ロシアのデカダン・象徴派の代表的詩人ソログープの作品集です。えっれぇレトロな訳文だなぁと思ったら1937年とか1952年刊が底本でした活字は今風なので読みやすさについては安心です。
ロシア文学の土壌にボードレールやワイルドを放り込むとこんなものが生えてくるのか、という本でした。登場人物は確かにチェーホフやトルストイやドストエフスキーの世界の住人なんですけれども、そういう人たちがビアズリーとかハリー・クラークの絵でアニメ化されそうな話を演じてるんですよ。ホーソーンとかグリム童話にも出てくるおなじみの題材を取り上げているぶん、異様なペシミズムがじわじわ染みてきます。
中でもフランスの伝説を扱った戯曲「死の勝利」なんて、もうタイトルからしてメーテルリンクじゃありませんか。これこそある程度精神力がついてからじゃないと読んではいけない、大人のためのメルヘンです。
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