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第四百三十二話_short パフォーマンス

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 アルゼンチンの作曲家、マウリシオ・カーゲル(Mauricio Kagel、1931年- 2008年)の楽曲「ティンパ二協奏曲」がネット上で話題になっている。オーケストラ演奏のラストでティンパ二が盛り上げ、最後の一音で打楽器奏者が頭からティンパ二の中にのめり込んでしまう。

 

 まるでコントなのだけれども、この作曲家はほかにも指揮者が途中で倒れてしまう、全編ベートーヴェンの楽曲で構成されているなど、ユニークな曲ばかりを作った。ピアノの前に座ってまったく音を出さない「無音」という楽曲もあるうらいだから、現代アートとしてはなんでもアリなのだが……。

 この作曲家にインスパイアされた音楽家がいた。

 円尻カゲルは、モダンミュージックを目指していた。アートというかパフォーマンスに近い音楽を作りたかったのだ。カーゲルの作品に大きく影響を受け、全編レディ・ガガの曲で綴った交響曲も作ったが、ただのパクリもしくはカヴァーじゃないかと揶揄された。お化けの格好をしてゴーストライターもやってみたが、取引相手の佐村鬼河原守が嘘つきだったので頓挫した。そこでいまは派手で面白いパフォーマンス楽曲を地道に作っている最中だ。その一部を披露してみると……

 チャイコフスキーも「序曲1812」で大砲を鳴らしたのだが、カゲルは「序曲20010911」の譜面 では、オーケストラの真ん中に一対の塔をしつらえ、クライマックスで飛行機の模型を飛びこませて破壊するように指示が書き込まれている。

 交響詩「仁義」では、楽曲の中盤で着流し姿の男たちが拳銃や刀を持って楽員に襲いかかるとなっている。

 幻想曲「河童場所」では、クライマックスでマジシャンが現れてオーケストラを丸ごと消してしまうし、小品「アベノ混ぜ」ではソリストに安倍首相を迎えて全編演説が続く背景でオーケストラが演奏するように指示されている。 

 そんなユニークな楽曲の中でもこれは演奏不可能だろうと囁かれているのが、『来訪」という交響曲だ。厳かな序奏にはじまり、電子音や映画「未知との遭遇」のモチーフを絡めながらエンディングに向かっていくのだが、中盤では矢追純一と大槻教授が登場して激論を交わし、クライマックスではオーケストラの真ん中に台座がせり上がってきてUFOを召喚するというのだ。この演奏はUFOが来訪するまで終わることができない。だから演奏不可能なのだ。

 これらの楽曲はとある場所で密かに公表され一部が披露されたが、聴衆はほとんど来場せず、未だ話題にも上っていない。我々が耳や目にするためには彼が自ら演奏してユーチューブ等にアップするのを待つしかないようだ。 

                      了

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傑作ミステリー! 【満願】

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第27回山本周五郎賞受賞 2015年版「このミステリーがすごい! 」第1位 2014「週刊文春ミステリーベスト10」 第1位 2015年版「ミステリーが読みたい! 」 第1位 数々の賞を受賞している最高峰ミステリー小説。 面白くなければキレていいレベルではないでしょうか? そのぐらい私は自信を持ってお勧めする作品です♪ ところで私には生まれてからずーっと解けないミステリーがあるのです。 どうして私は痩せられないのだろう… 深い…とても深すぎる謎だ。 とりあえず肉まんを頬張りながらもう少し考えてみることにします。

満願

アンナ・カヴァン

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氷

  • 作者: アンナ・カヴァン
  • 出版社/メーカー: バジリコ
  • 発売日: 2008/06/04
  • メディア: ハードカバー
    アサイラム・ピース

    アサイラム・ピース

    • 作者: アンナ・カヴァン
    • 出版社/メーカー: 国書刊行会
    • 発売日: 2013/01/22
    • メディア: 単行本
      われはラザロ

      われはラザロ

      • 作者: アンナ・カヴァン
      • 出版社/メーカー: 文遊社
      • 発売日: 2014/05/27
      • メディア: 単行本
        ジュリアとバズーカ

        ジュリアとバズーカ

        • 作者: アンナ・カヴァン
        • 出版社/メーカー: 文遊社
        • 発売日: 2013/04/28
        • メディア: 単行本
          愛の渇き

          愛の渇き

          • 作者: アンナ・カヴァン
          • 出版社/メーカー: 文遊社
          • 発売日: 2013/10/29
          • メディア: 単行本

『NOVA+ バベル: 書き下ろし日本SFコレクション』

陰謀   氏家 秀

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 法務総合研究所の名古屋支所からJR名古屋駅までは、うまい具合にタクシーが拾えて道がすいていれば、環状線を熱田へ向かって東片端を経て約一時間の道程である。その日はさすがに久屋橋から本町橋あたりまでが混んでいて、抜け出すように支所を出てきた智和(ともかず)を苛立たせた。折りしも愛知万博が開催される三週間ばかり前の冬の終わりである。暦からすれば春三月ではあったが、港東から吹きすぎる風は焦燥を冷ますに程好かった。  智和が勤める法務総合研究所、略して法総研の名古屋支所とは、法務省や検察庁の職員の研修施設である。名称からしてお堅いといえばお堅いが、親元から離れて名古屋で学生時代を送った智和が、一見素直に親の意向を斟酌したように見せかけながら、名古屋に留まり続けるには格好の居場所だった。それでも入所して日の浅い職員が、定刻早々に退所するのは気遣いものである。そして名古屋駅のカフェで彼を待っているであろう女性、紗英(さえ)・グレースの突然の訪日が、例によって性急で騒々しいものだった。  智和は諦めたように座席へ両肩をあずけて、左手の名城小学校の校舎に射す夕陽を見ていた。そもそも彼女が強引に指定してきた時刻には間に合わない、ということはパソコンのメールで二度も伝えてある。姉妹都市でもあるシドニーからやってくる日本人顔そのものの紗英。彼女はこのところ四季を通じて来日、正確には来名していた。 「マッコーリー大学のマッコリ好きが、はるばるマッコリを飲みたいがためにやってくる…」  智和はそこまで皮肉っぽく呟いてから、脚を組み直して髭がちらついた顎先を右拳で支えた。マッコーリー大学とマッコリ、韓国の白濁した醸造酒には何の関連もない。紗英が日々、言語学に精進したらしめ勤しむところが、シドニーの北東郊外にあるマッコーリー大学である。確かにマッコーリー大学の言語学部は、英語教授法や翻訳などにおいて国内では主導的立場で、大学で編纂されたマッコーリー辞書は世界で初めての本格的なオーストラリア英語辞典らしい。そこで普通に英語教師にでもなれたらと思っていた女の子が、ハワイ在住の父親の母国である極東日本(シドニーからすれば真北だが)へ、旅費負担なしの友好行事に乗せられて踏み込んだ。紗英にとって無関心ではいられない日本ではあったが、彼女を魅了したのは一口にいって名古屋という都市だった。  智和は昨夏、帰国する紗英と交わした会話を思い出してほくそ笑んだ。 「そういえば…サエは鯱鉾(しゃちほこ)はいい、シャチホコはいい、っていつも言っているよね」 「シャチホコはいいよ。だてぇシャチ、オルカだよ。アイヌ語でレブンカムイ、沖の神さまだよ。それを守り神としてのせた城…いいね、トモもそう思わにゃぁ?」 「ああ…そう思うよ、いいね。あとサエが好きなのは、ロバライスとマッコリ、ってとこかな」 「もうひとつ忘れとるよ。トモはもうひとつのシャチホコを忘れとるよ。ハワイ生まれだでぇロバライスもいいね。たしかに懐かしい味だね。マッコリ、たしかにチチやインディアン・サマーを思い出すね。でも、もうひとつは名古屋だけのもの、よく考えてみて」 「もうひとつのシャチホコって言ったら…そうか、シャチボンか」 「そう、シャチボン!グレースが大好きなグレート・シャチボンだよ!」 「そうか、サエが一番好きなのはシャチボンか…」 「そう、シャチボンはわたしのスイート・カムイだてぇ!」 「それじゃあ、これから待ち合わせるときは、シャチボンを食べながらボン・ヴォヤージュで…」  智和はど突かれたように顎先を拳からずり落とした。ボン・ヴォヤージュは半年前になくなっている。駅のコンコースの改装工事に伴って閉店していた。すると紗英が待っているというカフェは…シャチボンがあるカフェとしては、新幹線通りのアロームくらいしか知らない。そこは逆の太閤通口にあたる。タクシーに太閤通口にまわってもらうか、このまま降りて桜通口から中央コンコースを突っ切るか、智和は思わず爪を噛んで煩悶した。  上着の胸元でエリック・クラプトンの「Say What You Will」が鳴った。携帯電話から擦れた雑音に続いて、紗英がゆっくりと呟くように日本語をおいた。 「金の時計、その下で待っているよ」  智和はそう言って切れた携帯から耳を離した。どうしたものか…遅れに憤慨しているどころか、落胆したような音程で「待っとるよ」ではなく「待っているよ」なのだ。知り合ったときから流暢な名古屋弁で驚かせた紗英である。代議士である父の強硬な計らいで出席することになった、日豪協会と姉妹都市協会の合同のクリスマス・パーティー。振袖を着た日本人のような風貌の紗英は、明確な発音の英語スピーチの後で、名古屋への恋心を披瀝したのだった。 「この時期に名古屋に来れて、すごく幸せだなも。なんぜならば、もういくつ寝るとお正月だでだなも。今日はちょこっと早めに、フリソデ?振袖を着てみてまった。いいえ、正確には、着せてもらいてまった。とてもきれいだてが、ちょこっと寒いだぎゃぁ。でもシャチホコも見とるでしょうから、愛する名古屋のために頑張りますね」  金の時計の下に紗英・グレース・亀井はいた。シープスキンのジャケットに包まれた細い首を反転させる。髪は夏場よりも短くしていたが、化粧が上手になったのか、研ぎ澄まされた白色系金属のように美しかった。  智和は制御しがたい胸の高鳴りを感じていた。今日はいつもと何かが違う。紗英がなんと言葉を待っているのだ。智和の焦点が集約するまで我慢強く待っていた。 「ごめん、うっかりしていたよ、ボン・ヴォヤージュは半年くらい前になくなったんだ。でもシャチボンだったら、この先をずっと行った反対側のアロームにあると思うんだ」  紗英は払うように睫毛を伏せて困ったように微笑んだ。 「そう、シャチボンはそこに行けばあるのね。でも、今日は寒いから飲もうよ」 「そうか、待たせちゃったからな…でも、マッコリを飲むんだったら、やっぱり西口の方になるな」 「そうね」と紗英は頷きながら智和の手を取った。「あちらの方の椿神社のところ、昭和食堂、そこに、トモに会ってほしい人が待っているの。早く行こう」 「そうか、そうだな、寒いからな…あそこのチヂミとかどて煮は美味いもんな」  智和は彼女に軽く引かれるまま中央コンコースを歩いた。なぜか噛みしめるような足裏を感じる。帰宅で混みはじめる時刻の駅構内、そこでの一足一足が神妙な響きを頚椎へ伝えていた。 「くるべき日がきてしまったのか、それとも…」と智和は音のない唇を弾いてみた。  父親の威光で名古屋に居続けていられる智和にしても、世間一般並みの契りの行く末ほどは想定できていた。そうか、ハワイのパイナップル・アイランド、ラナイ島とか言っていたな…かつての大産地もアジアとの競争に敗れて五、六年前に終わっている、とか秘書の笹森さんちの悦夫兄さんが言っていたが…外務省の人間が言っていたことだから間違いないだろう。正体を明かすのが早かったのか…法総研で研修資料を作成しているということではなくて、衆議院議員・迫宗一郎(さこ・そういちろう)の長男であることを言ったことが。 「もうすぐ愛知万博だね」と紗英はあたりのポスターを振り仰いだ。「明日はシャチホコが降ろされる日だね」 「降ろされる日って?」 「明日、三月三日は、ハザマさんがクレーンを使って、天守閣からシャチホコを降ろす日でしょう。知らなかった?」 「そうか、明日が…」と智和は言いかけて臓腑の隅に不快を持った。「それはそうと、どうして名古屋弁で話さないの?標準の日本語を使うように言われたとか?」  紗英は彼の幾らか汗ばんだ手を離した。そして太閤通口を出たあたりで、闊達なはずだった歩みは逡巡となっていった。 「彼はトモとオナイ?同じ?同じ歳なの」そう言って紗英は風俗店のネオンに眼を細めた。「昭和食堂で待っている彼、ヘルマンもトモと同じ歳の二十七なの。でもドイツ人らしいというか、正確な日本語を話さなければ日本人に対して失礼だ、と言うのね。自分はゲッティンゲンから京都へ来て六年も経つから…」  智和は気がつくと靴先が歩道を蹴れないでいた。 「その昭和食堂で待っているヘルマンっていうのは…」と言いかけながら光速で己が早合点を嘲った。「そのヘルマンが、名古屋弁をやめろって言ったからやめたわけか…ヘルマンは、ちゃんと標準の日本語を話せるわけだ。それでヘルマンは、日本で何を、何の仕事をしているの?それでヘルマンは…」 「待って、急に彼を連れてきたからね、ごめんなさい。ヘルマンは京都の大学で数学の研究をしとるの」 「しとるのか…ちゃんと話せるじゃないか」そう言った自分の口許の強張りを気にする智和だった。「そうか、数学の研究をしとるのか、偉い学者さんともつきあっとったわけだね」 「待って、落ち着いて」紗英は人差し指を立ててジャケットの胸元をおさえた。「その…冷静になって聞いてちょうだゃあ。たしかに、わたしとトモは、シドニーとか名古屋とかいう前に、女と男だということは分っとるわ」  智和はこういう現場にある自分が殆ど信じられなかった。しかしながら傍らを面倒そうに過ぎる人波を、言われるまでもなく冷静に気にしている。完全な苦笑を雨傘のように広げるしかなかった。 「笑うしかないか…そのヘルマンっていうのは、いったいサエの何なんだ?」 「ヘルマンはレイから紹介されたのよ、信じてちょうだゃあ」 「今度はレイか、レイは物理学者だったりして?」 「レイはわたしの弟、礼儀の礼、ずっとハワイのダディと一緒にいたの。レイはインターネットに夢中になっていて…そのレイが言うには、京都にいるヘルマン・ガウスは天才、もしくは悪魔だって」  朝まで営業している酒場らしく、夕方のとりの刻にあって個室までは立て込んでいなかった。橙色の和ませる照明の下で胡坐をかいていると、碧眼で銀髪の男も日本人に見紛うから不思議である。ヘルマンは墨黒色のパーカーの上に組んでいた腕をほどいて、智和とがっちり握手してから二人を奥席へ誘った。そして手際よく自己紹介してから流暢にマッコリを注文した。 「お二人の幸せを祈って」とヘルマンは歌うように言って陶製タンブラーを掲げた。「法務省の方と聞いていましたから、ちょっと緊張していました。やっぱりスーツがお似合いですね」 「法務省って言ったって…」智和は紗英とヘルマンのオレンジ・マッコリを見ながら首を傾げた。「単なる下の施設の職員で、刑務所や拘置所の職員と同じですよ」  ヘルマンは微笑んだまま仰け反って窺うような目をした。 「トモのお父さんが…」と珍しく言いよどむ紗英を見ることになった。「鹿児島に選挙区を持つ国会議員だということは知っているの。ヘルマンは自分で調べてきている…」  智和はマッコリだけのグラスに勢いよく歯をあてた。 「単刀直入に申し上げます」と言いながらヘルマンは慇懃に姿勢を正した。「私の父オットー・ガウスも、ドイツ連邦共和国のテューリンゲン州代表の連邦議会議員です。そして私の兄コンスタンティン・ガウスは、ノルトハイムでは有名な煙突掃除人です」 「煙突掃除人って…煙突の掃除人?」と智和は目を丸くした。 「そうです、煙突の掃除人です。私は日本へ来る前はゲッティンゲンにいましたが、元々は兄と二人でノルトハイムやアインベックに住んでいました。本題はここからです。二週間後、十七日になりますが、兄コンスタンティンが、パンとケーキのマイスター資格を持つ友人と来日します。愛知万博のためにです」 「ごめんなさい…どて煮を三つ」と智和は遮るように注文した。「万博とはいえ…外国の方をご案内するような時間はとれないと思います、まだ入ってまもないですし。お兄さんどころか、名古屋が大好きな(粗野に紗英の手首を掴んで)サエの案内をする時間も取れるかどうか…」  ヘルマンはタンブラーを一息に飲み乾して鼻を鳴らした。 「あなたにお会いしたかったのは、あなたが私たち兄弟と同じ人種なのではないか、と思ったからです。つまり、難しい日本語ですが、偽善をあざ笑うKräheカラス、父親嫌いのゲーマー、違いますか?」  智和は掻くように紗英の指を辿っていった。 「明日、三月三日、天守閣からシャチホコが降ろされます。そして十九日から『金シャチドーム』というパビリオンに移動してから、名古屋市内のパレードに一緒に同行して二十四日の開会式を迎えます。一般展示は三月二十五日から六月十九日までですが…このシャチホコが、お二人の大好きなシャチボンに替わっている、としたら面白いと思いませんか?もちろん、駅で売っているシャチボンでは小さすぎます。だからコンスタンティンがマイスターを連れて来るのです。冗談で話しているのではありません。初対面の方にこんな冗談は…」  智和はチヂミの皿を大袈裟に受け取りながら鼻で笑った。 「それで…僕は何をすればいいの?」 「やはりあなたはゲーマーだ」ヘルマンは日本人の臆した眼差しから外れなかった。「あなたにお願いしたいことは、昨年まで法務副大臣だったあなたのお父さんを通じて、刑事局長にCGからの予告文を渡してほしいのです」 「CGって何のCG?」 「失礼しました、CGはDiebin CG、つまり怪盗コンスタンティン・ガウスです」 「カイトウ?まさか、ルパンの怪盗じゃないだろうね」 「ルパンの怪盗です。私の兄コンスタンは、今やテューリンゲン州ではちょっとは知られた怪盗です。そのコンスタンの日本デヴューにお力を貸していただきたいのです。予告文を渡してもらうだけです」 「予告文って…シャチホコを盗む予告文のことかい?」 「正確には、一時的にシャチホコを同形のシャチボンに替えて、刑事局長やあなたのお父さんを笑い者にするだけです」  智和は極めつけの苦笑で頬を引き攣らせた。 「面白いことを考えるね、シャチホコをシャチボンにすり替えるなんて。ついでにシャチボンのまま、間組に天守閣へ戻してもらったらいいよ。クレーンがクリームだらけになっちゃうだろうけれど」  ヘルマンは微笑みながら小鉢を受け取った。そしてどて煮の味噌の匂いを吸い込んで、上目遣いに智和を爛々と見据えた。 「お断りになっても結構ですよ…初対面で不躾なお願いをしていることは承知していますから」 「不躾なお願いか…」智和はマッコリの残り滴を啜った。「それだけ日本人以上に丁寧な日本語を話せる人が、真剣に兄弟でシャチホコを盗む話をなさっている…世界的に流行っているジョークなのか?それとも…狂っているのか?」  ヘルマンは臓物を頬張りながら、硬直したような紗英にどて煮の鉢を勧めた。そしてマッコリを注文してから熱い息を吐いた。 「サムライはいなくなったのですね、ここは戦国覇者が生まれ育った尾張なのに…仕方ありませんね。あなたがお断りになられたら、こちらのグレースさんの弟レイが直接、刑事局長に予告文を送ることになっています。大丈夫、海外からメールが送られるだけです。それに、コンスタンティンは気が早いので、レイへの奨励金を先月末には振り込んでいるようです」  紗英は縋るように智和の膝を鷲づかんだ。 「トモ、えらいことになってまったよ。なんとかしてちょ。わたしのトモ…ここでしっかりと名古屋の男になってちょうだゃあ」 「落ち着けよ、こんな冗談に早合点してつきあっちゃ…」と言いかけて智和は空のグラスを啜った。「そうか、また早合点して冗談につきあうと、次の店でパイナップルの親父さんが出てきちゃったりして…それに、名古屋の男になるなんて…無理な話にきまっとるでしょう、勘弁してちょ」  マッコリが切れたことを店長が言いにきたのは、三月三日午前三時ごろだった。                                        了
不滅 (集英社文庫)

不滅 (集英社文庫)

  • 作者: ミラン クンデラ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1999/10
  • メディア: 文庫

12/27発売文庫ピックアップ

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ノーブルウィッチーズ 第506 統合戦闘航空団 飛翔! (角川スニーカー文庫)

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  • 作者: 南房 秀久
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2014/12/27
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断末のミレニヲン (1) 君を連れてあの楽園まで (角川スニーカー文庫)

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  • 作者: 十文字 青
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  • 発売日: 2014/12/27
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愛だ恋だを取り締まる俺に、春がやってきたので無秩序 (2) (角川スニーカー文庫)

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  • 発売日: 2014/12/27
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終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか? (2) (角川スニーカー文庫)

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  • 作者: 枯野 瑛
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2014/12/27
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サングリア ‐In the Dracuria earth ‐ (2) 月黄泉‐MOON HADES ‐ (角川スニーカー文庫)

サングリア ‐In the Dracuria earth ‐ (2) 月黄泉‐MOON HADES ‐ (角川スニーカー文庫)

  • 作者: 高野 小鹿
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2014/12/27
  • メディア: 文庫
新妹魔王の契約者 (7) (角川スニーカー文庫)

新妹魔王の契約者 (7) (角川スニーカー文庫)

  • 作者: 上栖 綴人
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2014/12/27
  • メディア: 文庫
新装版 コクーン・ワールド (2) 真夜中に騒ぐ冒険者 (角川スニーカー文庫)

新装版 コクーン・ワールド (2) 真夜中に騒ぐ冒険者 (角川スニーカー文庫)

  • 作者: 友野 詳
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2014/12/27
  • メディア: 文庫
モンスターのご主人様(2) (モンスター文庫)

モンスターのご主人様(2) (モンスター文庫)

  • 作者: 日暮眠都
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2014/12/26
  • メディア: 文庫
軍師は何でも知っている(2) (モンスター文庫)

軍師は何でも知っている(2) (モンスター文庫)

  • 作者: タンバ
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2014/12/26
  • メディア: 文庫
ビルドエラーの盾僧侶(1) (モンスター文庫)

ビルドエラーの盾僧侶(1) (モンスター文庫)

  • 作者: 有馬五十鈴
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2014/12/26
  • メディア: 文庫
ステ振り!(1) チートであの娘を美少女に (モンスター文庫)

ステ振り!(1) チートであの娘を美少女に (モンスター文庫)

  • 作者: kimimaro
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2014/12/26
  • メディア: 文庫

the last straw

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我慢の限界になるきっかけ;怒りが頂点に達するきっかけ 備考 “It's the last straw that breaks the camel's back” ということわざから派生している。 限界に近いとき、ほんの少しの負荷で壊れる ということなのかな? 面白い言い回しですね。

今日購入した本などは

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e-honで予約していた新刊本を、仕事の合間に取ってきた。 ・償いの婚礼/華藤えれな X文庫WH   南フランスが舞台。貴族の若様と、殺害の罪を着せられた日本人医師
償いの婚礼 (講談社X文庫ホワイトハート(BL))

償いの婚礼 (講談社X文庫ホワイトハート(BL))

  • 作者: 華藤 えれな
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/12/24
  • メディア: 文庫
・大富豪の花嫁~三兄弟のプロポーズ~/水瀬結月 X文庫WH   セレブな三兄弟の中から旦那を選び、新婚生活?! なぜ、私、この本を予約したんだろう? 勢いでか?
大富豪の花嫁 ~三兄弟のプロポーズ~ (講談社X文庫ホワイトハート(BL))

大富豪の花嫁 ~三兄弟のプロポーズ~ (講談社X文庫ホワイトハート(BL))

  • 作者: 水瀬 結月
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/12/24
  • メディア: 文庫
・千年皇帝~最後の花嫁~/月東湊 ルビー文庫   月東さんの初ルビー文庫。中華風ファンタジー花嫁ものBL
千年皇帝 ~最後の花嫁~ (角川ルビー文庫)

千年皇帝 ~最後の花嫁~ (角川ルビー文庫)

  • 作者: 月東 湊
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2014/12/27
  • メディア: 文庫
あと、雑誌も。 ・エメラルド冬の号/KADOKAWA   出ました、第2号。やっと続きが読めるわ。付録は、Hybrid ChildのDVD
CIEL 2月号増刊 エメラルド 冬の号

CIEL 2月号増刊 エメラルド 冬の号

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2014/12/26
  • メディア: 雑誌
本も溜まってきたよ

『楽園追放 mission.0』手代木正太郎

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劇場版アニメのノベライズだが、本編ではなく、前日譚である。こちらは、オーソドックスなサイバーパンクになっている。ストーリは上手く構成されており、アクション物としては良く出来ている。話はきちんと完結している。

『楽園追放 -Expelled from Paradise-』八杉将司

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劇場版アニメのノベライズ。こちらは本編のノベライズになっている。まだ、原作は見ていないが、大体、ストーリーは同じになっているらしい。話はきっちりとまとまっていて、読み易い。サイバーパンクではあるが、荒廃した世界でのアクション物になっている。

ブッタとシッタカブッタ

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今日は、年賀状を書いていると、 昔友人がすすめてくれた本をふと思い出して 探し出して久しぶりに読んでみました ブッタとシッタカブッタ image.jpg 可愛いブタが、人生の答えを探す様子が 描かれています。 漫画と文章が混ぜて書いてあるので 読みやすいです。 「人から認められないとどうして苦しいんだろ?」 「さびしい気持ちってどこから来るのかなぁ」 という疑問にブタが挑みます! 上手く説明出来ないけれど、ホッとできる本です 【スポンサードリンク】

独立宣言 (イヴォンヌ・ウィタル) R-0703

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R-0703-a.jpgR-0703-b.jpg ハーレクイン・ロマンス R703 著者  イヴォンヌ・ウィタル 訳   前田 雅子 発売日 1989年9月20日 ページ 155ページ ISBN  483350703X 内容  モーラは、義兄クレイトンの反対を押しきって教師の道を選んだ。     裕福な家庭に育ち、働かなくても暮らしていけるのになぜ?     そうたずねるクレイトンを説得するのは、大変なことだった。     だが、いつまでもクレイトンに守られて苦労知らずの生活を     続けていてはいけないと、モーラは思っていた。     家族に助けてもらわなくても、わたしは一人でちゃんと     自分の人生を切り開いていけることを証明したい。     幸いなことに、義母はモーラの考えに賛成してくれ、     彼女は家を出て自活し始めた。     まもなくモーラは、その計画に一つだけ誤算があったことに気づく。 Amazonの紹介ページです。
独立宣言 (ハーレクイン・ロマンス)

独立宣言 (ハーレクイン・ロマンス)

  • 作者: イヴォンヌ ウィタル
  • 出版社/メーカー: ハーレクイン
  • 発売日: 1989/09
  • メディア: 新書

ビブリア古書堂の事件手帳 栞子さんと巡るさだめ リア充爆破 ネタバレあり

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どうもまきびしです やっとでましたね最新作 「ビブリア古書堂」シリーズ 前作のあのひきからどんなストーリーになるのか 気になって仕方なかったのですが 今回も面白さ満点のできとなっております ではではさっそくいきましょう 太宰治の『晩年』を奪うため、美しき女店主に危害を加えた青年。ビブリア古書堂の二人の前に、彼が再び現れる。今度は依頼者として。それは因縁深い、またもや太宰治の稀覯本にまつわるものだった。  50年前の祖父たちと現在、まるで再現されるかのような奇妙な巡り合わせに、薄気味悪さを感じる二人。それは偶然か必然か? 深い謎の先にある真実とは? (参考URL:http://booklog.jp/special/biblia) 今回は多分にネタバレが含まれます 嫌な方はバックしてください 前回意味深なメモ「『晩年』をすり替えたお前の猿芝居を知っている。連絡しろ。」 をみつけて終わりました 一巻でつかまった田中敏雄の書いたものだと思っていたが・・・ 実は田中が書いたものではなかったようです そうですよね 留置所にいたのに書いて投げ入れることはできないですよ 今回ビブリア古書堂に本に関する依頼を出してくるのは この田中だったりします 最初に求めていた『晩年』とは別の『晩年』を求めて栞子さんに依頼します それもなぜかその『晩年』には署名本ではないのに 太宰本人の書き込みがされているとのこと この本の正体やいかに! そして、この本を巡って 五浦や栞子さん、そして田中の知られざる関係! とまぁ煽っていますがネタバレ注意はすでに書いているのでばらしちゃいます じつは五浦大輔と田中は従兄弟の関係にあります 田中の祖父は大輔の祖母と不倫の関係にありました その田中の祖父の写真がでてくるのですが背が高いという身体的特徴を 文章中でやたらおすなぁと思って まさか?と思いながら読んでいたらそのまさかでしたよ それともうひとつ、栞子さんや栞子の母智恵子の本に対する執着についてもわかりました 今回依頼のなかの謎に本が盗まれていたという件がからんでいたんですが その本を盗んでいた犯人はなんと田中の祖父です しかし、それにはさっきも書いたように不倫の関係にあることを 脅されていたという事情があります そしてその脅してまでほしい本を手に入れようとするその人物こそ 今回のビブリア古書堂にされた依頼の黒幕でもあります そしてその黒幕の血を引くのが母智恵子であり 栞子さんなのです またその祖父の関係を探る中に ビブリア古書堂の名前の由来までわかっちゃうという いやぁ人間関係の相関図を書いてみるとすごいことになりそうです(笑) それと今回書いてあることは真相ではあるものの 中身、その因果関係などを伏せて書いてあるので本編を読んでいない人には ただの事実の羅列になるのでつまらないかもしれません しかし、読んで下さった人にはわかる内容になっております 今作よかったですよね! とくに大輔くんと栞子さんのいちゃいちゃ たまらずキスしにくる栞子さんとかもうやばすぎでしょ 思わずリア充爆発しろとかいいそうでした(笑) そんな感じで謎ありラブありで今回もとても面白かったです ぜひともみなさんかって読んでみてください! ではでは今回はここまで 次回もまたお楽しみにください

高原のフーダニット

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臨床犯罪心理学者の火村英生と作家アリスが 活躍する有栖川さんの看板シリーズ。 文庫で久しぶりの登場ですね。 ただし、これまでのシリーズと違って 本作所収の短編はかなり「ひねり」が効いています。 「オノコロ島ラブソディ」はバカミスだと思う(笑 アリバイ崩しが焦点ですが、このトリックは思いつかないなあ。 確かに嘘は付いていない。 「ミステリ夢十夜」 「夢十夜」のミステリ版ですが、これもかなり奇抜。 味に関する何らかの障害を持つ面々が登場する一編が印象的。 表題作「高原のフーダニット」 あとがきで有栖川さん自身も述べられているように、 本書で唯一の<ストレートな本格ミステリ>。 まさに詰め将棋のような、火村の推理が冴えますが、 その結末はこれまでのシリーズとはひと味違います。 作家アリスがその心情を推理しますが、果たしてそれが正しいのかどうかは 不明なままです。 そろそろ今年読んだものをまた思い起こす作業に入ります(笑
高原のフーダニット (徳間文庫)

高原のフーダニット (徳間文庫)

  • 作者: 有栖川 有栖
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2014/11/07
  • メディア: 文庫
高原のフーダニット 徳間文庫

高原のフーダニット 徳間文庫

  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2014/11/15
  • メディア: Kindle版

無敵のバリアフリー旅行術


「地図もウソをつく」竹内正浩

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「地図もウソをつく」 著者:竹内正浩 発行:文藝春秋(文春新書) 竹内正浩(たけうちまさひろ)氏の作品。 フリーランス・ライター。 1963年愛知県生まれ。 幼少より地図に親しみ、北海道大学卒業後、JTBに入社。出版部門で長年旅行誌などの編集に携わる。 主な著書に『戦争遺産探訪日本編』『黄金世代の旅行術』(以上文藝春秋)、『軍事遺産を歩く』(筑摩書房)、『世界まるごと謎解き地図』(講談社。「みんなの地理学研究会」名義)。 小学館ウイークリーブック「古寺を巡る」「戦乱の日本史」のメインライターの一人でもある。 本書は、地図に関する様々なエピソードを紹介する書物である。 第一章から第四章には「おしゃべりな地図」「ウソつきな地図」「気まぐれな地図」「小悪魔な地図」と章題が付けけられており、それぞれいくつかのエピソードが地形図や世界の地図とともに掲載されている。 かつて存在した三菱鉱業の炭鉱町「大夕張」(字名:鹿島)の盛衰、合併後の市名の改称で75日しか存在しなかった千葉県「東葛市」の存在、支笏湖のほとりにある恵庭岳の、時代によって「一枚ずつ姿を変える」等高線、「戦時改描」によって広大な芝生広場や大きな池・樹林が点在する皇室用地など、その時々の地形図に多くの情報が残されていることがわかる。 最終章「地図があぶない」では、インターネットの普及などによって起きている「地図の危機」について述べられている。 良質のガイドマップや道路地図が出回り、インターネットで旅先など関心のある地域の情報や地図を気軽に入手できるようになったが、国土地理院の地形図の販売枚数は減少の一途を辿っているという。 著者には、地図好きの人にはもちろん、今までどちらかといえば地図ぎらいだった人にも楽しんでもらいたい、という思いがあったようだ。 久しぶりに紙の地図を広げてみたくなった。
地図もウソをつく (文春新書)

地図もウソをつく (文春新書)

  • 作者: 竹内 正浩
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/08
  • メディア: 新書

日本人の知らない「クレムリン・メソッド」-世界を動かす11の原理

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日本人の知らない「クレムリン・メソッド」-世界を動かす11の原理

日本人の知らない「クレムリン・メソッド」-世界を動かす11の原理

  • 作者: 北野 幸伯
  • 出版社/メーカー: 集英社インターナショナル
  • 発売日: 2014/12/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
義両親 & 姪が 2 年ぶりに沖縄に遊びに来ています。 その合間を縫って読んだのが、本書です。 メルマガ「ロシア政治経済ジャーナル」の管理人、北野 幸伯さんの著書です。 この方、本を書くという旨味に完全にはまっていらっしゃいますね。 最初にリリースされた本以来、質がどんどん落ちていっている気がします。 書籍販売って、そんなに儲かるのか。私も書いてみようかしら。 (何を題材に書くのかが、問題です) 世の中は、本当にあったことがありのままに伝えられていることが少ない、というお話です。 ただし、新聞やインターネットの記事を丹念に読んで 事実を客観的にとらえていくと、充分世の中の動きを理解できて 次の時代がどんな世の中になるのかが分かる、という本でした。 ただし、肝心の「次の時代」については多くが語られておらず 2020 年前後に中国のバブルがはじけるかどうかが、 彼の推測の正しさが立証されるカギになりそうです。 まあ、メルマガ「ロシア政治経済ジャーナル」の読者なら、 推測の正しさはあまり関係ないのかもしれません。 もう十分すぎるほど、立証されていますから。 ただ今までの推測があまりに正しいので、もうちょっと先のことも教えてほしいなと 思ってしまうのです。そんなに知りたいなら、自分で調べろ ・・・と北野さんが思われたかどうかは不明ですが、この本では 新聞やインターネットの記事から、情報を拾う方法が解説されています。 本書のあらすじを大まかに書いておくと まず「世界を大局的にみるための原理」が説明され 次に「大国を動かす真の動機『国益』について」が語られています。 そして「情報は意図的に操作されていること」が書かれています。 この 3 行を読んで「あー」と思われたなら、本書を買う必要はないと思います。 情報をどのように収集して、要るものと要らないものに分けるのかが説明されていましたが 内容に共感する人とそうでない人がいると思いました。 ひょっとしたら、共感しない人の方が多いかも。 これを読んで「なるほど」と思える人って、普段からかなり 情報を上手に集めている人だと思います。 私は割と無駄に情報を集めてから、要らないもの箱を見つめて どれを捨てるべきかと苦悩するタイプなので 北野さんの情報収集術をほんの少しだけ、本書で観ることができたのは 実はかなりの収穫であったのかもしれません。 この本を読んで、情報の集め方が変わり、自分でもっと上手に先を見通すことが できるようになるといいのですけれど。 政治経済に興味のない人でも読めるように、くだけた文体で書かれています。 政治への興味を持つための 1 歩としてなら、薦められるかも。

人間は変わっていく。願わくばいい方向に。:おとなが育つ条件――発達心理学から考える

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おとなが育つ条件――発達心理学から考える (岩波新書)

おとなが育つ条件――発達心理学から考える (岩波新書)

  • 作者: 柏木 惠子
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2013/07/20
  • メディア: 新書
ビジネスにおける人材育成に使えるかと思ったら、家族論・ジェンダー論の内容だった……。 本書は、子どもに対する学問である発達心理学を大人に対して適用した内容。 「育つ」というタイトルは能力の向上というよりも、「自分らしさの発現」というぐらいの意味で考えたほうが本書の内容をイメージしやすい。
【目次】
第1章 発達とは何か
第2章 おとなの知力とは―子どもの「知能」とおとなの「賢さ」
第3章 感情と人間関係―おとなを支えるネットワークの発達
第4章 家族の中でのおとなの発達1―結婚と夫婦関係
第5章 家族の中でのおとなの発達2―「親になる」こと/「親をする」こと
第6章 私はどう生きるのか―アイデンティティ、生き方、ジェンダー
第7章 幸福感―何がその源泉か
目次を見てもらえれば、本書の中身がイメージしやすい。 少なくとも、図書館で借りた私のように、意図する内容と全く違うってことは起こらないはずだ。 で、中身としてはおとなになってからどのように人間は変わっていくのか?変わるためにはどうすればいいのか?と言った中身が、発達心理学の考え方に基づいて述べられている。 内容自体はさほど変ではなく、非常にまっとうな中身という印象が残る。 ただ、この次の本もそうなのだが、「発達心理学」については、「だからどうしたの?」という感想を持たざるをえない。ちゃんと研究されて、積み重ねもなされているアカデミックな分野というのは分かるのだが、それを社会に還元する道が非常に見えにくい。 アカデミックと実社会の分断が大きく感じられる分野だといえるだろう。 ☆☆☆(☆三つ) 他のBlogの反応はこちら http://blog.livedoor.jp/ppdwy632/archives/51859744.html http://nakatsutkdc.blog.so-net.ne.jp/2014-08-12 http://c-c-a.blog.jp/archives/51868432.html

生きる悪知恵

雨のなまえ

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