5/30に読了しました。 村上春樹氏の長編小説はずっと読んできていたんで、慣れ親しんでいたものですが、たとえば「ねじまき鳥クロニクル」や「海辺のカフカ」、「アフターダーク」「1Q84」といった作品のそれぞれにもつ過去の作品群とはちょっとずつ異なる要素に比べると、以前の作品の登場人物であったり、見知った風景や情景に近い感覚が久々にこの作品にはありました。 感じ方はたぶん人それぞれなので自分の経てきた春樹氏の読書体験の中ではということですが、「風の歌を聴け」から「ダンス・ダンス・ダンス」に至るまでの作品群に登場していた主人公の佇まいに似た印象を今回感じて、何か一巡りした後という雰囲気のどこか親密な通いなれた道を進むような感覚を味わいながら読み進めました。 読み終えた余韻は自分には「ダンス・ダンス・ダンス」に最初に出会った時のような、切ないんだけど穏やかな気分に満たされる、見晴らしのいい気持ちが湧いてきました。 「ダンス・ダンス・ダンス」がそうだったんですが、これ、結構長編作品の中でも特に大好きな1冊になりそうな予感がします。
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