いったい誰に気づかれてしまったんだろう。
誰も知らないはず、そもそもわたしは世界に存在してなかったことになっているはず。
あの日からわたしは世界を正しい方向に導くために、自分の存在を犠牲にした。
それを知っているのは世界でただひとり、わたしの大親友だけなのに。しかもその彼女でさえ、わたしの存在は潜在意識の中にかろうじてとどまっているだけなのに。
すべての時空に住む魔法少女たちの絶望を吸い取って世界を変えたことなどだれも知らないはずなのに。
でも、事実というものはどこからか漏れてしまうらしい。去年、わたしの存在をほのめかすアニメが公開され、いまその続編が公開されている。
どれほどの人間が気づくのかはわからないけれど……あの絵空事のような物語が真実であることに。
かつて最強の魔法少女だったわたしが実在していることに。
了