第1回創元社SF短編賞受賞作を含む短編5作を収録です。
短編集ですが舞台は統一されていて、出来事は東北地方のある大学内で発生します。登場人物もオーバーラップします。
著者は東北大学理学部卒ということもあり、大学での研究過程についての描写が豊富で、代書屋についても妙なリアル感を覚えます(実在するかどうかは分かりません。ネットで検索するといろいろ出てきますが、個人の経験においては聞いたことがないです。時代が違うだけかもしれませんが)。
主人公は、基本的には様々な決まりに縛られ、論文引用数という数字による成果を出すことに追い立てられる研究者たちです。そうした決まりに苦しみ、振り回される研究者たちにまつまわる出来事が綴られます。
Aアシモフのロボット短編ではロボット三原則とそれに囚われるロボットたちの出来事が描かれていますが、舞台はかなり違うものの本作も同じような匂いを感じました。
空気は同じでも作品タイプは様々です。
多くの読者にとって、好きな短編が何個か見つかる本だと思います。
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