自己啓発書の集大成のような一冊。
最新の脳科学や認知系心理学の研究内容をまとめて、やる気を出す方法・悪い習慣を我慢する方法を伝わりやすくまとめている。
なお、本書を読めば、非常にやる気が出るが、その段階で止まってはいけないというのも本書で書かれていることである。
【目次】上記目次の第8章。 個々に書かれている内容は以前にエントリを書いた「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」の内容と酷似している。他にも「服従の心理」の内容など、どこかで見た内容が多数。 このように、本書は最新の研究や科学的な発表をやる気を出す(やる力)、悪い習慣をやめる(やらない力)、将来の目標を描く(望む力)の視点からまとめた内容になっている。 新しい研究内容が盛り込まれていることもあり、すんなりと信じることは出来ない面もある。学問的にはまだ確定していない内容もきっと入っているだろう。だが、簡単に試せる内容で、しかもわかりやすいため、まずは試しにやってみようと思うだけの内容になっている。 そうした作りの本書なので、元ネタを多く読んでいる人は、「何をいまさら」と思うだろう。現に、そうした評価も見られる。 だが、本書は出来る人にはあっさりとできるが、出来ない人には最大の障害となる意志の力にフォーカスを当てており、本書が有効性を発揮する人は世の中にあふれているはずだ。 政治的に正しくない表現だが、人間社会における能力差は努力だけで超えることは出来ない(「心はどのように遺伝するか―双生児が語る新しい遺伝観」などを参照)。 だが、同レベルの闘いになった時に勝負を決めるのは努力と運なので、自分の力が及ぶ範囲のことで負けたくないのなら、本書を参考に努力する習慣を身につけてみるといいだろう。 ☆☆☆☆★(☆4つ半) 他のBlogの反応はこちら。 http://d.hatena.ne.jp/rairakku6/20130705 http://macherie927.jugem.jp/?eid=854 http://smoothfoxxx.livedoor.biz/archives/52044678.html http://mussyusiawase.blog.so-net.ne.jp/2013-06-30 http://nasser.blog.so-net.ne.jp/2013-06-30-2 http://d.hatena.ne.jp/pasoco+daily/20130523/1369270948 本書を読んで、とりあえず、ダイエットのためにナッツを常備することにしてみました。
■Introduction 「自分を変える教室」へようこそ : 意志力を磨けば、人生が変わる
■第1章 やる力、やらない力、望む力 : 潜在能力を引き出す3つの力
出世も勉強も寿命も「意志力」が決める
脳は1つでも「自分」は2人いる
マイクロスコープ:もうひとりの自分に名前をつける
意志力の実験:5分で脳の力を最大限に引き出す
■第2章 意志力の本能 : あなたの体はチーズケーキを拒むようにできている
食べ物で「意志力の保有量」が変わる
意志力の実験:呼吸を遅らせれば自制心を発揮できる
「運動」すれば脳が大きくなる
この2つを「しなければ」意志力が上がる
意志力の実験:体にリラクゼーション反応を起こす
■第3章 疲れていると抵抗できない : 自制心が筋肉に似ている理由
「1分の自制」の消費エネルギーはミント半分以下
腹が減っていると危険を冒してしまう
意志力の実験:お菓子の代わりにナッツを食べる
「難しいほうを選ぶ」ことを繰り返す
■第4章 罪のライセンス : よいことをすれば悪いことをしたくなる
しようと考えただけで、した気になってしまう
「やることリスト」がやる気を奪う
サラダを見るとジャンクフードを食べてしまう
人には「明日はもっとできる」と考える習性がある
■第5章 脳が大きなウソをつく : 欲求を幸せと勘ちがいする理由
人が刺激を「やめられない」脳の部位
快感の「予感」が行動を狂わせる
「欲しいもの」は反射的に不安を生みだす
意志力の実験:快感の誘惑に負けてみる
■第6章 どうにでもなれ : 気分の落ち込みが挫折につながる
大半の「ストレス解消法」は意味がない
タバコの警告表示はなぜ「逆効果」なのか?
意志力の実験:失敗した自分を許す
「変わろうと思う」だけで満足してしまう
■第7章 将来を売りとばす : 手軽な快楽の経済学
「すぐに」手に入れないと気が済まない
「5年後の成果」など脳は望んでいない
意志力の実験:「10分待つ」と何が起こるか?
2カ月後の約束なら「より多く」を引き出せる
■第8章 感染した! : 意志力はうつる
肥満はこうして感染する
脳は「目にした失敗」をまねたがる
「好きな人」から感染する
「最後の授業」で言い渡した課題
■第9章 この章は読まないで : 「やらない力」の限界
頭に浮かぶことは真実だと思い込む
マイクロスコープ:「皮肉なリバウンド効果」を検証する
「考えるな」と言われたことを「実行」してしまう
「思考」を抑えつけず「行動」だけ自制する
■第10章 おわりに : 自分自身をじっと見つめる