読書ブロガー Sanchai さんの記事 を読んで、面白そうだと思って購入しました。 本書の巻頭に、タバコと酒がやめられない、肥満の女性が登場します。 彼女は仕事も続かず、夫にも逃げられる始末。 そんな女性が、タバコをやめることによって、様々な悪循環を断ち切り ベターな人生を手に入れたといいます。 この話を読んで私はすっかり、自分の習慣の中で何かを変えれば 人生が劇的に良くなる話で、その手法を教えてくれる本なのだと思ってしまいました。 ですが、客観的に考えれば、そんなに上手い話はないわけで よくよく読んでみると、「習慣」という行動パターンがどのように形成され どのように働いているかが分かれば、それを変える方法も見つかる ただしそれは常に簡単なわけではない、というようなことが書いてありました。 習慣には、シンプルなループがあるそうです。 そのループは、 1. きっかけ 2. ルーチン 3. 報酬 の 3 つのステップで構成されています。 例えば「ついチョコチップクッキーを食べてしまう」という習慣の「きっかけ」は空腹です。 「お腹すいたなー」と思うとつい、チョコチップクッキーに手が伸びてしまう。 チョコチップクッキーは「ルーチン」です。 毎回、同じことをしてしまう、つまり習慣になってしまっているのです。 ではなぜ、チョコチップクッキーが習慣になってしまっているのか? それによって得られる「報酬」があるからで、その報酬が心地良いがために 次にお腹が空くと、またチョコチップクッキーに手を伸ばしてしまう。 「美味しい!」と思うので、やめられなくなってしまうのです。 このループのうち、どこか 1 つを変えることができれば、習慣を変えられるようです。 例えば、チョコチップクッキーと同程度の報酬を、別のもので得ることが出来れば チョコチップクッキーを食べなくなるそうです。 「お腹空いたなー」と思ってクッキーに手を伸ばす行動を解析して、 本当にお腹が空いているわけではなくて、 仕事に疲れて休憩したがっているなどの事実が分かれば 今度同じきっかけが訪れても、クッキーに手が伸びなくなるらしいです。 そこまでして変えてしまいたい習慣というのは、今のところないのですが(本当か?) 本気でお酒を止めなくてはいけないときになったら 使ってみようかな・・・と思いました。 本書には、様々な例が紹介されていて 冒頭に登場した女性のような、タバコやお酒などの悪癖を断ち切る話だけではなく 大手スーパーのターゲットが、顧客の購買意欲をそそるクーポンを送るために どのようにして人間の習慣を分析しているかとか ファブリーズをヒットさせるために、P&G が提案した新たな習慣の話などが紹介されています。 身近な商品が、ものすごい分析の元に売られているということが分かって 興味深かったです。 唯一気になっているのが、最後に出てきたギャンブル依存症の女性が 習慣を変えることができたかどうかなのですが・・・ それについては書かれていなかったような気がします。 何かを始めるのは、結構簡単なのに、それが習慣化してしまうと 連鎖を断ち切るのは非常に難しいということが良くわかるお話で、 結末を是非掲載して欲しいと思いました。 このお話を読むと、思いつきで新しいことを始めるのも、意外と問題なのかもしれません。 良い習慣を始めることができれば、問題ないわけですが 習慣化するまで、それが良いか悪いか、本人には分からないですからね。 381 ページもあるぶ厚い本で、内容も軽くはないので、 読むのに少し時間がかかりますが、色々と考えさせてくれる本です。 Sanchai さん、興味深い本をご紹介くださり、ありがとうございました。
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