善人じみた小悪党が集う”善人長屋”シリーズ第2弾。第1弾記事はコチラ。
西條奈加『閻魔の世直し 善人長屋』
善人ばかりが住むと評判、実際そうだが同時に小悪党の巣窟でもある”善人長屋”その差配の娘、お縫は孤独で清廉な同心、白坂長門がひどく気になる。同じ頃、江戸の街では悪人を情無用に処断する”閻魔組”が跋扈していた…
前作が短編シリーズだったので、本作もそうかと思っていたのですが長編でした。しかも前作のキャラクター、物語が思いっきり関わってくる。順番に読まないとダメなタイプですね。
主人公達が”憎めない小悪党”程度なのに対し、敵は情無用の人斬りで、そうなると直接対峙ってのは描けない。主人公側誰一人力もっていないからね。となると本来あるはずの斬りあいシーンはほとんどが人づてに聞いた過去の描写で、なんとも物足りなく感じてしまいます。一応知恵とチームワークで立ち向かっているけれどさ、最終的に大人物が出てきて解決ってなっているし。
お縫の恋をメインにしているけれど、その相手の魅力がイマイチ伝わらないな。あまりに小さなエピソードだけで深く恋に落ちすぎだろう。もう少し決定的な出来事起こってもよくね?面白いのに盛り上がりどころに欠いた印象です。短編のほうがむいているんじゃないのかな?