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その女アレックス

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                    51E7A9GYdeL._AA278_PIkin4,BottomRight,-41,22_AA300_SH20_OU09__256.jpg   文春がいつになく力を入れている翻訳ミステリーが「その女アレックス」。  ”その”とあるように、ある一人の女性が主人公なのだが、注目すべきは、物語の展開の意外性。音楽に例えるなら、懐かしの70代プログレのように<転調>が激しいのだ。  全体は3部に分かれた構成となっており、  第一部は、ある男に監禁され、拷問のような状態で、殺されようとしているアレックスを描く。  捕えた男の正体は? アレックスは無事逃げ出されるのか?  糞便垂れ流しの描写があったりして、これまでのミステリーならそんな描写は描かないのだが、女性が主人公であれ、描いてしまう、ちょっと変わった作者の感覚が面白い。  第二部は死の間際で逃げ出したアレックスの意外な行動になる。アレックスってそういう女なの? と、意外性に違和感を覚えつつ、引き込まれて読み進めてしまう。  そして第三部は・・・・・  ネタバレになってしまうので、これ以上は書けないのだが、第三部になって物語の全貌が明らかになる。  三部はこれまでとも大きく異なった展開となり、読み進めてゆくうちに、グロテスクな(残酷描写ではなく精神的に)、おぞましさがじんわりと浮かび上がってきて、ここでも意表を突かれる。リアリティという部分ではどうかとも思いつつ、、、、。  もろ手を挙げての大絶賛とはいささかおおげさな気もするが、物語の意外性に引き込まれ、最後まで一気に読んでしまう作品であるのは間違いない。グロいが。


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