今日の本 「金子千尋の変化球バイブル」
単なるコラム集です:「空き家」が蝕む日本
【目次】本書で書かれている内容は大きく ①日本の不動産業の問題点 ②空き家をめぐる政策 ③海外不動産投資のすすめ の3点だ。 まず、①の日本の不動産業の問題点。 これは筆者の得意分野で、提言には一定の説得力が有る。 例えば、中古取引の両手が認められていることなどが最たるもので、弁護士が双方代理をすると法律違反で資格停止にもなりうるのに対して、不動産仲介は双方代理を狙うのが当たり前となっている。 これで損をするのは、物件の売主で、物件を早く・高く売るチャンスを逃してしまっている。 その他にも借地借家法が強すぎて賃貸物件が貧弱なレベルで固定されている問題(これは橘玲も同じことを言っている)など、指摘事項は最もで納得できることが多い。 ここまでが本書で価値を見いだせるところだ。 この次の②「空き家問題」については、公的規制で新築を抑制するという共産主義的な主張が行われている。問題の指摘はいいのだが、提示される解決策が短絡的で、しかも、先進諸外国で新築規制が行われているように取れる問題ある表現になっている。 筆者は不動産業のプロであるのだから、「公的規制」のような単純な解決策ではなく、固定資産税制や容積率の制限緩和を駆使するなどの、現実に則した解決策を考えて欲しいものだ。 最後の③海外不動産投資のすすめは完全に筆者の商売。 セブ島の不動産投資を推していた人は他にも居た気がする。セブ島の不動産は日本に売り込むためのインセンティブが多いのだろうか? と、薄い本の割に読み応えのある部分が少なく、その少ない部分は既視感が有る。 筆者も力を入れて書いていないとは思うのだが、やや残念な内容だ。 筆者の他の本を読むと、もうちょっといい本が書けるだけの力はあると思えるのだが……。 ☆☆(☆二つ) 他のBlogの反応はこちら http://mmaehara.blog56.fc2.com/blog-entry-2760.html http://tikkutokouti.seesaa.net/article/408300773.html http://reconsider.blog.fc2.com/blog-entry-1495.html http://waza-ari.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/post-ddee.html
第1章 日本の不動産、現場からの疑問
転職し、不動産仲介部門の現場へ
日本の経済、文化のなかでの不動産とは?
価格査定の驚くべき実態/物件情報の囲い込み
売却依頼チラシのウソ
建物の知識は問われない「宅地建物取引主任者」
不動産の価値と住宅ローンの奇妙な関係
入居直後から「債務超過」になる?
他の国はどうなっているのか?
不動産売買の仕組みを欧米と比較してみる
もう、自分でやるしかない
第2章 「空き家」が増え続けるのはなぜか?
空き家対策に多額の税金を使う時代に
二〇四〇年には全国各地で「お隣は空き家」に?
空き家率が三〇%を超えるとどうなるか?
なぜ「空き家」はそのまま放置されるのか?
有効な「空き家問題」の対策はあるか?
日本の住宅政策に欠落する「住宅総量目安」
価値ゼロ住宅はなぜ量産されたか?
中古住宅価格を維持する「生活者重視」の政策に
リタイア後に住み替えが難しい理由
中古住宅を再評価するための方法
中古住宅市場を整備するために
第3章 日本の住宅はなぜ寿命が短いのか?
木造住宅、マンションの本当の寿命は何年?
建物の寿命は延ばせる
木造住宅の劣化の原因
マンション劣化の主な原因
マンションの都市伝説と耐震性
一戸建てとマンション、地震に強いのは?
耐震性の分かれ目の年がある
第4章 賃貸住宅が貧弱なのはなぜか?
賃貸住宅後進国、ニッポン
「新築持ち家」偏重の住宅政策
先進国で家賃補助がないのは日本くらい
住宅政策の予算配分に偏りがある理由
大家さんを困らせる時代遅れの「借地借家法」
第5章 物件情報はこうして囲い込まれる
物件情報の囲い込みは暗黙の了解?
不動産仲介業はどうやって儲けているか?
業界の常識は世間の非常識?
不動産仲介の健全化には法改正が必要
あなたが売主になったとき、できることは?
第6章 エネルギー問題と住宅政策
日本の経常収支は悪化の一途
原発再稼働しか道はないのか?
エネルギー政策を転換するドイツ
地域を潤す「小規模分散型」
既存住宅を対象にした省エネ政策
再生可能エネルギーを軸にした地方分権型社会へ
第7章 海外シフトする不動産投資
滞留する国内マネーをどこに振り向けるべきか?
活況を呈するアジアの不動産市場
高度経済成長前夜のフィリピン
生産年齢人口が増え続ける国
セブ島の事例
海外の不動産投資先を見きわめるポイント
おわりに
イスラームとは何かを考える
読めばすっきり! よくわかる日本外交史 弥生時代から21世紀まで
読めばすっきり! よくわかる日本外交史 弥生時代から21世紀まで (角川SSC新書)
- 作者: 河合 敦
- 出版社/メーカー: 角川マガジンズ
- 発売日: 2013/07/10
- メディア: 新書
般若心経講義(角川文庫)
高神覚昇(真言宗)
角川文庫(1952) 文は一紙に欠け、行は則ち十四、 謂うべし、簡にして要、約にして深し。 弘法大師 真理への眼が開けたものにとっては、 この世界につまらぬものは一つとして存在していない 時間的に見れば万物流転、 空間的に見れば相対依存、 この二つの原理は、実に疑うことのできない、 宇宙の真理 寸陰を惜しみ、分陰を惜しみ、 生の限りなき尊さを味わうものにして、 はじめていつ死んでもかまわない、 という貴い体験が生まれる 生るれば必ず死あり。 死をもし欲せずんば、生まれざらんには如かじ。 山上憶良 智慧の三種:聞慧、思慧、修慧 成功の秘訣は運、鈍、根 スピノーザの永遠の相において人生を眺める キリストの心こそ菩薩である 人は長生きせんと思えば、嘘をいうべからず。 嘘は心をつかいて、少しの事にも心を労せり。 人は心気だに労せざれば、命ながき事、疑うべからず。 無窓国師 浜までは 海女も蓑きる 時雨かな。播州瓢水翁 サンスクリットで書かれた『般若心経』の原本 日本の法隆寺に写本が残っているのみ 西暦609年に中国から伝来 ☆☆☆☆☆ 難易度2/5 推薦度4/5 "色即是空と見れば大智を成じ、空即是色と見れば大悲を成ず" これは順序に意味があるのかな? すべての存在はそれ自体を持たず 時間の中でのみ存在することを知れば真の智慧を得る。 時間の中でのみ我々が存在するという はかなさを知れば慈悲が生まれる。 あらゆる存在は前後の時間に支えられて存在し、 ある瞬間には何物も存在しない。 真の智慧とは、すべての存在に、過去と未来を観ること。 今の見えるもののみを観るのは真の智慧ではない。 それがなぜ生じどうなっていくかを観るのが智慧である。 そしてすべてが流れ去る存在であることを知ると、 その瞬間瞬間の大切さを知り、慈悲を持って接することができるのだ。 ・今日の一言(本文より、聖書) Unless a grain of wheat falls into the earth and dies, it remains by itself alone. But if it dies, it bears much fruit. 一粒の麦、地におちて死なずば、ただ一つにて終わらん。死なば多くの実を生ずべし。 밀알이 땅에 떨어져 죽지 않으면 한 알 그대로 있지만, 죽으면 많은 열매를 맺는 법이다. 若非一粒麦子落在地里死了,那仍旧是一粒。若是死了,就結出許多子粒來。
Dean Martin - Let it Snow!
メディアとコミュニケーションの文化史
しゅらばら!11 特典イラストシート
『現場論』
内容(「BOOK」データベースより)自分的にはあまり心に響かなかった本なのだが、こういう人がうちの会社を診たら、どう思われるだろうかというのには関心がある。著者が述べている生産性の低い現場というのに、どうもうちの会社も該当するところがあるのではないかと思えるエピソードが幾つかある。 著者は、生産性の低い現場には「しか」が実に多いという。「私にしかできない」、「あいつにしか任せられない」という属人化した仕事の仕方、させ方にはじまり、「うちの部署の肩幅」でできること「しか」やれない、肩幅を越えることはできないといった、典型的な組織のタコツボ化を感じさせる反応。肩幅を越えることには無関心で、どうしても必要だというのなら企画部門でやればいいじゃないかという冷たい反応。聞かされるたびに虚しくなる。それで企画部門も疲弊するという悪循環。 最近、僕の職場のスタッフが急に職場に来れなくなり、担当していた仕事がどこまでできていてどこからフォローしたらいいのかが全くわからず、周囲の人間が大騒ぎしたことがあった。元々産休に入る予定であったスタッフで、それがわけあって予定よりも早まったというだけのことなのだが、引継ぎ準備が全くできておらず、未だそのスタッフしかわからないということがあまりにも多かった。そのスタッフはとても一生懸命仕事をする人で、自分がやらねばという思いも人一倍強かったのだと思う。僕が異動で今の職場に来た時も、自分の仕事が忙し過ぎてその仕事の内容を僕に説明してくれる時間を作れなかったし、退社後も頻繁にメールチェックして自宅からでも返信していたのを何度も見ている。そういうのを周囲のスタッフや管理職にも期待しているふしがあった。僕の直接の指揮下にあるスタッフではなかったので、僕としてはそうした仕事のスタイルについて、本人に対してもその上司に対しても思うところはあっても、それを直言することはなかった。早くから声をあげていなかった僕自身の姿勢にも問題があることは認める。 逆に、生産性の高い現場では、「誰でもできる」、「新人でもこなせる」というように、「でも」が多いと著者は言う。単に部署の中でのスタッフの配置のことにとどまらず、会社全体を見渡してみても、部署の所掌業務の範囲を越えた新たな領域であっても、ここまでならうちの部署でもできるとポジティブに捉えうる。部署内でのスタッフ間の業務負荷の調整も比較的スピーディーにできるし、部署間の関係に気まずさも生まれず、何かあれば一緒にやっていこうというポジティブな雰囲気も生まれるだろう。 職場、組織に「しか」ばかりが横行する中、その各々の事象は根本的なところでは繋がっていると思う。仕事の優先順位付けができていないというだけではなく、平時の優先度は高くないのに急に飛び込んでくる重要対応事項というのはたいていの場合自分の部署ではなく他の部署から舞い込んでくる、しかも、それが重要だと思っているやんごとなき筋から持ち込まれるケースが多いということだ。緊急性が高く、重要性も高い作業は、管理職の立場からは何を差し置いても先ず部下にやらせなければいけない。そうしないと自分の処遇に響くとも考えるかもしれない。なので、どうしても特定のよく知っている部下に作業を集中させちゃう。部下の方も、「これは自分にしかできない」と思ってしまう。我が社ではまたぞろ「ワーキングスタイルの改革」だとキャンペーンを始めようとしているが、本気で時短や職場の生産性向上に取り組むつもりなら、各部署にアクションプランを策定・実行させるような地方分権だけではなく、シニアマネジメントレベルのコミットメントをしっかり引き出し、変な時間に変な作業指示をしないのを徹底させないといけないのではないかと思える。 著者によれば、現場力は次の3つの能力から形成されるという。 ➀保つ能力 ②よりよくする能力 ③新しいものを生み出す能力 今の世の中、③の「新しいものを生み出す能力」が問われていて、そのために現場のひとりひとりの暗黙知をいかに共有して新しいアイデア、製品開発に結集していくかが問われているのだと思うが、目の前の仕事に追われているだけでは、今の仕事を保つことと、ちょっとより良くすることぐらいしかできないのではないかと心配だ。 だから、著者のような人が我が社を診たら、結構ポイント低いだろうなと感じるのである。 本書そのものの紹介とは別のところで後ろ向きなことばかり述べてきた。本書そのもの記述については、他の経営学の重鎮が述べているような既存の理論を相当引用してきていて独自性がそんなにあるとは思えないが、権威の言っていることをうまく用いて、自分の主張の強化につなげている。野中郁次郎先生のSECI理論などはその典型例だ。だから、各々の理論をもっと深く知りたければその原典にあたるのがよろしいかと思う。一方で、本書の良さはむしろ現場のことをよく知っておられ、現場のエピソードをふんだんに盛り込んでおられるという点にある。各々の職場での生産性向上に向けたブレークスルーがどのようにして起こったのか、純粋に現場からのボトムアップによるところからだったのか、あるいはトップマネジメントの決断による部分が大きかったのか、そのあたりの説明がもうちょっとあれば、やや空虚感にも囚われている僕らの会社のワーキングスタイル改革に対しても、ひょっとしたらできるかも、という前向きな気持ちが起きてきたかもしれない。
現場には3つのレベルがある。現場力は3つのプロセスで進化する。6のケース&15のミニ事例で、「非凡な現場」の実践例を紹介!読めば、どの現場も必ず強くなる。
アブサロム、アブサロム!(下)
「幕末の日本」
幕末から明治初めにかけて写真に記録された人びと。大半は刀を差した武士、その中には大倉重信、中岡慎太郎、小松帯刀、井上薫、伊藤博文、もちろん土方歳三も。新撰組の島田魁や函館戦争に参加した中島三郎助、榎本軍に同行したフランス軍ブリュネ大尉などその容貌を初めて目にした。また、当時世界各国に派遣された使節団の写真も数多い。福地源一郎、福沢諭吉の若き日の姿もある。1864年の遣仏使節団はスエズに寄港した際、ピラミッドとスフィンクスに出かけ記念写真を撮っている。 (図書館から借りた本)
イギリスの書評家Mike Ripleyが選ぶトップ10 (その2)
A Dark Song of Blood (Martin Bora)
- 作者: Ben Pastor
- 出版社/メーカー: Bitter Lemon Pr
- 発売日: 2014/04/15
- メディア: ペーパーバック
The Reckoning (Inspector Madden Series)
- 作者: Rennie Airth
- 出版社/メーカー: Mantle
- 発売日: 2014/06/19
- メディア: ペーパーバック
イザヤの書 42章
『クジラの彼』を読んだ
虚ろな十字架
おんな
第四百二十六話_short サイコパ静ちゃん
②どんなに嫌なときでも楽しそうに振る舞える。
妻の静子は名前が醸し出すイメージと違って、とても明るくてポジティブな女だ。どんなに俺が落ち込んでいても「バッカじゃない、そんなことで落ち込んだりして。あなたは素晴らしいんだから、大丈夫」なんて言って励ましてくれるから、俺はなんとかやってこれたんだ。ただ、あいつは少しだけ”KY”なところがあるのは否めないけどな。
こないだも友人の葬式に二人で参列したのはよいが、笑いながら言うんだ。「この後、なにして遊ぶ? ぱぁーっと飲みに行く?」 会場を出てから言えばいいのに、坊主がお経を読んでるときにそんなことを言ってくるので、思わず睨みつけてしまった。すると、黙りはしたものの、悪びれることもなく口を尖らせて拗ねてしまった。あれを宥めるのは大変だったな。
そもそも静子は俺にはああだこうだとか言う癖に、俺が言ったことに従ったことは一度だってない。人には指図をするが、人から指図されるのは大嫌いなのだ。そういえば、本人から聞いた話だけれども、子供の頃、親友から借りたジーンズの裾を自分のサイズに切ってしまったそうだ。親友からは裾は折って履いてねといわれていたのに、そういう履き方は嫌だったそうだ。短くなって返されたジーンズを見て大泣きした親友を笑って見ていたんだって、どう思う? ちょっとだけ変わってるよねえ。
③超自己中心主義
④自分の利益に対しては並々ならぬ集中力を発揮する
⑤不安を感じないし、罪悪感も全くない
ところで、さっきから①から⑤まで挟んでくるこれは何? テレビでやっていた「サイコパシーの特徴」だって? なんだか静子のことを言っているみたいじゃないか。それで、サイコパシーって何よ。反社会的な行動パターンを持った異常性格者のことなんだ……ふーん……。
え? 静子さんは人を殺したことがあるかって? ははは、そんな、まさか。あるわけないでしょう。
それは何よりだって? 冗談じゃない。当たり前でしょ? そうでなきゃあ結婚なんてしませんよ。静子は可哀そうな女でねぇ。俺の前に二回も死に分かれてるんだ。離婚じゃなくて死別だよ。うん、俺で三回目。 もう二度と悲しい目には合わせたくない、俺はそう思ってるよ、うん。
了
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