11:21:21 arakawa 09/20/2013
薔薇の日記帳
分厚い物語りのなかで
少し気になり拡大鏡のなかで
うとうととしていた
どこまで展けていくのか
夜の洞窟はもっと暗い
薔薇のなかに
宝石を入れると云う言葉が
帰る
食卓のながいゆめの
どこまで声は降りて来るのか
開墾や遊戯の氾濫に溺れない
集まりが
昼となく夜となく
海にいちばん近い橋のたもとの
酒場で開かれる
素直な気持ちで聞きはじめると
変化するつめたさがある
憤慨の蕾がひらこうとする瞬間に
焼いていた餅の腹が破け
しろい粘力がまるい屋根を震わす
あたしは知らない父の前にいる
読んだり
聞いたりしている
あたしの一部がひくひくしている
焼べられて
老人になり
生きた浮標として
浮いている
白い腹が聴こえる
視ているうちに
過剰に欲しくなる
食べるための液に浸すと
どこの邦の庭に入り込んだのか
軽い匂いの侵入
薔薇などなくて
ここにいるのがわかる
喉を封鎖しないために
ドアーを開き
耳殻を閉じて
薔薇の花のなかに宝石を入れたひとが
宝石を捨てる
日記帳が
谷底から光り放たれ
糸はほどけ
点描の記憶は
視えないけれど青く映る