フェルディナント・フォン・シーラッハ/東京創元社/お薦め度 ★★★★☆
初の長編小説
新米弁護士のライネン、気軽な気持ちで殺人事件の容疑者の国選弁護を引き受ける。容疑者はイタリア人の男、コリーニ、まじめに仕事を務めあげ退職、大富豪を銃で殺害、自分で警官を呼んだ。
殺害動機を明らかにしない容疑者。加えて、被害者の大富豪がなんと、親友の祖父だったことがわかる・・・
勝ち目のない裁判、まして少年時代お世話になった人が被害者、弁護士と私情の狭間で揺れるライネン。
しかし、ライネンの意志、「問うべきなのは虐げられた人」、は被害者と容疑者の接点を浮き彫りにしていく。
前二作、「犯罪」、「罪悪」の延長線上にある長編小説。