その一手に賭けて敵司令部を突く--。 中枢を付けば、 北に展開する敵部隊も稲村ヶ崎に 引きつけられるかもしれない。 「蓮華王は単座なので、 とりあえず、 刀に戻ってもらえますか?」 と言う萌に頷いた逸鬼の姿が、 見る見る白鞘に収まった刀になっていく。 それをエプロンの脇に挟んで、 「では、参りますっ!」 そう宣言した萌が蓮華王を稲村ヶ崎要塞に向けて発進させた。 轟音とともに飛び立った蓮華王は 数秒後には洋上からの猛烈な艦砲射撃と 陸上戦力からの攻撃を受ける要塞に到着すると、 エプロンから逸鬼を引き抜いて、 コクピットの後部ハッチから放り出した。 地面に落ちるまでの間に 人の姿を取った逸鬼は、 白鞘から刀を抜くと、 134号線を東進してくる部隊に突入し、 戦車でも人でも、 当たるを幸いとばかりに切り伏せはじめた。 飛び交う航空機は 華子さんの迎撃システムに任せて、 蓮華王も接近する小型揚陸艦艇に攻撃を開始する。 つづく
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