『がんワクチン治療革命』 中村祐輔 2012/12 著者はシカゴ大医学部教授、オンコセラピーサイエンス(株)設立者。 ペプチドワクチンによるがん治療についての本。 日本では厚生労働省の指導で、治験情報を積極的に流して宣伝することはできない。日本は国としてがんの治療情報の集約・分析・公開が非常に不十分。 日本の医療体制では、がんに標準療法といわれる3つの治療(外科、放射線、化学療法)があり、これ以外は保険が適用されない。これが終了すると緩和ケアとなり、がん難民となる。 「よけいなことをして波風をたてたくない」「前例の無いことはやらない」という事なかれ主義をふりかざす行政のおかげで、日本の新薬・医療機器開発は遅れに遅れている。 ペプチドとはアミノ酸がつながったもの。ペプチドワクチン療法は、がん細胞が作り出すペプチドと同じペプチドを持つワクチンを人体に注射し、これを攻撃するリンパ球を増殖させようというもの。免疫療法の一種。 免疫療法がこれまでうまくいかなかったのは、がんを特定した攻撃ができなかったため。 日本でも全国数十ヶ所で臨床研究が行われているが、一刻も早く実用化するために著者は米国へ渡ることにした。 慶応大学の近藤誠氏の「がんもどき理論」はいいかげんで、20世紀半ばまでの発想だと述べる。
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