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数学者の神永正博とプログラマーの小飼弾との「未来予測」をテーマにした対談本。
未来予測という切り口から、ビッグデータ、人工知能、貧困問題、超国家企業、経済成長、教育問題など、幅広いトピックについて語っている。
「経済はこうなる」とか「社会はこうなる」とか、「未来はこうなる」という言説をよく目にするけれども、そもそも未来予測というのはどの程度可能なんだろう?
本書によると、未来予測が可能な分野というものがあって、天体の動きなどの物理法則だったり、人口動態などの物理的な制約があるものだったりは、ある程度の予測はできるかもしれない。だが、お金などの人間が絡む社会現象などは予測不可能だろうという。
統計データを使って理路整然と「社会はこうなる」と語ることもできるけれど、結局幻想にすぎないんじゃないか? データを恣意的に解釈して、自分の語りたいストーリーに合わせてしまっているだけなんじゃないか? 社会をもっともらしく予測しようという話は注意が必要になる。
経済がどうなるかなんてわからないし、どんな商品がヒットするのかとか、どうすれば成功するのかといったことについても予測できない。成功法則があるわけではなくて、「こうすれば成功する」という話もあとづけの理屈に過ぎないということなんだろう。
結局、未来のことが予測できないということになれば、手探りで試行錯誤を繰り返ししていくしかなさそう。あまり未来のことなど気にしすぎないで、その場その場を楽しんで生きるのがいいのかもしれない。将来に備えるといっても、どんな分野が発展するのか、後で何が役に立つかもわからないのだから、現在のトレンドと無関係な分野に興味を持って、とことん勉強してみるのがいいのかも。
社会が複雑になるにつれて、ますます未来のことが分かりにくくなって、どうやって生きたらいいのか考えるのが難しくなった。一寸先は闇の社会ではあるが、本書はそんな不安な社会に生きるための羅針盤といえる。ちょっと先の社会について、これからの未来について、あれこれ考えさせられる、生きるヒントを与えてくれる本だった。
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- 作者: 神永 正博
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2014/12/09
- メディア: 新書