評価:★★
ベリロンの都では、トルマリン家とペリオール家の二つの勢力がしのぎを削っていた。
しかしある夜、トルマリン宮をペリオール家が急襲し、一族は悉く殺される。
唯一残された幼子は、生き残った家臣に守られて落ち延び、
遠く離れた吟遊詩人の学校に預けられた。
やがて成長した主人公はカラドリウスと名乗ってベイロンに舞い戻り、
権勢を誇るペリオール家に首尾良く入り込む。
決起を伺うトルマリン家の残党とかも出てくるんだけど、
ストーリーはもっぱらトルマリン音楽学校の教授
(とは言っても本人は妙齢の女性だけど)
であるジュリアと、その周辺を中心に進行する。
毎度のことだけど、出てくる女性キャラがとても魅力的。
ジュリアを始め、カラドリウスの妻・シリーナ、
ペリオール家当主アリオッソの娘、ルナとダミエットの姉妹とか。
舞台や登場人物の設定を見ると典型的な復讐譚になりそうなんだけど
そこはマキリップのことですから、しっかりファンタジーになってる。
ただ、ここまで舞台や役者が揃ってしまうと、
その「典型的な復讐譚」を読みたくなってしまうんだよね・・・
マキリップが書いてる時点でそれはあり得ないって分かっちゃいるんだが・・・
ファンタジーとしてそれなりに面白いのは認めるけど。