文春がいつになく力を入れている翻訳ミステリーが「その女アレックス」。
”その”とあるように、ある一人の女性が主人公なのだが、注目すべきは、物語の展開の意外性。音楽に例えるなら、懐かしの70代プログレのように<転調>が激しいのだ。
全体は3部に分かれた構成となっており、
第一部は、ある男に監禁され、拷問のような状態で、殺されようとしているアレックスを描く。
捕えた男の正体は? アレックスは無事逃げ出されるのか?
糞便垂れ流しの描写があったりして、これまでのミステリーならそんな描写は描かないのだが、女性が主人公であれ、描いてしまう、ちょっと変わった作者の感覚が面白い。
第二部は死の間際で逃げ出したアレックスの意外な行動になる。アレックスってそういう女なの? と、意外性に違和感を覚えつつ、引き込まれて読み進めてしまう。
そして第三部は・・・・・
ネタバレになってしまうので、これ以上は書けないのだが、第三部になって物語の全貌が明らかになる。
三部はこれまでとも大きく異なった展開となり、読み進めてゆくうちに、グロテスクな(残酷描写ではなく精神的に)、おぞましさがじんわりと浮かび上がってきて、ここでも意表を突かれる。リアリティという部分ではどうかとも思いつつ、、、、。
もろ手を挙げての大絶賛とはいささかおおげさな気もするが、物語の意外性に引き込まれ、最後まで一気に読んでしまう作品であるのは間違いない。グロいが。
↧
その女アレックス
↧