「暮らしをもっと豊かにする七十二候の楽しみ」
絵:小泉さよ
発行:世界文化社
小泉さよ(こいずみさよ)氏の作品。
1976年東京都生まれ。2001年東京芸術大学大学院日本画修了。おもに猫を描くイラストレーター。
著書に「もっと猫と仲良くなろう!」「ずーっと猫と遊ぼう!」(以上、メディアファクトリー)、「和の暮らし」(KKベストセラーズ)、「まったりゆるゆる猫日記」(学研)などがある。
本書は、七十二候の解説と、それぞれの時期の旬の野菜・果物・魚介、その時期に出会える動物・昆虫・草花、季節の行事を紹介する書き物である。
二十四節気は、農事の目安として、およそ2600年前の中国黄河地方の気候を元に作られた。
太陽の動きを元に、夏至と冬至の「二至」、その間の春分と秋分の「二分」、四季の始まりをあらわす立春・立夏・立秋・立冬の「四立」をあわせて「八節」とし、さらにそれを三分割して二十四等分の季節が作られたという。
温暖湿潤な日本の季節・気候とはズレが生じるため、1844年、当時最新の天文学の知識を元に、春分を基点とし、一年を太陽の黄道上の位置によって15度ずつ動いたところを区分点とする改良が加えられた。
七十二候は二十四節気をさらに初候、次候、末候に三等分し、五日ごとに季節をあらわす自然現象などを名称にあてたものだという。
二十四節気と同様に古代中国で作られ、六世紀頃に日本に伝来、江戸時代までそのまま使われていたが、十七世紀に暦学者の渋川春海らによって日本の気候や風土に合わせた改訂版「本朝七十二候」が作られたのだそうだ。
現代は、明治期の「略本暦」に掲載された「略本七十二候」が主流となっているという。
二十四節気の冬至(12月22日~1月4日頃)では、初候が「乃東生」(なつかれくさしょうず)、次候が「麋角解」(さわしかのつのおつる)、末候が「雪下出麦」(ゆきわたりてむぎのびる)。
次候の「麋角解」とは大鹿のオスの武器である角が切り離されるように抜け落ちることで、角が抜け落ちた後は、春に袋角が伸びて新しい角となるという。
「おうち歳時記」として、「水引の結び方」「栗の皮むきの仕方」「衣替えの収納のコツ」など、それぞれの時期の生活に役立ちそうなコラムも充実している。
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