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水の迷宮 クラッシャージョウ11

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水の迷宮 (クラッシャージョウ)

水の迷宮 (クラッシャージョウ)

  • 作者: 高千穂 遙
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/02/22
  • メディア: 文庫



評価:★★★

日本初のスペース・オペラとして
シリーズ第1作「連帯惑星ピザンの危機」が
今は亡き(!)ソノラマ文庫から発売されたのが1977年。
もう36年も前なんだね。

(ソノラマ文庫も、けっこう買ったなあ。
 思えばライトノベルの草分け的存在だった。)

このシリーズ、第1作から第5作までは間を開けずにぽんぽん出たけど
第6作あたりからぐっとペースが落ちて、何年も新作が出ない時期もあった。

版元をソノラマから早川書房に変えて、
旧作の復刊が続いていたが、やっと新作が出た。
36年目にしての第11作である。

惑星表面のほとんどを海が占める海洋惑星・マルガラスで、
先史文明調査隊を護衛する仕事を依頼されたジョウたちだが、
マルガラスは政府vs反政府勢力の内戦を繰り広げており、
調査隊もその戦いに巻き込まれてしまう。

今回は、水中戦闘に特化した女性傭兵・アプサラが主役。
アプサラは政府側に所属していたのだが、
調査隊が巻き込まれた戦闘を機に、隊長・ディーラーに雇われて
海底遺跡発掘作業に同行することになる。

政府軍と反政府軍、さらには第三勢力まで登場して
マルガラスの海底に眠る古代文明に秘められた
オーバー・テクノロジーの争奪戦が展開される。

とは言っても、今回はジョウたちよりは遙かにアプサラの方が目立ってるかな。
戦闘シーンも、水中や地表がメインであんまり派手さはない。
初期の頃の、大宇宙を舞台にした
華麗なる戦いを期待するとちょっとがっかりするかも。

水中戦・水上戦は、今までのシリーズでもあまりなかったと思うので
目先を変えると言う意味で取り上げたのかと思うが
本来、宇宙での活躍がメインのクラッシャーに海の戦いはやっぱ荷が重いか。

ただ、久しぶりにジョウたちに会えたのは嬉しかったし、懐かしかった。

考えてみれば、第一作を書いたときの作者は26歳で、
今作のときは62歳である。
何と還暦を超えていらっしゃるわけで、
この年でこれだけのモノを書けるのは、実はすごいことなのかも知れない。
(表紙裏の著者近影を見ると、時の流れを実感するが、
 実は読者の側にも同じだけ時間は流れているのだよね。)
でも、やっぱりジョウたちには宇宙で戦うシーンを見せて欲しいなあ。
ぜひ次回作で実現してほしいものだ。

ストーリーはいちおう今作で区切りがついているけど
続きがありそうな描写もある。
またアプサラが登場する話が読めるのかも知れない。


冒頭に、声優・久川綾が作詞・歌唱した「水のラビリンス」から、
この作品の発想のきっかけになったという謝辞が記されている。

この曲は聴いたことないんだけど、wikiで見たら
1995年発売の「Hi-Ka-Ri」というアルバムの中の一曲。
ちょっと聞いてみたくなった。


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