Quantcast
Channel: So-net blog 共通テーマ 本
Viewing all 53333 articles
Browse latest View live

千梨らく「翻訳ガール」を読みました

$
0
0


「翻訳会社タナカ家」のシリーズの第2弾です。
 
実はこちらを先に購入して、あわてて第1作目を買い足したのです。
 
読む順番はちゃんと守りましたが。
 
 
 
翻訳ガール (宝島社文庫『日本ラブストーリー大賞』シリーズ)

翻訳ガール (宝島社文庫『日本ラブストーリー大賞』シリーズ)

  • 作者: 千梨 らく
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2014/09/04
  • メディア: 文庫
 
 
いろいろとあった「タナカ家」ですが、オーナー亡き後、
 
押切可南ちゃんはじめ社員の方々の奮闘でなんとか
 
順調にいっている様子。
 
で、今回のお話のメインになる方は、目白泉子さん。
 
前作でもその有能性が描かれていた泉子さんですが、
 
なにやらいろいろと災難がふりかかってきます。
 
どんな人でも、どこでだれが見ていてどのように思っているかなんて
 
気にしたら生きていけないけど、トラブルが舞い込んでくるような
 
ことになったらいやなので、やっぱり気になりますよね。
 
泉子さんもストーカーまがいの被害にあったりしますが、全然心当たり
 
なくて途方に暮れます。相手がわかれば対処法ありますけどね、
 
わからないとどうしていいか困ります。
 
このシリーズ、今後続くとしたらタナカ家の各社員が順番にメインに
 
なるような感じなのかなぁ、何かと訳ありっぽい人が多いし。
 
 
 
 
 
☆23冊目☆
 
 
 
 
 
♪♪ランキングに参加してます♪♪
 
  ↓  ↓  ↓ 
 
 
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村

ハピネス

$
0
0

タワーマンションのおしゃれなママたち。 賃貸で住む有紗はその仲間に入れてもらっているが、 隠していることがたくさんあるのだった。 ママ友たちの序列や見栄、嫉妬などが詳細に描かれていた。 有紗のコンプレックスまみれの性格にイライラさせられるが、 後半にかけて、吹っ切れていく様子が桐野夏生らしい展開だった。

ハピネス

ハピネス

  • 作者: 桐野 夏生
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2013/02/07
  • メディア: 単行本

「両片想い 僕らのロード」

$
0
0

・両片想い 僕らのロード/今城けい ルチル文庫

両片想い 僕らのロード (幻冬舎ルチル文庫)

両片想い 僕らのロード (幻冬舎ルチル文庫)

  • 作者: 今城 けい
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2014/11/17
  • メディア: 文庫
高校の同級生でロードレース選手と自転車店主との、遠距離恋愛の話。 子供から大人へと成長する二人の夢、絆、そして恋の行方……←裏のあらすじより 両思いだけれど、フランスと東京。 遠い距離。 レースで結果を残さなくてはいけない。 大学に通っているうえに、祖父がしている店を続けたいと頑張らなくてはいけない。 会えない。 そばにいて欲しい。 負担にはなりたくない。 切ない想い。 この二人、いったいいつになったら会えるんだろう? 会えたのは、なんと、200ページを過ぎたあたり。 この話、普通のルチルよりも分厚くて、350ページほどあるんだけれど、それでも、半分以上過ぎている。 高校卒業から、三年半後。 長かったよ。 ここまで来るのが。 でも、天城は自分の生活がある。 兼行と一緒にフランスへは行けない。 この二人、どうなってしまうんだ? 最後は幸せになるんだろうね? でも、どうやって? あーもー! それから、二年足らず後。 やっと、だよ。 でも。 ハラハラしどおとだよ、この二人には。 絶対に二人は別れないで欲しいし、幸せになって欲しい。 お互いが好きでも、どうしようもならないことがある。 でも、いつかは、いつか二人が幸せになって欲しい。 そうなるまで、けっこうかかったね。 この話、題名どおりの内容で、裏のあらすじの最後の文(最初に書いた)な話だった。 恋によって、二人が成長する話って、好きなんだよね。 この話はまさにそうで、おもしろかった。 あー、もっとこの話のことをこの二人の想いを伝えたいのに、うまく、いい言葉が出てこないよ。 兼行も、天城も、ホント、頑張ったよ。 会えなくて、触れられなくて、寂しくて、恋しくて、辛くて。 でもさ、その期間が、そんな思いをしたから、今の幸せがあるわけで。 これから何があっても、二人なら大丈夫。 お幸せに ★★★★

虚ろな十字架 東野圭吾

$
0
0

冒頭のエピソードがどうつながるのか。ぴたっとつながったときの感じはさすが東野さんだなと思いました。重い話でしたねいろいろと。

平泉:よみがえる中世都市(岩波新書)

$
0
0

『平泉:よみがえる中世都市』
斉藤利男(日本中世史)
岩波新書(1992)
かわらけ。粗製の土器。宴会で使い捨てる 日本国と蝦夷の地をわける国境の川、衣川 衣川北岸に商業地域 無量光院は宇治平等院を模したもの 平泉文化は中央文化の模倣 奥州藤原氏は、 京都でも奥州でも鎮守府将軍の家とみなされていた。 奥羽住民の代表ではない ☆☆☆☆☆ 難易度3/5 推薦度2/5 ちょっと話がマニアックではあるまいか? ・今日の一言(本文より、芭蕉) 夏草や つわものどもが 夢の跡 여름풀이여 병사들이 꿈의 흔적 The summer grass / 'Tis all that's left / of ancient warriors' dreams. 长夏草木深,武士梦留痕

BL小説「365+1」(凪良 ゆう)

$
0
0

365+1 (プラチナ文庫)

365+1 (プラチナ文庫)

  • 作者: 凪良 ゆう 画:湖水 きよ
  • 出版社/メーカー: プランタン出版
  • 発売日: 2014/07/10
  • メディア: 文庫
【あらすじ】
初めての恋で、初めての恋人で、初めての失恋。 恋人同士の紺と綾野は、上京し共に夢を追うはずだった。 けれど母親が倒れ、綾野は地元に残ることに。 距離が離れてもふたりの仲は揺らがない、そう思っていた。 なのにいつしか綾野は、自分の変わり映えしない日常に焦りを感じ始める。 そして、久しぶりに帰省した紺に“変わらずに待っている安心感"を求められたことで、綾野が感じていたふたりの間の亀裂は決定的になり──。(プラチナ文庫・プランタン出版より)
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 作品お気に入り度 ★★★★★ 挿絵お気に入り度 ★★★☆☆ 感想。。。 先月発売された凪良さんの新刊を読む前に積んでた方を読みました。 (2014.7月刊行) ワタシ、こういう話大好きだわ。 「365-1」 「365」 「365+1」 ・・・読んだらサブタイトルの意味がとてもしっくりくる。 めちゃくちゃ好き同志で一緒に東京に出て共有しあう夢を追う・・・。 そんな約束も綾野の母親が倒れてしまった事で遠距離恋愛に。 新しい環境の中、離れて暮らす時間が長くなると自然と“自分が見えてない時間を過ごす相手”に対して、不安に思ったり、焦ったり。相手を大切に思えば思うほどそういう本音も言えず、それがスレ違いという形になったりする。 綾野と紺はホントに思い合って誠実だから、遠恋でも利用したり、惰性で付き合っていたりじゃないのに、でもちょっとした見栄や素直になれない事で空回っていく。 綾野と紺のそんな“もがき”がとてもよく伝わってきて何度も胸の奥がギュっとなりました。 それでもお互い一途なんですよね。 そしてお互い相手に恥じないように生きたい、夢を追いたいって思ってる。 たとえ離れてしまっていても、お互い心の中で支えあってる。 BLであってもそういう人間としての繋がりがワタシのドストライクでした。 最後はハッピーエンドでホントに良かった!! 少し時間が掛かっちゃったけれど、でも5年前に描きあったお互いの思いや夢が叶いあえてホントに良かった。 美山が物語の中でピリリと良い刺激的存在にになっていました。 彼のスピンオフとか読んでみたいです。 (読了日:2014.11.7)

ハイスクールD×D  ゲーマーズ特典ブロマイド

$
0
0

n2641.JPG
ファンタジア文庫刊  著 /石踏 一榮 / みやま 零 ハイスクールD×D 18 聖誕祭のファニーエンジェル のゲーマーズ特典 表紙と同じだけどね ハイスクールD×D (18) 聖誕祭のファニーエンジェル (富士見ファンタジア文庫)

『この部屋で君と』

$
0
0

この部屋で君と (新潮文庫)

この部屋で君と (新潮文庫)

  • 作者: 朝井リョウ他
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2014/08/28
  • メディア: 文庫
内容紹介
誰かと一緒に暮らすのはきっとすごく楽しくて、すごく面倒だ。「いつかあの人と同じ家に住めたらいいのに」「いずれこの二人暮らしは終わってしまうんだろうか」それぞれに想いを抱えた腐れ縁の恋人たち、趣味の似た女の子同士、傷心の青年と少女、出張先の先輩と後輩、住みついた妖怪と僕…気鋭の作家8名がさまざまなシチュエーションを詰め込んだひとつ屋根の下アンソロジー。
先週は水曜日から日曜日にかけて3泊5日の出張をしていた。積読状態を解消するいいチャンスということで、タンスの肥やしにしていた本を何冊か携行した。米国に出張すると時差が14時間もあるため、昼と夜が完全に逆転し、何時に就寝しても朝2時台で目が覚めてしまう。年齢とともに時差ボケがなかなか解消しにくくなってきたため、現地に滞在していた間はずっと睡眠不足に悩まされた。でも、そのおかげもあって、早く起き過ぎて夜明けが訪れるまでの4時間、仕事の準備の合間に相当量の読書を進められたし、日中も訪問先でのアポの待ち時間を使うことができた。 8人の新進作家によるアンソロジー。まあ面白かったことは面白かったが、どれも帯に短し襷に長しという感じ。強いて挙げるなら、ワシントンのダウンタウンのPotbellyでサンドイッチを食べながら読んだ越谷オサムの『ジャンピングニー』だろうか。漫画家志望の女性のアパートに上がり込んできたプロレスラーの彼氏という設定が奇抜かと。でも、全体を通しては、むしろ、どの作品をどういう状況で読んでいたかの方が記憶に残っている。 僕がアンソロジーを手にする際のポイントは、応援している朝井リョウくんの作品が収録されているからだが、実はこの本を3ヵ月積読状態にしてしまった最大の理由は、トップバッターで掲載されていた朝井クンの作品が僕的にはちょっとピンと来なかったからだ。彼独特の表現は健在で、僕らが普段何気なく見ているものをこういう風に表現できるんだという意外感は作品の随所に見られるんだけれど、どうも学生さんの同居者探しといった内容の話は、アラフィフのオジサンには合わないようだ。むしろ、同居者のどちらか一方でも40代に片足を突っ込んでいるような話なら、ちょっとは親近感が湧くが、現実的にはそういうシチュエーションは少ないのではないかと言う想像もしてしまう。 こういう本が合わない年齢になったのかなと思うと、ちょっと寂しさも感じる。

成績が上がる中学生勉強法 くちこみ

$
0
0

悩みを具体的に解決してくれると
クチコミで話題になっているのが、
安村知倫先生さんの「成績が上がる中学生の勉強法」なんだけど・・・

「勉強しなさい!」と口うるさくいっても、勉強しない子が、
やる気を出して勉強するようになるノウハウ
って言ってるんだけど、
どんな内容なのか気になるね。

嘘っぽい?と、思わないこともないけど
実際の感想をみると効果ありそうな内容かも。

実践者のくちこみと体験談

この教材の勉強のやり方を実際にやった子は、勉強の仕方がわかるようになるから、
ほとんどのテストでどの教科も満点が取れるようになるみたい。

自己流の勉強の仕方で努力しても、なかなか成果は出ないけど、
この教材で正しい勉強の仕方がわかれば、成績も上がりそうだね。

この価格なら、試してみる価値はありそう。

成績不振で悩む中学生や保護者には救いとなる教材かも☆彡








http://ayaayanodiary.jugem.jp/





辞世その2

$
0
0

 天皇の御楯と誓ふま心は とどめおかまし命死ぬとも 山本五十六  仇討たで野辺には朽ちじわれはまた 七度生まれて矛を執らむぞ 栗林忠道  ここに取り上げた二首は、私の理想からは最も遠い。職業軍人という立場から、このような辞世になってしまったことはわかるが、このような辞世を私は評価しない。  山本五十六は米国にもよく通じていたし、また有名な海軍のトップであった。栗林忠道は硫黄島で勇敢に戦い、さんざん米国を悩ました名将である。このような、英明な人たちであっても、軍人というのは立場上、このようなつまらない辞世しか作れなかったのだ。  断っておくが、この二人の軍人を評価しないと言っているのではない。あくまで、辞世そのものについて、私の理想からは最も離れていると言っているのだ。

第三次世界大戦後の世界…世界再生に向けて善と悪の戦いを描くダークファンタジィー小説「スワンソング」

$
0
0

「スワンソング」著者 ロバート・R. マキャモン ★★★★★(個人評価 ★多めならおすすめ)

核戦争後のアメリカ。世界再生のカギを握る少女スワン。

スワンと仲間たちの旅が終わるとき、世界は再生するのだろうか。そして世界破滅を狙う悪の存在が迫る。

スワン・ソング〈上〉 (福武文庫)

スワン・ソング〈上〉 (福武文庫)

  • 作者: ロバート・R. マキャモン
  • 出版社/メーカー: ベネッセコーポレーション
  • 発売日: 1996/10
  • メディア: 文庫

スワン・ソング〈下〉 (福武文庫)

スワン・ソング〈下〉 (福武文庫)

  • 作者: ロバート・R. マキャモン
  • 出版社/メーカー: ベネッセコーポレーション
  • 発売日: 1996/10
  • メディア: 文庫

ほんとにほんとにほんとに面白い!
これを読んでマキャモンにハマった。 

このあとマキャモンの本を探しまくって読んだなぁ。

 核戦争である第三次世界大戦で生き残った人々。
善と悪。
他人から搾取することで生きる術を得るもの。
純粋で再生を信じて夢を失わずに生きる人々。
そのどちらもがリアル。

再生する力を持つスワンとその力を狙う圧倒的な悪たち。

どんな悲惨な世界でも希望を失わず生き抜こうとする人々がいる。

人間の持つ強さとか善とかそういうのが胸にひしひし迫って感動する。

こんな面白い小説があるのかと驚愕したわ。
読み終わって哀しくてならなかった。
だって、もう読んじゃったんだもん。
これから読む人がいたら…うらやましい。

何度も読み返したけど感動は薄れない。
ダークファンタジーの最高傑作です。
今まで読んだ本の中でも五指に入る面白さです。
ぜひぜひたくさんの人に読んで欲しいけど
絶版??

ルナ18.jpgえ?世界が終るにゃ?その前に急いでご飯食べるにゃ。

【本過去記事】

半沢直樹ドラマの続きが気になりませんか?堺雅人のハマリ役原作「ロスジェネの逆襲」

ブス!という言葉には過剰反応!でも心までブスにはならないようにエッセイ「ブスのくせに!最終決定版」



ブログランキング・にほんブログ村へ←ブログランキング参加中です。2ポチして頂けるとめちゃ嬉しいです。


年末年始の旅行は楽天で!

PR: 「ソーシャルビジネス」を支援します!-政府広報

$
0
0
様々な社会の課題解決に向けて、ビジネスの手法で取り組む人を後押し!詳しくはこちら

「文学の門」

$
0
0

 

「文学の門」  荒川洋治著
みすず書房  2009年12月10日刊  2,500円+税

 

  著者の本は「文芸時評という感想」くらいしか読んでいないが、なぜか好感を持っている。以前通勤の朝に聴いていたラジオで、週に1回出版物案内のようなコラムがあった。それが楽しみだったせいかもしれない。この本はエッセー集であるが、詩、小説、俳句、短歌、その他幅広く取り上げていて、なかなかに知的好奇心を刺激してくれる。                    (図書館から借りた本) 

IMG_2645a.jpg 

 

今日のおまけ: いろいろな木の葉が色づく季節

DSC_0891.jpg 

 

☆縺れた綾糸

$
0
0

縺れた綾糸 (17) 作 元川 芹香 由紀子は良太に自分の出生やこと、特に誠治については少しずつ話していった。「由紀子がそんなお嬢様だとはな!でも、辛かったね。もう心配ないよ、ずっと俺が側にいるから!」 良太は優しく由紀子を抱いた。「良太!ありがとう」 良太の言葉で溢れる出る涙が頬をつたった。だが、「うつ」 のことだけはどうしても言えなかった。幸せが逃げていくようで怖かった。 年の瀬、増田家からは何年かぶりに賑やかな話声が聞えてきた。「良太君の着ているスーツはいいセンスだと思っていたら、そうかアパレルの仕事をしてるのか!で店は?」 由紀子が言う 「3店舗もお店任されて、良太が海外で仕入れる服は即完売になっちゃうんだから!」 良太の株をあげようとアピールを惜しまない。早く誠治に認めて欲しかった。 「そうか海外に買い付けに行くのか!最近なかなか良い店がなかったからな」 もはや、誠治には良太が金のなる木にしか見えなくなっている。 由紀子もそんな誠治を利用しようと考える。「結婚式は身内だけでしたいの」 由紀子の一言に 「そうは行かない!お前は大事な増田の一人娘だ。会社関係でも150人は招待しないとな!」 依然として、誠治の独裁はかわらない。節子がその会話に 「あなた!由紀子はお嫁にいくんだから、良太さんとご両親にお任せしましょう」 と釘を刺した。 由紀子は良太にどうしても店を持たせたかった。その為には出資元になる誠治の機嫌をそこねないよう、ある程度の希望を譲歩した。結果、式の段取りは全て誠治が仕切るハメになった。 誠治から呼ばれ、二人で披露宴の招待客リストを見ていた。これでもだいぶ我慢したのだろうが増田家70人に対し、長谷川家は30名が連ねてあった。 由紀子は増田側のなかに誠一郎の名を見つけてしまう。みるみるうちに由紀子の形相が変り震えながら「私、結婚式には出ない!」と言い、良太をもおいて増田の家を飛び出した。 <つづく>

PR: 必ず取り戻す!北朝鮮による日本人拉致問題-政府ITV

$
0
0
突然、人生を、家族を、奪われたら・・。北朝鮮による日本人拉致問題を一緒に考えよう

単行本未収録作品を収録

お前の番だ! 158

$
0
0

 そう声をかけてきたのは興堂派最若手の内弟子である堂下善郎と同い歳の、宇津利益雄、と云う名前の門下生でありました。宇津利は内弟子ではない専門稽古生でありますが堂下とは殊の外仲が良くて、その絡みで万太郎に大いに懐いているのでありました。 「今日は総本部のあゆみ先生と一緒に伺ったんで、道分先生に事前に挨拶したりしていたから、何時もと違って顔出しが遅れたんだ」  是路総士や良平とかごく近しい人と総本部の母屋に在る時には、万太郎はあゆみを、あゆみさん、と呼ばわるのでありましたが、それ以外の場では、あゆみ先生、と呼称するのが習わしでありました。あゆみは是路総士の剣術の出張指導の付き人として偶に興堂派道場を訪っていたから、興堂派の専門稽古生には知れているのでありました。 「おや、あゆみ先生がいらしているんですか?」 「ああ。今日は稽古に一緒に参加する事になっている」 「成程。道理で若先生が何時になく浮き々々していると思いましたよ」  宇津利はそんな事を口走るのでありました。 「そうなのか?」 「ええ、何となくそんな気が」  道場を見渡すと見所の前辺りに、確かにそう云われると何時もよりは少しはしゃいでいるような風情で、取り巻き達と話しをしている威治教士の姿が在るのでありました。 「威治先生はあゆみ先生が来ると何時も浮き々々するのか?」 「いやまあ、僕は本当は知らないのですが、先輩方は皆そう云っていますね」 「ふうん。あ、そうだ花司馬先生や威治先生に挨拶をしておかないと」  万太郎は宇津利にそう云い置いてから、道場正面隅に単座して道場内を見まわしている花司馬筆頭教士の傍に歩み寄るのでありました。 「今日のご指導、よろしくお願いいたします」  万太郎は花司馬筆頭教士の前に正坐して格式張った座礼をするのでありました。 「はい、よろしくお願いします」  花司馬筆頭教士も万太郎に座礼を返すのでありました。「折野君はもうすっかり、ウチの門下生みたいな感じになっているなあ」  道場に入るなり他の門下生と目礼や笑顔の交換をしたり、慣れた様子で宇津利と言葉を交わしたりする万太郎を見て、花司馬筆頭教士はそう云ったのでありましょう。 「ええ。もうすっかり顔馴染みになって、皆さんには気さくにして貰っています。ところで今日は板場先生のお顔が見えないようですが?」 「ああ、板場は三日前からマレーシアと台湾に巡回指導に行っているよ」  興堂派はフランスやイギリス、それにアメリカとカナダ、それからオーストラリアにニュージーランド、アジアではインドネシアとマレーシア、それに台湾に海外支部道場があるのでありました。それらの支部からは年に一度くらい指導員の出張依頼があって、板場はそのためマレーシアと台湾に出張していると云うのでありましょう。 「ああそうですか。マレーシアと台湾ですか」 (続)

砕かれた夜 [book]

$
0
0

sample1.jpgフィリップ・カー/新潮社/お薦め度 ★★★★☆

ベルリン三部作、第二弾

時は1938年、ユダヤ人迫害がますます強くなるベルリン。ドイツは戦争に一歩近づいていた。

私立探偵グンターは富豪の未亡人から強請事件の依頼を受ける。自分の息子が事件に関係しているのではないか、と。犯人と思しき男を突き止めるが、助手ともども殺されてしまう。

そんななか、前職の刑事警察に半強制的に連れ戻されるグンター。唯一の条件は刑事から警部。指揮をとらされた事件は連続強姦殺人。すでに4人の少女が殺害されていた。

捜査をあざ笑うかのように更に増える被害者。いつしか二つの事件が符号することに・・・

今回も実名の人物、ヒムラーが大きな役割を果たす。事件の解明と時代背景を巧みに操る作者に脱帽!

主人公グンターの心情哲学を示す一節。「ふだんなら、党の広報番組など聴きはしない。自分の屁に耳を傾けているほうがよほどましだ」

追伸:前作で行方不明となったイングの件はもうちょっと頁を割いてほしかった!

第四百話_short レンタル小説

$
0
0

 貸本屋というものは昔からあったが、いまはCDやDVDのレンタル店が盛んになった。

 生活周りでも住まいや衣装、車のレンタルは普通にあって、高いお金を払わなくても必要なものを必要なときに必よな機関だけ借りるという合理的な使い方をする人も多い。そのほかの家財や生活道具などもレンタルできる店も生まれたようだが、どういうわけだかこちらがすこぶる奮っているという噂は聞かない。きっと毎日使う安価なものは買った方が安いということなのだろう。

 私はこうしたレンタルサービスに目をつけて新しい商売を考え出したのだが、そん所そこらにあるものを貸し出してもなかなか難しいだろうと考えて、誰もが考えつかないようなものをレンタルしようと考えた。それがいまやっている店だ。

 レンタル親父。

 そう、実は世の中の親父たちが情けないという世評を見て思いついたのだが、自分自身を商品にすることを思いついたのだ。元来役者っ気のある性分であり、世の中の人々が求めるさまざまな親父の姿に対応してレンタルされてやろう、きっとウケルに違いないと考えたのだが……。

 来ない。客が来ないのだ。時には頑固親父に、ときにはちょい悪親父、物分かりのいい父親だったり、なんでもご馳走してくれるパトロン親父だったり、きっとニーズがあると思ったのだが、さっぱり客が来ないままに半年が過ぎてしまった。

 商売にならないまま一日を過ごして、店じまいをした後はリサーチという名のもとに酒場で憂さを晴らす。そんな毎日を繰り返していたが、ある日、まんよくというか、千載一遇というか、ちょっとした美人とカウンター席で隣り合わせになり、首尾よくお近づきになることができた。

「へぇー! そうなんですかぁ! 面白そうなお仕事ですねぇ。なんだか私もお借りしてみたくなっちゃった」

 店の話をしても興味を持たれないかと思ったが、意外なことに目を輝かせて聞いてくれた。

「私だったらどんな親父さんをレンタルするかしら」

 自分を顧客に見立てた想像まで膨らませて話に乗ってくるではないか。

 まさか初対面で”お持ち帰り”ができるなんて考えてもいなかったのだが、その後もう一軒同伴し、「送っていくよ」という決まり文句で二人夜道を歩いた。

「あらぁ、私もう終電なくなりそう!」

 急に酔いがさめるようなことをいうので、「いいじゃぁないか、俺とこに泊まれば」

 俺だってまさか家に女を連れて帰るわけにはいかないが、昨今レンタルブームですぐに借りられる部屋を知っていた。ホテルよりも安くしかも自宅のようなしつらえなので、自分の住まいであると言っても疑われない。

「本当? いいの?」

 そうまで言ってついてきた癖に、間際になって「私、やっぱり帰ります」これもありがちなコースだ。

 俺は何十年ぶりにお持ち帰りができると家まで借りてしまったのにと内心腹を立てたが、「そうだよな、じゃぁ今日はお帰り、気をつけてね」と快く後ろ姿を見送ったものの、借りてしまったレンタルハウスで一人夜を過ごすのも嫌だなぁ、かといって妻を呼び出すわけにもいかないし……悩んだ挙句、この際だからと、噂に聞いていたビジネスを思い出して、これもリサーチのためと自分に言い訳しながら電話をかけた。

「あの、すみません。こんな時間でも手配いただけるんでしょうか?」

 幸い大丈夫だということでレンタルハウスで待つこと二十分で商品が現れた。

「ただいまぁ~レンタル妻の小枝子でーす」 

                      了


↓このアイコンをクリックしてくれると、とてもウレシイm(_ _)m

                
          ショートショート ブログランキングへ

『「サル化」する人間社会』

$
0
0

『「サル化」する人間社会』 山極寿一 2014/07 「サル化」する人間社会 (知のトレッキング叢書)  著者は京都大学大学院教授。 ゴリラの生態研究から人間社会の変化を考える本。  家族の起源は、初期人類が熱帯雨林を出て草原で暮らすようになったころにまで遡れる。  ゴリラは群れの仲間の中で序列をつくらない。喧嘩をしても、じっと見つめ合って和解する。ゴリラの社会には勝ち負けという概念がない。 一方、サル社会は純然たる序列社会。強いものは常に強い。 人間社会は加速的にサル社会化しているように感じられる。  人間よりもゴリラのほうがよほど余裕がある。私たちがゴリラを受け入れるより先に、ゴリラが人間を受け入れてくれる。ゴリラは、私たちにゴリラ社会のルールを教えてくれる。 サルは人間に馴れはするが、その後は無視して自分たちの生活を続ける。  ゴリラの喧嘩の仲裁は非常に平和的。第三者はどちらにも味方しない。大人オス同士の喧嘩でもメスや子どもが仲裁する。 サルの喧嘩はたいていの場合、優位のサルに大勢が味方して喧嘩を終わらせる。  ゴリラは優劣のない社会で暮らしているので、優劣が態度(行動)を決める判断材料にならない。相手をじっと見て何をしたいのかなと考える。つまりゴリラには共感能力がある。  ゴリラで生殖の相手を決めているのは常にメス。ゴリラの集団は1頭のリーダーオスにたくさんのメスが集まる、単雄複雌で、家族に近いもの。メスは集団間を移動できる。 チンパンジーの集団では複数のオスとメスが交尾する。 人類の「家族」は、初めはゴリラ型だったと考えられる。  家族というものは「食事をともにするものたち」。霊長類の場合、「誰と食べるか」が大事。その選び方で社会が作られていく。 人間は「共食」の習慣から「個食」に代わりつつある。食卓が消えれば家族は崩壊する。そうなれば、サル社会にそっくりな、個体の欲求を優先したかたちに変わっていく。

Viewing all 53333 articles
Browse latest View live