「早期に発見し、前向きに対応することが重要な発達障害。
それを抱える子どもたちのニーズに合った
教育的支援、各症状への対応法、社会によるカウンセリング
を理解するための決定版!」という帯に偽りなし!
ここ数年、とても強い関心を持って
関連書籍を読み漁っている「発達障害」
1カ月ほど前に友人の息子さんが
発達障害の一種であると診断されたことをきっかけに、
発達障害に関する理論だけではなく、
実践的にどのように接し、育てていけばよいのか、
という部分にさらに強い関心・必要性を感じ始めた。
その気持ちから購入した数冊の本のうちの1冊。
高校で教えていた著者は、
児童・女性への暴力防止専門職の養成に携わっている
森田ゆりという女性が主催する研修に参加したことをきっかけに
発達障害を持つ子どもたち
発達障害に気づかれず、何のサポートも得られないまま
青年期、成人期を迎えた人々の困難
に、目を向けるようになった。
そして、その世界での知識、経験を教育現場で深め、高め、
各地で講演活動を行うようになった今、
より多くの人に発達障害を知ってほしいと書いた本。
これまで読んできた、理論的な本と比べ、
発達障害の傾向や特徴によって、
どのような対応をすればベターなのか、
がかなり具体的に書かれており、
わが子が発達障害と診断され
衝撃を受けていた友人には
とても良い参考書になると思う。
本書で描かれる発達障害を持つ子どもや若者の特徴を読むと、
「自分にもそんな傾向はあるな」と思うところも多い。
要は、誰にでもある傾向がより偏って、
より強く出てしまう
著者が言う「認知の凸凹」がある状態が発達障害。
この凸凹を、いかに補い、いかに伸ばすか、
そのためのサポート、教育をどうしていけば、
その子どもはより生きやすくなるのか。
そんなことを社会全体で本気で考えなければならない。
そう実感させられる著書といえる。
全体を通して最も心に残ったのは、
「親やそれに代わる人と安定した愛情関係を築けないのは、
親側ではなく、子どもの側に認知の凸凹があることが要因
ということも多いと思われる。」ということ。
親の愛情不足なのでも、スキンシップ不足なのでもなく、
親が呼びかけた言葉をうまく短期記憶できず(認知の凹)、
だからこそ心から安心できる愛情を注がれていることを体感できず、
不安体験が増え、将来にわたって「不安・見捨てられた悲しさ」などにつながり、
それが外に向くと「怒り」に変わる。
ということ。
初めて子育てをする親たちにそれを見抜けというのは無理。
社会全体がそうした状況をより早く察知し、
サポートできるようになる日の実現に、何かできることはないだろうか。
本気でそう考え始めた大きな一冊になった。
『発達障害と向き合う』
竹内吉和/著
幻冬舎(幻冬舎ルネッサンス新書)
2012年4月25日
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『発達障害と向き合う』竹内吉和
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