『北欧モデル 何が政策イノベーションを生み出すのか』 翁百合 2012/11 著者翁は日本総研理事。共著者に日本総研の関係者3名。 北欧諸国の政策の詳細と、その背景の考え方を紹介する本。 北欧型はスウェーデン、デンマーク、フィンランド、ノルウェー。2010~12年の平均実質成長率は、他の南欧型、欧州大陸型、英米型よりも高い。また、高福祉高負担でありながら財政は健全で、産業の国際競争力も日本より高い。日本に比べ国の規模が小さいが、参考になる点は多い。 北欧の政策の発想法は、①異なる制度間の「有機的リンケージ」を図る姿勢。 ②「合理性・透明性」を重視する。 ③「試行錯誤」による進歩。 の3つ。 北欧諸国は世界で最も民主主義の発達した国々である。教育では「自立した強い個人」の育成が重視される。 北欧諸国で見られる積極的労働市場政策から学ぶべきは、個別のスキームより「試行錯誤」の姿勢だという。 1990年代前半には、日本と同じく金融危機に見舞われた。しかし大手行への大胆な公的資金注入と抜本的なリストラで短期間で復活した。北欧型では、雇用調整が早く、その結果産業構造転換が早くなる。短期的に失業率は上がるが、生き残った強い企業が雇用を吸収する。日本は全てその逆である。 北欧諸国の法人税は、デンマークの25%からノルウェーの28%まで総じて低い。日本は世界でも高水準の38%台。 北欧諸国の税・財政の特徴は、①高福祉の財源は国民。 ②地方分権により住民の意思が反映される。 ③所得再配分が適切に機能している。 の3点。 北欧型の財政が健全である理由は、①高い成長率。 ②高い税率。かつ広く国民から徴税。 ③歳出を制御する強力な法的枠組み。
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