勇者と魔王が普通の村人Aを奪い合う三角関係の学園ラブコメファンタジーの第6段。
今回は前作であからさまに伏線を張りまくっていた「メデューサ」の個性を持った少女との物語。
一般の個性者が高校生活の日常で日夜訓練を行っているのに対し、このメデューサはすでに完璧でいる。つまりは、現実世界ですでに、彼女の目を見た者は石のように固まってしまう。
その結果、彼女の意識の中では、回りの世界や人間達は、村人のみならず個性者でさえ、灰色の石切場と化して見えている。誰もいない孤独な世界がすでに広がっている。絶望的な闇の中でメデューサ少女はこんな世界など嫌だ、と逃避の道を探し始めた。
誰にも解決できない悩みに、主人公の村人Aが関わることになった。しかしどうすればいいのか。
クラスにいる個性者でさえ、村人達と変わらない「普通」だと言い切る彼女に、そうではないとどうやって伝えるのか。
そしてネタバレ寸前だが、最後に彼女が気づいたのが、普通のはずの村人Aが普通ではない特別な人物であるという事実。いやいや、魔王にも勇者にも言い寄られる村人など普通であるはずがない。
シリーズが進むにつれて、村人Aがますます鈍感になっていくのは何故だろうか。
幼なじみの勇者や、名前を知っているのに呼べない魔王が露骨に主人公に言い寄ってくるのに、まったくそのことに気づいていない。気づかないふりをしているだけだと最初は思っていたのだが、どうやら本当に気づいていないみたい。
これまでに親しくなった個性者二人にからかわれているのにも気づいていない。個性者に言い寄られることなどあり得ないと思い込んでいるのだろうか。
今回は魔王と勇者の直接対決がないかと思われたが、最後に蛇足のように持ってきた。いやいや、本当に蛇足なんですがね。
個性者達が全員卒業後にファンタジー世界に進むのが決まっているが、村人はかなり低い確率でしか行けないと言うが、こんなに個性者と交流があり、しかも役所までその能力を認めているのだから、何も悩むことはないと思うのだが。最後は強硬手段を使おうと決めている勇者と、別れの不安一杯でそのことを考えたくないとする魔王と。二人とも悩まなくてもいいと思うのだが。
困ったことに次回以降の展開が読めない。何の伏線もない。