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第四百十七話_short 変換世代

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 爺さんの世代には入力機器などというものはまだなくて、文章はすべて手書きしてたんだって。だから漢字とか何度も紙に書いて思える必要があったって聞いた。

 父さんの時代になって、ワープロとかパソコンとかが登場して、父さんは子供時分に覚えた漢字を忘れてしまっても、キーボードに入力すれば画面に現れるのを見てたいそう感心したそうだ。

 僕が子供の頃にはすでに入力機器がいろいろあって、もはや漢字を覚えることなんて意味がないように思えた。だってキーボードやスクリーンタッチで書きこめばどんな文字も現れるのだから。

 そういう意味では漢字だけではない。歴史の年号だって、人の名前だって、そのほかありとあらゆることが手元の小型端末ですぐに検索できるわけだから、もはや覚えておく必要が無くなったのだ。

 だから僕らの世代はみんな天才だ。いや、手元に端末さえあればだけれども。どんなことを質問されても即座に答えることができるし、書けない漢字などないよ。

 でも、端末がなかったり、充電が切れてしまったときは悲惨かも。試しに、僕らの世代をつかまえて端末を奪ってから質問してごらん。

「イギリスの首都は?」

「かんじへんかん、漢字で書いて?」

「鎌倉幕府はいつできた?」

 答えられる人はいないかも。この僕だって、いま端末を閉じて手書きにするよ。

 そうしたら、かんじなんてひともじもかけなくなって、ひょっとしたらひらながだってあやくしなてしまうかもしれなしいいいいい。。。。。。 

                      了


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