な手段である。ワイガヤは三日三晩、一つのテーマで上司と部下別け隔てなく意見をぶつけあうことで、ひとつの共有解を得ている、のだそうです。
私がこの本を読んだ感想は、意見の違うもの同士でプロジェクトをスタートすると、互いに方向性が異なり、打ち合わせを何回やっても意思統一できないようなことが良くありますが、これは各メンバーのモチベーションが高い時に特に起こる現象であって、この時特定の結論を無理に押し付けて、先に進もうとすると特定のメンバーのモチベーションを下げてしまうことにつながりかねません。
このとき、ワイガヤを通じて、「絶対価値」、「A00」、「三現主義」等のホンダ流の考え方で整理することで、「妥協案」ではない、現実的な「共有解」を求め、それを「高い志と強い思い」で実践していくのが「ホンダ流イノベーション」なのだと私は理解しました。ホンダ語の意味はぜひこの本を読んでご自分で確認していただくことをおすすめします(笑)。
エアバック開発の顛末はコチラに顛末が記載されていますので、興味のあるかたはぜひご一読をおすすめします。
Das Zurückführen der Wirkung auf die Ursache ist bloß ein historisches Verfahren,...
597. Das Zurückführen der Wirkung auf die Ursache ist bloß ein historisches Verfahren, zum Beispiel die Wirkung, daß ein Mensch getötet, auf die Ursache der losgefeuerten Büchse. (Johann Wolfgang von Goethe) 結果を原因のせいにするのは、単なる歴史的態度である。たとえてみれば、一人の人が殺されるという結果を、発射された小銃のせいにするのに似ている。(ヨーハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ)
371 非武装地帯
372 泥棒も木に登る
373 銀色のキーホルダー
374 涙のような雨が降る
375 保健室の貴婦人
「ルーデンドルフ公と森の獣」
・ルーデンドルフ公と森の獣/かわい有美子 SHYノベルス
N県に程近いY県の避暑地での、夏休み。 国立大学の研究室で建築史学を専攻している藤森が学術調査のために、ドイツ人が所有する旧華族の屋敷で過ごす話。 人狼もの。 狼といっても、臆病。 ヘタレ気味。 藤森も、しっぽがふさふさしていいだの、毛が柔らかいだの、怖いという気持ちはぜんぜんない。 夏休みの話なんだけれど、明るくない。 屋敷にこもっているせいだろうか。 話に起伏がないので、読んでいて、もう眠くて眠くて。 読むのを諦め、10時前に床についてしまった。 まだ正月休みな次の日の昼間、続きを読んだけれど、えっちシーンでさえ眠くなる始末。 おかしい。 アマゾンの書評はいいのに、私はそうは思えない。 ごめん。 そういうわけで、感想も短め。 ★★伊勢神宮:日本人は何を祈ってきたのか(朝日新書)
『伊勢神宮:日本人は何を祈ってきたのか』
三橋健(神道学者)
朝日新書(2013)
正式名称は"神宮"
20年に一回の式年遷宮。
2013年で62回目
式年遷宮は688年制定、
690年が第一回
125の宮社と141の神々
日本人は伊勢神宮へ参詣しない者は、
人間の数に加えてもらえないと思っている。フロイス
一遍や日蓮も伊勢神宮に
☆☆☆☆☆
伊勢神宮こそ、日本人の聖地。
・今日の一言(本文より、トインビー)
Here, in this holy place, I feel the underlying unity of all religions.
この聖なる地で、私は、あらゆる宗教の基底をなしている統一なるものを感じる。
在这个圣地,我感到成为所有宗教基础的统一性。
나는 이 성스러운 곳에 모든 종교가 통합되어 있음을 느낀다
BL小説「眠り王子にキスを」 (月村 奎)
【あらすじ】
デリのオーナー兼シェフの堀篤史には、気になるお客がいた。 人懐こい笑顔にスーツがよく似合うサラリーマンと思しき男だ。 週に二回ほどやってくる彼とかわす会話が、最近の密かな楽しみだった。 彼の人懐こい笑みを思い浮かべると胸の奥に小さな火が灯るのだ。でも、傷ついた過去の経験から、篤史はもう一生恋愛をしないと決めていた。それなのに、彼──宮村に料理を教えることになって!?番外編コミックス(木下けい子)『赤ずきんちゃんの誘惑』も特別収録!(SHYノベルス・大洋図書より) ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 作品お気に入り度 ★★★★☆ 挿絵お気に入り度 ★★★★☆ 感想。。。 リンクコミックス「いつも王子様が」とほぼ同時読了!! どちらもすっごく良かった!! やっぱり月村さんのお話だなーと読了した後もしばらくハッピーな気分に浸っていました^^ 誠実で自分の気持ちに真っ直ぐな宮村が超好み!!! 篤史の気持を尊重しながらも決してヘタレでなく、実はしっかり段階を踏んでいく策略的さも良かったな^^ 篤史が宮村に惹かれていく思いを必死に思いを食い止めようとする様子が切なくて、そのたび篤史がこれまでどれほど傷ついてきたかが感じられて何度も胸がギュっとなりました。 家族もヒドいな。 特に弟。 ブラコン設定が好きなだけに弟にこんな態度を取られると悲しくなっちゃうよ>< そんなに兄の性癖が嫌なものなのか。 自分が実際そんな事に直面した事がないから分からないけれど、もう大人同士だしせめて表面上だけでも当たりよくても良さそうなのに。 真逆に宮村の家族、母親がまた良い家族なんだ。 宮村の母親が篤史に話す場面が泣けてくる・・・。 自分がもし母親という立場になる事があるなら、こういう親になりたいなって思った。 頭から子供を否定せず、子供の心をしっかり受け入れて話し合えるような・・・。 いっぱい傷ついて、たくさんの幸せを諦めてきた篤史だったけれど、これからは宮村が全てを包み込んでくれるって思うと安心して2人のハッピーエンドに浸れました。 ホントに良かった。 この話の後に収録されてた木下さんのマンガ、宮村&篤史バージョンの「赤頭巾ちゃん」もすっごく面白かった!! ホント、2人の性格、よく出てるわー(笑)
デミアン
「デミアン」 ヘッセ作 高橋健二訳 (新潮文庫) 青年シンクレールが、年上の友人デミアンに導かれながら成長していく物語です。 心理学や東洋思想の影響が見られ、ヘッセにとって転換点となる作品です。 現在、新潮文庫と岩波文庫から出ていますが、どちらも訳が古すぎます。 私が読んだ新潮文庫版は、初版が1951年。岩波文庫版も、初版は1959年。 どちらも読みにくい箇所がありますが、それほどストレスは感じませんでした。
シンクレールは10歳の頃、つまらない嘘をついて、悪童に脅されてしまいました。 それを助けてくれたのが、年上の少年デミアンです。 二人は友達になりました。 その後も人生の大事な折々に、デミアンはシンクレールを導いていきます・・・ とても不思議な印象が残る小説です。 特に、デミアンの持つ不思議な魅力が大きいです。 デミアンは言います。 この世界には、「公認された神の世界と黙殺された悪魔の世界」がある。 「そこでつまり、神の礼拝とならんで悪魔の礼拝を行わなければならない。」(P94) 人間にも、神と悪魔の両面があり、その両面に目を向けるべきだと、言うのです。 なるほど。「デミアン」という名前は、「デーモン」からきているようです。 この小説のキーワードは、「カイン」と「アプラクサス」。 いずれも、キリスト教的には異端となっている信仰です。 これが書かれた当時は第一次大戦中。キリスト教徒同士で殺しあっていました。 この状況に絶望したヘッセは、これらの神々に救いを見出そうとしました。 こうしてヘッセは、東洋思想へ接近していきます。 デミアンが瞑想したり、未来を予言したりするのも、東洋思想の影響のようです。 そして、日本人にヘッセのファンが多い理由は、そういうところにもあるようです。 ところが・・・エヴァ夫人が登場すると、物語はあらぬ方向に進んでしまいました。 「そりゃないだろう!」という展開です。 ヘッセの熟女趣味が、うっかり出てしまったのか。 最後の最後で、作品の完成度を、著しく下げてしまった。実に惜しい! さて、ヘッセの作品は、ほかにも多数文庫本になっています。 その中でも、「郷愁」と「車輪の下」は読んでおきたいです。 さいごに。(新春健康マラソン) 1月2日は、娘と一緒に、地元の「新春健康マラソン」に出てみました。 富士山を遠くに眺めながら走るのは、気持ちが良かったです。

長谷川三千子著「神やぶれたまはず」を読む
これほど力強い本をかつて読んだことがあったろうか。《いかにして「我々の神学」をうちたてるか》という切実な課題に明確に答えようとする著。今のままの状態がつづけば、日本人の精神はずるずるとメルトダウンしてゆくしかない。そのぎりぎりの瀬戸際にあって、防戦一方の体勢から反撃に転じる確かな橋頭堡を築くことに成功した。われわれは、ここから出発すべきである。
以上は最初に読み終えた直後の感想である。再読の必要を感じて、あらためて蛍光ペンでマークしながら二度目を読み終えた。いま上の感想を見て、なるほどと思った。読み終えての心の高ぶりは、一度目と変らない。
昭和16年天長節(4月29日)観兵式、昭和天皇が愛馬白雪に召させられた勇姿の御写真がわが家に大切に保存されてきた。まさにそのお姿は、凛としたというにふさわしい。戦後生まれの我々が接してきた昭和天皇のお姿からすれば、その雰囲気はむしろ別人にさえ思えて戸惑う。思えばその戸惑いは、私の祖父の戦前の写真を見たときの戸惑いに通ずる。
祖父は明治22年(1889)の生まれ。若い頃から神社行事に奉仕し、日露戦争では看護兵として朝鮮に出兵。消防団や地区自治会活動の中心を担い、戦時中の金属供出には地区の先頭に立ってかき集め役をやったらしい。祖母が「だから家には何にもない。」となかばあきれた風に語ったのが忘れられない。祖父が亡くなったのは私が大学の4回生の時だったが、祖父から直接戦前の話を話を聞いた記憶がない。私の知る祖父は、真面目そのものではあったが、いつもどこか頼りなげであった。思えば、世間の祖父への評価に比して、祖父自身、自分を低くしていたように思う。職人的な仕事には一途であったが、金銭勘定は二の次だった。祖父の戦前の写真は、私に対しては見せたことのない凛とした姿だった。私は現実の祖父とはかけ離れたその姿の祖父に憧れていたかもしれない。勤めをやめて染物の仕事をすることになったのは、祖父の夢を見たのがきっかけだった。
長谷川三千子著『神やぶれたまはず』は、昭和天皇と私の祖父を変えてしまったまさに「あの瞬間」に徹底的にこだわり、そこからあの瞬間の「精神史的」意味を探ろうとした労作である。
人間にとっての歴史は、人間の意識に発してそれが現実に形になった結果を中心に記述される歴史と共に、必ずしも現実の結果として実現することのなかった内面の歴史についての記述があってもいい。桶谷秀昭氏はそれが「精神史」の方法なのだという。そうした「精神史」からすれば、日本人にとって、昭和20年8月15日のあの一瞬ほど重大な「精神史」的体験はない。
《昭和20年8月のある一瞬――ほんの一瞬――日本国民全員の命と天皇陛下の命とは、あひ並んでホロコースト(供犠)のたきぎの上に横たはっていたのである。》(p.282)
この瞬間こそまさに、「神人対晤」(三島由紀夫『英霊の聲』)の至高の瞬間であった。
《大東亜戦争敗北の瞬間において、われわれは本当の意味で、われわれの神を得たのである。》(p.282)
その意味するところ、「イエスの死」に通ずる。すなわち、《「イエスの死の意味」とは、(単にイエスが起こしてみせた数々の「奇蹟」とは違って)まさにキリストが自らの命を差し出すことによって、神と人との直結する関係を作り出した、ということであった。》(p.278) キリスト教は、この一回限りの事件に「超越的」意味を付与することで「神学」を生み出した。とすると、われわれはあの一瞬の出来事に如何なる意味を与えることで「神学」を打ち樹てることができるのか。
「神学」は「形而上学」と言い換えてもいい。私自身を省みても戦後日本が見失ったもの、それがまさに「神学」であり「形而上学」ではなかったか。メルロー・ポンティは形而上学を「上空飛行的思考」として斬って棄てた。ある意味私もそれに納得していた。しかし最近になって井筒俊彦に出会った。。以下は『井筒俊彦 叡知の哲学』(若松英輔)からの孫引き。
《現世に於ける人間生活の極致としてのvita contemplativa(観照的生)の理念こそ、まさしくアリストテレス独特の人生観に由来する生の理念なのではなかったか。あらゆる種類の行為的実践的徳に対して、知性的叡知的徳の絶対的優位を断乎として揚挙せるかのスタゲイラの哲人にとっては、神々の生にもまがう純粋観想の浄境こそ、何物にもかえがたき人生の醍醐味であり、地上的幸福の極致であった。》(井筒俊彦『神秘哲学』)
スタゲイラの哲人とはアリストテレスを指す。アリストテレスは、プラトンのイデア論あるいは神秘論の否認者であったはず。しかしそのアリストテレスによって井筒は、現実世界を超えて在る至福の浄境へと導かれていたのだった。そこはまさに形而上学的な世界である。そこで人間は「脱自(エクスタシス法悦)」を経験する。《すなわち人間の内なる霊魂が肉体の外に脱出して、真の太源に帰没する》(井筒俊彦『神秘哲学』)ことに他ならぬ。
若松氏は言う。
《古代ギリシアの哲人たちにとって、観照とは超越者を思慕する神聖な営みだった。それは内面の修道ではあるが、私たちが、外面的世界で経験する以上の試練と危機に直面しなくてはならない、身を賭すべき営為だったのである。・・・彼らは、哲学の始源が人間にあるとは考えない。プラトンが哲学における始源的営為を「想起(アナムネーシス)」と呼んだように、哲学とは考えることではなく、想い出すこと、叡知界の記憶を手繰りよせることだった。》(若松英輔『井筒俊彦 叡知の哲学』)
ヒューマニズムに席巻された戦後日本に対するアンチテーゼと言っていい。私は『神やぶれたまわず』で言う「神学」という言葉を、井筒を思い起こしつつ「形而上学」に置き換えて読んでいた。
では、「あの瞬間」からどのような「超越的原理」を抽き出すことができるのだろうか。
長谷川氏は言う。
《あの藤田東湖の見た「国体」のかたちが、あらためて上からの愛民、下からの忠義といふ道徳的特性としてたちあらわれていると言ってよいであろう。》(p.281)
藤田の言う「国体」のかたちとは、「蓋し蒼生安寧、是を以て宝祚窮りなく、宝祚窮りなし是を以て国体尊厳なり。国体尊厳なり是を以て蛮夷・戎狄率服す。四者循環して一の如く各々相須(ま)つて美を済(な)す。」
《すなはち、天皇が民を「おほみたから」として、その安寧をなによりも大切になさることが皇統の無窮の所以であり、だからこそ国体は尊厳である。そしてさういふ立派な国柄であればこそ、周辺諸国も自づからわが国につき従ふ。これらはすべて一つながりの循環をなしてわが国の美を実現してゐるのだ、といふことである。この全体が、いはば広義の「国体」であると言ふことができて、いはゆる「国体思想」と呼ばれるものは、この全体的な広義の〈わが国の国がら〉を指してゐると考へてよいだろう。》(p.242)
新しい歴史教科書をつくる会山形県支部のHPに、長谷川氏の快諾を得て「皇国史観とは何か」(「諸君!」平成11年11月号)という長谷川氏の論考を転載させていただき、いまも読むことができる。長谷川氏は《「皇国史観」の再評価ということは、まさにもっとも平和的な企て》との視点で「皇国史観」を論じて十分説得的である。では、「あの瞬間」から抽き出される「超越的原理」とは「皇国史観」であったのか。「本来の皇国史観」からいえば、それでもいいと言えるのかもしれぬ。しかし、橋川文三氏が「イエスの死の意味に当たるもの」の言葉の指し示すところは、さらにそれを超えたその先にあるのではないだろうか。
《(橋川)氏は、ヨーロッパの歴史意識成立の背後には、「イエスの磔刑に対する深い共感の伝統」があったと言ふ。そして「世界過程を、イエスの死の前と後に分かつというような啓示的発想は、まさにその死の超越化によって成立したのである」と言って、次のやうに述べるのである。/「私は、日本の精神伝統において、そのようなイエスの死の意味に当たるものを、太平洋戦争とその敗北の事実に求められないか、と考える。イエスの死がたんに歴史的事実過程であるのではなく、同時に、超越的原理過程を意味したと同じ意味で、太平洋戦争は、たんに年表上の歴史過程ではなく、われわれにとっての啓示の過程として把握されるのではないか。》(p.34-35)
橋川氏は「大東亜戦争」と言わずして「太平洋戦争」と言う。長谷川氏はそれに批判的であるが、私はそこに、橋川氏の「あえて」を見る。橋川氏がイエスを持ち出したとき、日本の内的必然を超えたところの普遍性を求めていたにちがいない。長谷川氏の言う如く、橋川氏はそれを見出すことができぬまま世を去った。長谷川氏はその衣鉢を継ぐべく『神やぶれたまはず』の著に挑んだ。そして、われわれがじっと目を凝らすべきその瞬間の構造を描き出すことに見事に成功した。しかし、そこから「超越的原理」を抽き出すのはまだこれからの課題である。「日本人としての共通意思は可能か」という問いに重なる切実な課題である。
しかし待て、理に走ってはこの力作の価値を見失う。この著の指し示すところは先ず以て、「神人対晤」のあの瞬間にどこまでも深く深く沈潜してみることだ。そしてそこから自ずと湧き上がり熟成されて紡ぎ出されるのを静かに焦らず俟つべきなのだと思う。答えを急いではならない。われわれは大きな財産を与えられた。
ぺテロの葬列/ 宮部みゆき
![]() | ペテロの葬列 作者: 宮部 みゆき 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2013/12/20 メディア: 単行本 |
ポジティブな人生を送りたい方必読の電子書籍がスマフォでサクっと読めます!
自分は今なにをやりたいのか、今の自分はネガティブ思考・・・
このままではいけないということは分かっているが、どうも体が、頭が、動かないやる気の起きない自分がいる・・・
大丈夫です(#^.^#)b
そんな方がたくさんいらっしゃるんです。
自分に自信があって、何事もスムーズに行ってなんていう人は、ほんのひと握り
成功した方々も、多分ほとんどの方が苦労の下積み時代があったと思います。
今何をしたいかわからない方は、いろいろな自己啓発の本が出ていますので、自分がやる気が起きるまで、毎日のように、自分を高めるための本を読むといいと思います。
必ず、これだと、自分の中に衝撃が走る日が来ると信じています。
あなたがポジティブな気持ちになって、やりたいことが見つかり、それに向かって頑張っている姿を家族に、友人に見せてあげてください
あなたにあった生き方、仕事が見つかることを心から願っています。
電車の中で、喫茶店でスマフォでじっくり、さっくり読んでみてくださいね(*´∀`*)b
ポジティブな人生を送りたい方必読本
ザ・レター「幸せな成功者からの17通の手紙」
「手紙形式」で語りかけるように構成されていますので、押しつけがましさがなく、あなた自身の「気づき」としてスッと入ってくることでしょう。
運命の女神に愛されると素敵な奇跡が次々起こる
ポジティブな気持ちでデザインした人生の設計図は必ず実現する。デザイナーは自分自身、私達は宇宙のエネルギーに守られ、運命の女神に導かれている。
自分セラピー
自分で自分をほめてあげる。自分を認めてあげる。あなたこそが、あなた自身の最高のセラピスト
自分セラピー2 わくわくする 自分に出会う本
「おとぎ話」を題材に、人の持つ普遍的な悩みや問題を見つけながら、生きるヒントを探し、癒しの方法を探る本
言葉あふれる『会話脳』14の魔法のトレーニング
『会話脳』を発達させる為の誰も意識してなかったトレーニングを公開しているのがこの本です!
スピード脳力開発 聴覚刺激で頭の回転が驚くほど速くなる!
脳が活性化すれば、あなたの人生の可能性が広がっていく。 眠ったままのあなたの脳力を、高速音声の刺激で活性化しよう!
自分を思いどおりに動かす CDブック
可能性に満ちた大脳を効率よく働かせることで、 「自分の考えているとおりのこと」を実現できる。万人に使える自己実現・願望実現法
「ひらめき」を生む発想術
成功者の実体験の事例をもとに、彼らのサクセスストーリーを読みながら、成功へのポイントを学ぶことができます。
designed byさごり
『たまさか人形堂物語』
内容(「BOOK」データベースより)遅ればせながら新年明けましておめでとうございます。 この年末年始は9連休という大型連休になっていますが、お陰で家族は我が家の大掃除を連休入りまでしっかりとっておいてくれ、年賀状の宛名書きもあった上に、帰省先でも結構余裕がなく、ここまでまともなブログ更新もできていない状態です。血行仕事を持って帰ってきていますが、ここまで仕事の関係で済ませられた作業は1冊本を読み切ったぐらいで、連休最後の2日間は、本気モードで仕事始めに向けた準備に入っています。 とはいえ、図書館への返却期限の近づいている本もあるので、急いで紹介します。 例年、連休で里帰りする時は何冊か本を持って帰る。連休中に読む本はその多くがその時の僕の仕事と関係しているものが多いが、息抜きも考えて小説も1、2冊は混ぜ込むようにしている。仕事のことで集中して読む本と、夜寝る前とか家族の買い物の待ち時間とかに読む本は分けて考えているのだ。 この連休の場合、そうした息抜き目的で加えていた小説の1つが、本日ご紹介する津原泰水の本である。 津原作品は『ブラバン』に続いて2冊目だが、『ブラバン』とは全く異なる舞台だったので、まだ著者の作風がよく掴めずにいる。僕はほとんど人形に関しては造詣がない。よって、玉阪人形堂で扱う人形修理のバラエティの広さ―――テディベアもあれば、ひな人形もあり、西洋人形もあればフィギュアに近いものもある状況には、戸惑いもかなりあった。 著者も本作品を描くのに人形についてそれなりのリサーチをしているようで、所々に人形に関して知っておくべき予備知識が書かれている。でも、年末の大掃除や帰省の慌ただしい中で集中力を欠いたこま切れ読書となってしまったため、途中何のことかわからなくなるのが難点だった。断わっておくが、これは読み手側の読書に臨む姿勢の問題で、作品に問題があると言っているわけではない。ちゃんと集中して読めば、ちゃんと良さを味わえる作品だと思う。 せっかく乗りかかった舟なので、そのうちに続編もちゃんと読んでみたいと思います。
祖母の形見の零細人形店を継ぐことになったOL澪。押しかけアルバイトの人形マニア、冨永くんと謎の職人、師村さんに助けられ、お店はそこそこの賑わいを見せていた。「諦めてしまっている人形も修理します」という広告に惹かれ、今日も傷ついた人形を抱えたお客がやってきて澪たちは東奔西走することに。チームワーク抜群の3人の活躍が始まる。