最弱無敗の神装機竜《バハムート》4 特典ブックカバー
2014年後半の5★ペーパーバック(その3)
ベラ・チャスラフスカ
「五輪の名花 チャスラフスカ 栄光と失意の五十年 VERA68」 @NHK BS1
チェコ国営テレビ制作のドキュメンタリー映画。1964年東京オリンピック、東洋の魔女、アベベなど話題も多かったが、中でも五輪の名花と呼ばれたチェコ・スロバキアの体操選手、ベラ・チャスラフスカ。優美な演技は日本をそして世界を魅了した。たしかNHKのテレビだったと思うが、「スカーレットのユニフォーム・・・」というアナウンスが今でも耳に残っている。続くメキシコオリンピックでも大活躍。しかし民主化運動プラハの春で二千語宣言に署名した彼女は不遇な時代を迎える。1989年ビロード革命によってようやく民主化を果たしたチェコで、ベラは大統領府で働くことになる。その後家族の問題などでまた長く失意の時を送る。栄光の頂点、奈落の底を行き来した50年を自身の言葉で語る。チェコ日本友好協会の会長を務めるなど、日本とのかかわりも深い。2010年日本はベラ・チャスラフスカに旭日中綬章を贈っている。
ビッグデータ入門
3日遅れですが、新年あけましておめでとうございます。
今年も前年同様、記事掲載が不定期になりそうな気配ですが、
一本一本に意味のあるものを書き残していきたいと思っております。
サンチャイ☆ブログは今年2月に開設10周年を迎えます。
10年も続けていると、もはやこれ自体立派な個人アーカイブですね。
読書メーターによると、昨年は雑誌も含めると、191冊読んでたそうです。
2日に1回の更新ペースだとブログで紹介できない本もあったようです。
読了後すぐに記事を書かないと記憶が薄れてしまい、余計に書けなくなります。
僕の読書は1つのテーマにつき、関連書を2、3冊はまとめて読むことが多いので、
そういうタイプの記事をもう少し書いていくようにしていけたらとも考えています。
そこでそうしたトライアルの第1回ということで、「ビッグデータ」を取り上げます。
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Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2014年 9/2号 [ビッグデータ 可能性と限界]
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羽生善治全局集 ~デビューから竜王獲得まで~ 出版社/メーカー: マイナビ
道歌その1
フランス人は10着しか服を持たない
![]() フランス人は10着しか服を持たない~パリで学んだ“暮らしの質"を高める秘訣~
|
間食はせず、食事を存分に楽しむ。上質な物を少しだけ持ち、大切に使う。日常のなかに、ささやかな喜びを見つける。典型的なカリフォルニアガールだった著者は、フランスの貴族の家にホームステイすることになる。その家を取り仕切るマダム・シックから学んだ、毎日を“特別な日”のように生きること。 (Amazonより抜粋)特に目新しいことは書いてないと思うし、そもそもこの手の本はそんなに好きではないのですが、「消費大国アメリカ・カリフォルニアの女子大生が見たフランス文化」というのに惹かれて読んでみました。半年間ホームステイしただけの著者が「これがフランス貴族の暮らし方!」と書いてる点は目をつぶるとして、海外に住んだ経験がその後の生活様式を変えたり、自国にいる時より気にいっていた暮らし方のあれやこれやが帰国したらできなくなって嘆くというところは良くわかるので楽しく読みました。
教室はまちがうところだ
娘も小学生にあがり、早1年が経とうとしている。
あ〜1年って早い、なんて新年早々いうことじゃないですが•••
そんな娘にっていうか、学校の先生にも一読を勧めたいのが
こちら ↓
『教室はまちがうところだ』
蒔田晋治 著
内容は•••まぁタイトルのまんまで、教室ではどんどん手を
あげて、どんどん発表して良し!ということなんですが、
「間違えた時も、みんなでなぜそうなったのかを考える」
「黙ってないで、どんどん発表する」など、なんだか会社の中でも
通じそうなことが書かれているので、ハッとすることもしばし。
最近、娘の宿題を見ることもしばし。
間違えたほうが理解が深まると実感。
いつまで教えられるか、不安になりつつ、今日もこれから
宿題に同席します•••
『風の中のマリア』
風の中のマリア 百田尚樹
一昨年映画化で話題になった「永遠の0」や第十回本屋大賞受賞「海賊とよばれた男」の著者でもある。TV放送作家出身で、その映像的エンターテイメント構成は、読み手を作中にぐいぐいと引き込む。
また、執筆に関連する総てのことを仔細徹底して調べあげることでも一目置かれる存在である。氏の著作の中で、「風の中のマリア」は異彩を放つ作品だ。極めて学術的に描かれていながら、同時に冒険小説のように力強く、血湧き肉躍る快感すらある。希有な面白さを持った不思議な感覚。それは主人公にある。
マリアは蜂。ヴェスパ マンダリニア、非常に獰猛で攻撃性も攻撃力も極めて高いオオスズメバチのワーカー(働き蜂)。およそ三十日間の命しか持たず、他の昆虫を襲って妹たち(作中マリアは幼虫をこう呼ぶ)の餌にする。固い甲殻類の甲殻をも噛み砕く大顎を持ち、太い針からから噴出する毒液は大型哺乳類をも殺傷するハンターの一生涯だからである。
動物を主人公に置いた作品は、古典的名作「シートン動物記」をはじめ数限りなくある。働き蜂の生態・捕食する生き物との関係にまで忠実に追った点でも他に類を見ない秀逸な作品だと思う。
蜂の基本的な生態について、分かっているつもりでいた。それは、ミツバチ(セイヨウミツバチ)のそれでしかなかったのだと、読み進める中で痛感した。オオスズメバチは、全く異なる生態を持っていた。その至上最強の蜂に、集団で取り付き体温を上げ、熱で拮抗するニホンミツバチの『蜂球』攻撃。太古からオオスズメバチと戦い、共存のために編み出した圧巻の戦略。それに反して、外来同種のセイヨウミツバチには無抵抗で蜂蜜の総略奪を許し、餓死するしかないニホンミツバチの性をカメムシやシデムシに語らせる。「生」のシステム総てが、固有種の遺伝子に組み込まれているか否かなのだとまざまざと知らされた。
作中、オオスズメバチの単倍数体性ゲノムにまでかかわり、種の存続を謳う。最期を予感し始めた『母なる女王』は、大きい育房室にワーカーの卵を産み始める。新女王となりえる卵だ。ワーカーは産卵できないのではなく、『母なる女王』のフェロモンに抑制されているのだという。ワーカーの幼虫たちが新女王たちとなるためには、自らのフェロモンを消し去るしかない。自ら産んだワーカーらに自身を殺させることでそれを果たす。それと同じくして、フェロモンが消失した巣の中では、若いワーカーが疑女王バチ化して無精卵から雄バチを産む。ワーカーから生まれた雄バチは、『母なる女王』のパートナー『偉大なる父』のゲノムを女王のそれよりも高い割合で保持しているためだ。母なる女王が居ない巣の中であっても、残ったマリアたちに乱れはない。新女王となるべき妹たちと『偉大なる父』のゲノムを有する弟たちを羽化させるために敵を捕食し、彼・彼女らに与えていく。キイロスズメバチの巣から幼虫やサナギを奪う集団攻撃は、血なまぐさい殺戮・戦闘行為であるのだが、DNAにプログラミングされているかのような連携と動きには美しさすら感じてしまう。他のスズメバチにはないオオスズメバチ特有のものだという。
「あんたたちは生まれた時には母がいる。強力な帝国の中で生まれて、姉たちに育てられて大きくなった。成虫になるのに何の危険もなかったんだ。そんな虫はどこにもいやしない。あたしたちは違う。生まれたときには母もいないんだ。何百匹という仲間と一緒に生まれるが、情けないくらい小さな体で生まれてくるんだ。守ってくれるものなんか誰もいない。生まれた時から戦場の中だ…」オオカマキリがマリアとの死闘の中で吐く言葉である。
生まれ育っていく子ども達に、任された年限の間に施すべきものは何なのかを自問する。マリアには遠く及ばないが、『守る』は忘れてはならない答えだと言える。
講談社文庫
図書館奇譚/村上春樹~ひつじ年なので、羊男の違いについて
【図書館奇譚/村上春樹/14年11月25日初版】
お、村上春樹の最新刊や。こんなん知らんで。新刊の予定なんかあったん?
新刊と言えば新刊でしたが、「カンガルー日和」に収録されてた作品に手を入れて、絵本になって出た作品でした。カンガルー日和は2~3回読んだ記憶があるのですが、作品の記憶はうっすらとしか残ってません。
あらすじは、僕がオスマントルコ収税政策について図書館に調べに行きます。すると持出禁止と言われて、地下の閲覧室に強引に連れていかれ、閉じ込められてしまいます。
そこでは本をたくさん読まされます。本を読んで知識の詰まった脳は、とろりとしてつぶつぶがあっておいしいとのこと。1か月後にはおいしくなった脳をちゅうちゅう吸われてしまいます。
僕はそこで美少女や羊男に出合い、助けられ脱出を図ります。さて、どうなるのでしょう。
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図書館奇譚には4つのバージョンがあるそうです。1つめは1982年6~11月にかけて百貨店のPR誌に掲載され、他の短めな作品と一緒に1983年9月に「カンガルー日和」として出版されたもの。
2つめは「村上春樹全作品1979~1989」に収録する際、せっかく違うフォーマットで出版するのでと手を入れたもの。
3つめは2005年に日本で絵本化の企画がでて、子供向けにリライトしたもの。
4つめはちょっとややこしい。
2013年にドイツの出版社がドイツ人画家に新たに描かせた絵本版に関係します。文章は3つめがテキストになってる。この本は世界各国で出版され、スペイン語、イタリア語、ヘブライ語、チェコ語、フランス語、中国語、韓国語に翻訳されたそうです。
今回ドイツ語版絵本の日本での出版時に、1つめの文章にあらためて手をいれ、ドイツ語版絵本の絵の雰囲気に合わせ書き直した。それがバージョン4とのこと。
この作品はなぜかイラストレーターの創作意欲をそそるらしく、現在アメリカとイギリスで、それぞれ異なったデザインでの「図書館奇譚」プロジェクトが進んでるそうです。アメリカ版はおしゃれにスーパーポップ、イギリス版はため息をつくくらい緻密に知的に仕上げられてると。
なんやえらいワールドワイドっすね^^;
イラストレーターの気持ちわかります。村上春樹といえば羊男ですよね。何度もいろんな作品にでてくる。読んでるときに、羊男ってどんな格好してるんだ?と常々思ってました。今は羊男に慣れてしまって、想像すらしないのですが、はじめて村上作品にふれたときは、羊男の姿を頭の中で何度も思い描いてました。
で、今回ひつじ年やし、みなさんの思い描く羊男と、ドイツ人の考える羊男と、どれだけ違うか。比較のためフォトを貼っておきます。
(ドイツ人の描いた羊男)
「これや~、オレの思った通りの羊男や~」という方もいらっしゃるでしょうし、
「ちゃうちゃう、こんなんちゃうで~、やっぱ佐々木マキverがええわ~」という方もいらっしゃると思います。
(普通の佐々木マキverの羊男)
ひつじ年にあたり、羊男のイメージをお送りすることで、
新年のご挨拶とさせて頂きます。<_ _> メエ~
ひつじ年ということで、ベタですが、ポールのラム・オンを♪
第四百三十九話_short 願い
正月くらいはいいだろうと、元旦開けから昨日まで一歩も外に出ずに家でごろごろ過ごしてしまった。年末に買い込んだ食料やお酒があれば結構何もせずにいられるものだ。
三日目の朝、ようやくテレビにも飽きてきて、外に出てみようかと思いついて、妻と二人で出かけることにした。あんまり怠惰な生活を続けるのも、体がなまっていけないなと思ったからだ。かといって街に出るのも面倒だし、お金も使いたくない。近場の社で初詣を済ませよう。そうね、それがいいわ。そういえば一年前も同じようなことをした気がする。
近隣にあるのは、三が日というのに参拝客もほとんどいないほどの小さな神社。お詣りするのに行列に並ぶなどまっぴらごめんだと思っている僕にはこの上なく理想的な神社だ。大社だから霊験あらたかだというわけでもあるまい、むしろこういう忘れ去られたいうな社にこそなにか隠された力があるかもしれないではないか。
財布から五円玉を取り出して言う。
なにもケチっているわけではないんだよ、五円玉はご縁があるようにって意味なんだ。
知ってるわよ、それくらい。でも、十円でもいいかしら?
いや、十円玉はむしろよくないらしいよ。
どうしてよ?
まぁ、駄洒落みたいなものだけどね、十円は遠縁って読めるからさ。
なあんだ、でもご縁だって駄洒落だものね。
二人並んで社の前で二礼、鈴鳴らしてお賽銭を放り込んで柏手を二回、黙って手を合わせる。
ねぇ、なにをお願いしたの?
なにも。だってさ、神様にお願いなんてしちゃあいけないんだってよ。
うそ、どうして?
人間は勝手なお願いばかりしおって、そんなことより感謝の気持ちを示せ、神様はそう思ってるって。
ほんとうかしら?
さあね、バイ細木数子だし。
私、いっぱいお願いしちゃった。怒ってるかしら、神様。
まぁ、いいんじゃあないの?
そんなたわいのない会話で初詣を終わらせるのは毎年のことだ。一年に一度だから去年話したことなど忘れてしまっているフリをしているが、あれ? 去年も同じことを言わなかったっけ? お互いにそう気がついている。
僕は願いことなどせずに、ただただ自分自身に言い聞かせるように、今年一年の決意みたいなものを神様に告げたんだ。
今年こそ見つける。楽に生きる方法を。たとえば楽してお金儲けができるような。いやいや、神様にお願いなんてしないよ、自分で見つけるよ。でもね、そんなうまい話はなかなかないよね、神様、ヒントくらいくれないかな、気が向いたらでいいから。
それから僕たちはまっすぐに家に帰って、また寝正月の続きをする。あと二日だけごろごろして。一年前とまったく同じ。
了
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南坊好日 氏家 秀
天正八年、水無月の半ば、尾根にかかる霞雲が狼煙に見えてしまう早暁のことである。 右近は白々と明けてきた辺りにふと気がついた。 己は眠っていたのだろうか?いや、天主が落としたもうた清澄な朝露に酩酊していたに相違ない。暁の兆しにも気がつかなかったのは、亀石の尾ばかりに目が置かれていたからだろう。己が彫らせた縁起物の亀石である。大殿からの過分の祝い、二万石から四万石に加増された祝いに、足許の高槻城を生涯の城として磐石たらしめるべく、千早赤坂にあった石に彫らせた亀であった。 「ぢすとさま、石を十字架に刻むならまだしも、仏門の庭石のような亀を刻まれた」 さても今更ながら、切支丹の己が万年生きる亀を彫らせたこと、傍目には些か面妖には見えなかっただろうか?なんとも、己はこころね優しいことか。このジュスト高山は、高槻の「ぢすとさま」なのである。摂津の我が民はそう呼び、オルガンティーノ師は肩を抱いて祝福を告げてくれた。師はむろんのこと、臣下や民の誰一人とて亀石を見咎めた者などはいない。石に万年の安泰を願って亀を彫らせたのである。そうだ、面妖に見えはしないかとは、四万石に連なる民百姓への気苦労でしかない。こころね優しいジュスト高山の気苦労は日々のものだ。 それにしても磐石を見ようとするのは、戦乱打ち続く中にあって死を怖れてか?まさか、この巳は、紙衣一枚で大殿に首をさしだした高山右近である。右近は鼻にかかった笑いをもらした。 「殿、殿…何卒、お休みくださいませ」 洗礼名ジュスタをもつ妙(たえ)は辺りを憚るように声をひそめていた。 「おるがんちの様には、一晩中、祈り続けておられたことをお伝え申しあげます」 右近も寝ておいて然りと納得したように頷いた。 「そうだな、些少なりとも寝ておこう。して、おるがんちの様がお見えになられたら、起こしてくれ」 「かしこまりました」 右近は空欠伸をまじえて、伸びをするように縁台から後退した。 「して、妙…祈っていたなどと言わなくてよい。ただ眠れなかったのだ」 「ただ眠れなかった…」 「戦のない好い日が続くゆえ、どうも深く寝つけないようじゃ。そこで、洗礼の晩の月を思い出してここに出てみたが…月を忘れて、この亀ばかりを見ておった」 「些少なりともおやすみくださりませ」 妙のどこか失望したような嘆息が右近の耳にかかった。 「あい分かった、寝ておくゆえ」 追いすがるように妙の気配を背後に見ようとしたが、素っ気ない足の擦り音だけが明けの薄暗がりに退いていった。 優しくすることにも擦れ違いがある…小さな憤慨のようなものが薮蚊のようにかすめた。ジュスト高山の女房ジュスタ、父が黒田の縁者から右近の奥に相応しいと連れてきた妙、あのか細い少女だった妙は、今では右近よりも熱心な切支丹だった。口にするのはオルガンティーノ、黒づくめのおるがんちの様のことばかり。右近は舌打ちして肩衣を左からはずした。 「らふる、らふるを着けよとな」 右近はそう呟きながら左手を首筋に置いてみた。 明日は、いや、晩には掻かれるやもしれぬ、この摂津の汗首…オルガンティーノ師は、その汗首に南蛮人らしいラッフル、あの襞のついた白い襟を着けるよう言われていた。高坏の生首ではないか。白装束で覚悟したことのある己には、重ね折りした懐紙敷きの高坏の生首を思ってしまう。 大殿に献上する生首なら誰の首としよう?定めし本願寺の光佐か毛利輝元あたりなのだろうが、忘れてならぬのは村重殿。風の噂では出家なさったとか。いっそ早くから切支丹に親しんでもらっておくべきだった。 「右近、らふるにて飾りつけた高坏の首、右近の手による妙の細首を所望する、と申したら如何する」 右近は思わず胸元の十字架を握り込んだ。 大殿の甲高い語り、あの落差のある滝のような語りには、誰も逆らえない…すべてが御意のままとなる、天主の御心と同じように。されど大殿の御心に天主は居わしない。むろん仏門の言にもお耳を貸されない。 いずれ天主も邪魔立てされはじめたら…南蛮の鎧兜などの興味も、本願寺十一世への怒憤などと同じめとなれば、日の本の切支丹は立つ瀬がなくなるどころか、畿内に生きることは難しくなるであろう。そもそも日の本から追われることになるやもしれぬ。 「右近殿、何事も幼き頃よりの鍛錬がもの申すと言われるが、貴公の切支丹としての信心は齢十二よりと聞き及ぶ。わしのような片脚を駄目にした者が、馬を乗りこなした脚を懐かしんで、己の都合から一時なりとも切支丹を信心しようとするのは、定めし卑怯であろう」 黒田殿の申され様は、岩牢に押し込められ片脚を潰して、この世にやり場のない恨み言にすぎない。ああいう軍師面にこそ天主の教えが肝要なのだ。 「右近、わしが殿であったら、村重の女房、多子(たし)は、首を斬らずに安土に連れていったであろうな。足元の安土の『せみなりよ』におけばよい。さすれば、多子に会いとうなったら、おぬしの師『おるがんちの』に連れてこさせればよい」 羽柴殿の申され様は、どこまでも畜生臭い申され様じゃ。尾張の百姓は終わりまで百姓じゃ、いかほど大殿の真似をしてみようとも。大殿にはお分かりになる目がある。大殿には波頭を越えて来る真摯な者がお分かりになるのだ。 南蛮服姿で栗毛に跨った信長を想うと、右近は痛いほど十字架を握って些少な眠りを求めた。後に南坊と号するジュストは、この日も汗ばむ刻にジュスタが起こしにくるまで眠りを貪っていた。 了
Esio Trot
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小説 トキオ(東野圭吾) あらすじとアサキの感想
東野圭吾さんの小説「トキオ」のあらすじと感想なんかを書いた記事です。
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今回ご紹介する本は東野圭吾さんの「トキオ」です。
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東野圭吾さんといえば本格派ミステリーが主流ですが、こちらの作品も番外編って感じがします。
テーマは「家族の絆」
SF要素を上手く組み込むことで、そのテーマを実に鮮明に浮き上がらせていると思います。
どんなSF要素かというと、それは以下のあらすじにて…
若かりし頃、定職を持たず自堕落な生活を送っていた主人公拓実の前に一人の青年が現れた。
彼はトキオと名のり、初対面であるはずの拓実になぜか馴れ馴れしく接してくる。
嫌々ながらもトキオと話を続けるうちに拓実は違和感を覚える。
トキオは拓実の過去を知っているのだ。
どこかで知り合っていたのか、彼の正体はいったい何者なのか…
そんな拓実の疑問にトキオはサラッと答える…
「俺はあんたの息子なんだよ。あんたも何年か後には結婚して子供を作る。その子供が俺なんだ」
あまりに現実離れした話に拓実はトキオを怪しいやつだと判断し、一切信じようとはしない。
それでも拓実はなぜかトキオとの関係を打ち切ることが出来ない。
彼は本当に俺の息子なのか…
拓実の抱く疑問を含み物語は緩やかに、でも確実に集結へと向かう。
訪れる結末には誰もの心を温める、美しい「家族の絆」が描かれている…
冒頭でSF要素があると書きましたが、私的には純粋な「人間ドラマ」を描いた作品だと思って読み進めて問題ないと思います。
なぜ未来から人が来るのか、どんな仕組みがあるのか。なんてことは一切考えなくて良いです。
物語としてのメッセージを強調するために「トキオ」の存在は実に有効で、本当に考えてほしい個所は、その先にある拓実の心境の変化だったり、子供が親を思う気持ちだったり…
読み終えてホッコリとした気持ちになれることは保障いたします!!
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戦後韓国と日本文化 「倭色」禁止から「韓流」まで
1月に購入するドラマCDは
年末は忙しくて、恒例の記事をまったく手を付けることができませんでした。 こりゃまずいと、あせあせ お待たせしました。 1月に購入する予定のドラマCDを、お知らせします。 聴いたら感想も載せますので、参考にしていただけたらうれしいです。 ・1/16 もしカレvol.2~もしもあなたの日常に俺様カレシがプラスされたら~/BlackButterfly 働く女性のリアルな日常とオフィスラブがテーマのシチュCDの第2弾は、同期の彼と 小西克幸さん オレ様役ということで、低い色っぽい声なのか、能天気な明るい声なのか、どっちだろう?

もしカレvol.2~もしもあなたの日常に俺様カレシがプラスされたら~
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: BlackButterfly
- 発売日: 2015/01/16
- メディア: CD

ドラマCD「大好きな彼とHして腕まくらでピロートークされちゃうシリーズ」 第6弾:同棲彼氏と2人のおうちで(ハート)編
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: フロンティアワークス
- 発売日: 2015/01/28
- メディア: CD

relacion dulce vol.3 お酒のチカラで迎える新しい人生
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: BlackButterfly
- 発売日: 2015/01/30
- メディア: CD
測量船
年が明けて三好達治の著作がパブリックドメインになったそうなので、早速青空文庫でダウンロードする。
『測量船』、いいなあ。
「太郎を眠らせ」とか、「夕ぐれ とある精舎の門から 美しい少年が帰つてくる」とか、教科書に載ってたりしたよな、たぶん。
教科書に載ってたから嫌だという人もいるんだろうな。
私の場合は中学高校の頃、学年の初めに国語・現代国語の教科書を受け取ると、文学作品をさっと読んでしまって、おもしろかった著者の本を求めて図書館や本屋さんに走ったものです。
勉強してるというんじゃなくて、娯楽として楽しんでいたんですな。
▼青空文庫
koboは動きがとろ~りだし、普段持ち歩いていないので、サクサク読めるiPhoneにまず入れよう。
と思ったら、「三好達治」がない?
あ、「青空文庫データベース」を更新?
やっぱりない。
でも、「測量船」が見つかった。
よしよし。
一応koboにも入れておこう。
手順を復習。
青空文庫にあるzipファイルのURLを青空キンドルに放り込んで、PDFファイルを生成。
ファイル名は変えておいた方がいいぞ。
「sokuryousen.pdf」ふらいか。
これでよし。
▼青空キンドル[Beta]
紙の本買えよって?
いや、持ってるんですよ、三好達治詩集。
家のどこかに……。
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幻泉館主人@gensenkan99 2:10
[ネットゲリラ] ネトウヨ怒りの天皇在日認定 http://my.shadowcity.jp/2015/01/post-6302.html
#ネトウヨ #極右 #安倍晋三 #天皇制 #今上天皇 #護憲 #改憲 #騎馬民族征服王朝説
高田漣@rentakada 1/2 21:15
明けましておめでとうございます。
すでに昨日の父・高田渡の誕生日に情報解禁になりましたが来年は父が亡くなって10年という節目の年であります。
そこで様々な企画を同時に始めます。詳しくは... fb.me/6WObEJLWN
高田漣@rentakada 1/2 21:01
少し前にもTweetしましたが僕が子供の頃に壊れたままおもちゃになっていた父・高田渡がフォークシンガーとしてデビューする前の愛機ケイキカマカのウクレレを職人さんにお願いして修理して頂いています。月末の録音に間に合うと良いなぁ。 pic.twitter.com/SoYlUWWuPL
tkq@tkq12 1/2 15:03
竹中平蔵は日本にどういう深い怨みがあって、ここまでできるのだろうというのが素直な疑問
竹中平蔵氏が「朝まで生テレビ」で非正規雇用について熱弁 #ldnews http://news.livedoor.com/article/detail/9634197/
寺田 学@teratamanabu 1/2 13:21
東北電力さんから年賀状を頂いた。今年こそ原発の再稼働を会社を挙げて頑張る、との決意表面。今年は大きな時代の境目になる。 pic.twitter.com/SQcZlIMz8O
ゆりかりん@yurikalin 1/2 16:40
桐生康生
‥・という殺人鬼の名を歴史に残しても良いかもしれない。 fb.me/4ipnp5gQU
幻泉館主人@gensenkan99 1/2 18:09
野良猫への餌やりに「責任」…条例化検討する市 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) http://www.yomiuri.co.jp/national/20141231-OYT1T50078.html
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小説 海の底(有川浩) あらすじとアサキの感想
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有川浩さんの小説「海の底」のあらすじと感想なんかを書いた記事です。
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今回ご紹介させていただくのは、有川浩さんの「海の底」です。
この小説は有川浩さんの第2作であり、前にご紹介した「塩の街」「空の中」と並んで自衛隊三部作と呼ばれる作品です!
塩の街は陸上自衛隊の隊員が、空の中では航空自衛隊の隊員が主人公でしたが、今回の「海の底」はご察しの通り海上自衛隊の隊員が主人公の作品です!
それでは、まずはあらすじからご紹介させていただきます。
ある日、米軍横須賀基地では桜祭りというイベントが開催されており、一般解放されていた。
音楽隊のパレードなどに市民が集まり、盛り上がっている米軍基地。
そんな米軍基地には、実は少しではありますが海上自衛隊の敷地がある。
そこに停泊していた海上自衛隊の潜水艦「きりしお」の乗組員こそ、主人公である夏木大和(なつきやまと)と冬原春臣(ふゆはらはるおみ)。
さて、そんなこんなでたくさんの市民があつまった米軍基地に緊急事態が起こる。
なんと、数メートル級の巨大な甲殻類が米軍基地を襲ってきたのだ。
その見た目はザリガニにそっくりですが、その巨大な甲殻類の群れは、残虐にもたくさんの死傷者を出してしまう。
そんな中、避難に遅れた子ども達を夏木と冬原は助け出す。
しかし、徐々に巨大ザリガニ、のちにレガリスと呼ばれる甲殻類が大群で押し寄せ、子ども達どころか自分達も逃げる事ができない。
仕方なく、夏木と冬原は子ども達とともに潜水艇「きりしお」に閉じこもる事になり、そこに至までに夏木と冬原の上司レガリスの犠牲となってしまった。
そんな極限状況で、潜水艇の中で孤立してしまった主人公の2人と子ども達。
そんな総勢15人の潜水艇内での生活と、レガリス一層に働く機動隊や警察の壮絶な戦い…さらに、恋愛模様や人間ドラマも詰まった、もはやジャンルを飛び越えたお話です。
どうでしょう、なんとなく雰囲気は伝わったでしょうか?
前にも何かの記事で書いたと思うのでしょうが、僕はわりかし「謎の生物」だとか「宇宙人」、もしくは「特殊能力」的な、洋画でよく言われるSF的な物は得意ではありません。
しかし、この小説は本当にすらすらと読む事が出来ました!!
それでは、アサキのオススメポイントをご紹介します!
①極限状態の中なのに、リアルな生活感もしっかりと描かれている!
②警察や機動隊のレガリスとの戦いがドキドキする!
③とにかく、海上自衛隊の方々がかっこ良すぎる!
オススメポイントの最初に挙げた「リアルな生活感」とは、例えば食事だったり人間関係だったり、お風呂だったりの事です。
極限状態とはいえ、やはり15人の集団生活の中で起こる問題の数々を、有川さんは女性ならではの目線で細やかに描かれています!
また、人類対謎の生物「レガリス」の戦いも、その非現実的な状況を感じずにすんなりと受け入れ、その戦いぶりにドキドキします。
ちなみに、この小説には番外編である「前夜祭 海の底」も収録されています!
ここでは内容には触れませんが、本編を読み終わったあとでちょっと笑える番外編を読むと、本当に気持ちの良い読書感が溢れてきます!(もちろん本編の最後も大変気持ちのよい読書感です)
個人的には自衛隊3部作の中でもお勧めの作品である「海の底」
ぜひ、読んでみて下さい!
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小説 ビタミンF(重松清) あらすじとアサキの感想
重松清さんの小説「ビタミンF」のあらすじと感想なんかを書いた記事です。
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今回ご紹介する本は重松清さんの「ビタミンF」です。
※Amazonへのリンクとなります。
タイトルの通り、この本は体にちょっとの元気をくれます。
テーマは「家族と向きあう父親姿」
7本収録されている短編集の主人公は、皆、人生の中間地点を迎える38歳~40歳のお父さん。
一般的な小説では到底主人公になることのないような、どこにでもある家族のどこにでもいるお父さんの姿を描くことで、普段は味わうことのできない新鮮な感情を抱くことが出来ます。
7本の中から私が特に気に入っている3本をご紹介いたします。
① 「はずれくじ」
妻の入院をきっかけに思春期を迎える中学生の息子と二人で過ごすことになった父親の物語。いざ二人になると何を話せばよいのか、どうやって距離をとればよいのか…これまで自分がいかに育児を妻任せにしていたのか痛感しつつも、それでも必死に家族と向き合おうとする父親の姿に元気を貰えます。
② 「パンドラ」
中学生の娘が万引きをして補導された。しかもその娘の陰には不良と思われる男の影が。娘を気遣う妻の姿をみて父親は違和感を覚える…。表面上は良好な家族を築けていたと思っていた父親だったが、この万引き事件をもとに、彼はいかに現実が見えていなかったかを痛感することになってしまう…
③ 「セっちゃん」
明るい性格で誰からも人気がある娘を誇りに思っていた父親は、そんな娘から「とある転校生」の話を聞かされる。しかもその転校生は学校でいじめにあっているという…そんな彼女を娘は助けたいと話すが、その話にはどこか違和感がある…父親として真実を知らない訳にはいかないが、突きつけられた真実は、やはりというべきか、父親を悩ませるものだった。
3本ご紹介させていただいて気付いたかと思いますが、どの話も正直愉快な話では決してありません。
それぞれの家族が抱える闇の部分に、大黒柱であるはずの父親が真剣に向きある。
決して単純なハッピーエンドではないけれど、それでも「また頑張っていこう」そんな気持ちに思わせてくれるこの作品を、私は自分が父親になりちょっとだけ人生に疲れてしまった際には読み返すのだと思います。
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小説 ペンギン・ハイウェイ(森見登美彦)あらすじとアサキの感想
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森見登美彦さんの小説「ペンギン・ハイエウェイ」のあらすじと感想なんかを書いた記事です。
※Amazonへのリンクとなります
本日ご紹介させていただくのは、森見登美彦(もりみとみひこ)さんの「ペンギン・ハイウェイ」です。
この作品は、第31回日本SF大賞を受賞された小説で、森見登美彦さんの常人離れしたスケール感が味わえる作品となっております!
それでは、まずはあらすじからご紹介させていただきます!
主人公は小学校4年生の「アオヤマ君」
彼は、いつもノートを持ち歩いており、そのノートの上で研究を重ねている。
毎日きちんとノートをとり、たくさんの本も読み、早起きで、頭の良い少年だった。
彼は、小学生ながらたくさんの研究を抱えている。
学校の裏の森の中を伸びる水脈を辿る「プロジェクト・アマゾン」
学校のいじめっこである「スズキ君」を研究した「スズキ君帝国」
本編に直接関係はないようだが「妹わがまま記録」という研究まで抱えているらしい。
そんなアオヤマ君が住む街に、突如たくさんのペンギンが現れる。
アオヤマ君はもちろんそのペンギンについても研究を始め、研究が進むにつれて通っている歯科医院の「お姉さん」が関係している事をしる…。
その後、さらに不思議な現象が起こり続け、アオヤマ君はその一つ一つを研究していくと、それらが一つの研究だった事に気付く。
そして、全てが繋がったとき、世界は大変な状況に…
簡単に紹介させていただくと、こんな感じでしょうか?
ちなみにとっても頭がいいアオヤマ君には、研究仲間に「ウチダ君」と「ハマモトさん」がいます!
正直にお話すると、読み終わるまでにちょっと時間がかかりました。
なんというか、日常に垣間見えるSF要素が中々に壮大なスケールで…
しかし、慣れてくるとその魅惑の世界へ徐々に引き込まれていく感覚は、さすが森見登美彦さん!
ここで、アサキのオススメポイントを3つご紹介させていただきます!
①しっかりしすぎながらも、小学生のお話らしい場面がなごむ
②歯科医院のお姉さんがミステリアスながら魅力的
③子どもながらも一生懸命に研究を重ねるアオヤマ君達がうらやましくなる
子どもの頃、探検ごっこなんてやりましたよね!
それは、今となってみれば子どもの遊びだったのかもしれませんが、当時は大冒険だったり、その事で頭がいっぱいになっていたりしていた方も多いのではないでしょうか!?
つまり、アオヤマ君を始め、この物語に出てくる小学生達はそんな貴重な体験をしている真っ最中なのです!
そこで、本当に大変な出来事に直面してしまうのではありますが…
非日常を味わえる上に、幼い頃の懐かしい想いを味わえる「ペンギン・ハイウェイ」
SF好きな方にはオススメの一冊です!
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