22 ブレイズメス1990(講談社)海堂 尊 ☆☆☆☆
ブラックぺアンシリーズ?第2弾。
ブラックぺアン(読書の時間’13の18)に引き続き東城大学医学部総合外科学教室の新人医師「世良雅志」が主人公。
物語は、垣谷講師と世良がニースで開催される国際循環器病学会に参加するところから始まる。
普通であれば喜んでもおかしくない海外出張だが、世良は気が重い・・・
病院長になった佐伯教授から内密の指令を受けていたからだ。
その内容は「シンポジストの一人、モンテカルロハートセンターの天城雪彦部長に手紙を渡すこと」。
学会をキャンセルした天城に何とか手紙を渡すが、天城から知らされたその内容は「桜宮心臓外科センター センター長として天城を招聘する」ものであった。
世良は何とか天城を日本に連れて帰るが、天城の基本的な考え方が大学病院を震撼させる。
ここで天城についてちょっとご紹介。(次の本でも中心人物なので)
天城雪彦(あまぎ ゆきひこ)
モンテカルロ・ハートセンター外科部長。
冠状動脈バイパス手術の慣性系「ダイレクト・アナストモーシス(直接吻合法)」が世界で唯一行える外科医。
この手術で失敗したことがなくその功績により、モンテカルロ王室より「エトワール(星)」という称号を得ている。
公開手術も5回?経験している。
そんな天城の元には世界中から患者が押し寄せますが、彼の主義として全財産の半分を要求されそれを飲まないと手術をしない。
日本の医術の考え方には大きく外れ、周りとトラブルを起こします。
しかし、本を読んでいただくとわかりますが、天城のそんな考え方も理解できます。
東城大学に赴任した天城は、「スリジェ(さくら)・ハートセンター」(佐伯病院長の言うところの桜宮心臓外科センター)の設立に向け活動をはじめます。
センターの設計に友人でモナコ公国の第7皇位継承者で、建築家のマリツィア・セバスティアン・シロサキ・クールピアを桜宮市に呼びます。
そして、センター建設資金の一部として、日本胸部外科学会(東京国際会議場メインホール)で日本初の公開手術を行うことを発表する。
反対意見が噴出するものの、「公開手術」を無事成し遂げてしまう。
(舞台裏で世良医師と花房看護士は交際を始める。物語には関係ないような出来事だが、後のバチスタシリーズで花房看護士(後に看護師長)は速水部長と極北救急救命センターに移っていくのだから・・・しかし、この二人の関係は「極北ラプソディ」で完結している。「ジェネラル・ルージュの凱旋」での花房しか知らない人は、是非この本と「極北ラプソディ」を読んでほしい)
公開手術が成功した舞台裏で、サザンクロス心臓疾患専門病院のミヒャエル部長と桐生恭一(後にチーム・バチスタを率いる外科医)が会話している。
公開手術の翌日、天城は2人の男とホテルで会う。
日本で有数の自動車メーカー、ウエスギモーターズの上杉会長と桜宮市の釜田市長の懐刀、村雨秘書である。
上杉会長は重度の心臓病、つまり天城の手術を受ける。そして桜宮市に・・・
ここに出てくる村雨秘書は、「ナニワ・モンスター」で浪速府の府知事になります。
ここまで順調に言っているのに、スリジェ・ハートセンターは建設されないらしい。
同じ場所に後年Aiセンターが建設されるのだから。
その謎は、続編の「スリジェセンター1991」でわかると思うのですが、私の住んでいるし印西市の4つの図書館に各一冊づつ所蔵されているのですが、貸し出し予約だけで31人おりますので当分読めない・・・
でも、この本は海堂先生の本を読んだ、読んでみたい人にとっては、お勧めする一冊です。
文中にも書きましたように、「チーム・バチスタの栄光」の桐生恭一がなぜアメリカに渡ったかがわかるし、「ナニワ・モンスター」の村雨府知事の前身もわかります。
本当は、この本と「スリジェセンター1991」を続けて読むと凄い良いと思います。
自分の気持ちが相当入ってしまいましたね(笑)
それでは
病院って診察とか検査とか待ち時間が非常に多いですよね。
付添いで行っているそんな時間を読書にあてているんです。
もちろん本人がいないときだけですよ。
そして、忘れないうちに夜に書き込む。
そんな感じです。
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