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2012年おもしろかった一冊

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12月ともなると、今年1年を振り返る機会が多くなってきました。 私は普段から良く本を読むのですが、この時期になると勝手に一人で 「本年度おもしろかった本大賞」を決めています。 2012年度発売のおもしろかった本をご紹介しますね。 ●「ふがいない僕は空を見た」窪 美澄/新潮社 第24回(2011年)山本周五郎賞受賞。田畑智子主演で映画化もされましたね。 高校生の斎藤くんとその恋人である年上の主婦、認知症の祖母と暮らす友人、 助産院を経営しながら女手一つで斎藤くんを育ててきた母…それぞれが抱える痛みや 苦しみと、生きることの喜びを鮮烈に描いた5つの連作長編です。 どうしようもない息苦しさがリアルに描かれていて、読んでいる方も切なさが こみあげてきます。R-18文学賞も受賞している通り性描写の強い作品ではありますが、 生死をも含めた『性』を通して人間の不器用さや不甲斐無さが隠すことなく描かれています。 主人公たちの救いようの無い状態に対して、特に最後まで力強い希望の光や味方は 現れません。なのに、読後感はすがすがしくて暖かいんです。人を思う気持ちが 全編を通して上手くつながっていて、人と人との間で生まれる感情が胸に残るから だと思います。 生きるって綺麗ごとだけじゃなくて泥臭い、でもそれなりに一生懸命みんな生きている… そんな力強さを感じたいかたにオススメの一冊です!文庫本なので、手に取りやすいと 思います。ぜひ書店で探して見てください!

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