17:28:51 Madam-Silk 07/20/2013
モンゴル鮫のゆめ
枕詞を抱きしめたまま二日間が過ぎた
風が過ぎていった
山は枯れて
夏は疲れた
あぎすごとあびれえぬと御者は叫んだ
ぶつからぬまま
あたしたちはモンゴル鮫のように
こゝろの色を変えた
忘れぬうちに
記録しておく必要があった
黄黒く焼けたひろい舗装道路を下ってゆく
あたしは就職する
男たちはみな敵で
あたしたちは刑事か
新聞記者だった
ちゃかして云うなら
ご立派な身分になってた
其のまえは、全館燃え落ちていた
ここでこゝろの色が変わったのかも知れない
女たちは焼け死んでいて
男たちは泣いて嘆いた
あたしは思われていなかった
当たり前のことなのに
とても情けなくて
悲しかった
枕詞を抱きしめたまま二日間ゆめを歩いた
風が過ぎていった
こゝろは枯れて
色彩は草臥(くたび)れはてた