「ヴィルヘルム・マイスターの修行時代」
ゲーテ作 山崎章甫(しょうほ)訳 (岩波文庫)
青年ヴィルヘルムが、劇団員らと放浪しながら自己を成長させる物語です。
ドイツ教養小説の伝統を作った名作で、多くの人々に影響を与えました。
現在、岩波文庫から3分冊(上・中・下)で出ています。
2000年に出たばかりの本なので、とても読みやすいです。
物語は、演劇好きの青年ヴィルヘルムが、失恋する所から始まります。
恋人の女優マリアーネには、パトロンの男性がいたのでした。
絶望したヴィルヘルムは、マリアーネを忘れるため家業に没頭します。
しかし、演劇に対する熱い思いは、決して忘れられません。
商用の旅の途中、メリーナという芸人と知り合い、再び演劇の世界へ。
あれよあれよというまに、一座に仲間入りして、一緒に放浪します。
その間、少女ミニョンや、竪琴弾きの老人らと出会います。
そして一座は、某伯爵に活動の場を与えられ、活動は軌道に乗ります。
しかし、その後の旅の途中で、盗賊団に襲われてしまいました。
ようやく再会した団員たちは、リーダー役のヴィルヘルムを責めて・・・
一方ヴィルヘルムは、盗賊から救ってくれた女騎士を探しますが・・・
家業をほったらかして、勝手なことばかりやって、何が自己の成長か?
と、突っ込みたくなりますが、まあ、単純に物語を楽しみましょう。
前半は、演劇を通して様々な人と出会い、知らず知らず影響を受けます。
そして後半、これまで関わった人々の、意外なつながりが見えてきます。
人生における何でもない出会いが、実は大きな意味を持っています。
人と人との縁というものは大事だ、ということを教えてくれます。
そういう意味では、やはり教養小説ですね。
ところで、前後半を分けるのは、「美わしい魂の告白」という章です。
この章には様々な謎があるのですが・・・その話はまた次回に。
さいごに。(突然の集団下校)
先日、市内の小学校すべてが、突然集団下校しました。
あるサイトで、無差別殺人予告があったようです。おそろしい。
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