花埋み(はなうずみ)を読みました。
日本で初めての公的に認定された女医・荻野吟子さんの一代記です。
この荻野吟子さんに興味を持ったきっかけは、
4月の末に雑司ヶ谷霊園を巡った時に墓所を見つけたことでした。
http://cas-uraob.blog.so-net.ne.jp/2013-04-24
その時の記事です。
記事にも書いていますとおり、墓石のすぐ脇に等身大の石像があったのが印象的でした。それまで荻野吟子さんのことは存じ上げませんでしたが、第一号の認定女医という、その功績もさることながら、その石像により、まずは興味をひかれたのです。
それで、インターネットの情報で、荻野吟子さんの人となりを調べてみました。
その出自、医者を志した動機。女性に門戸が開かれていなかった医師への道を、多大なる障壁を乗り越え切り開いてこられたこと。キリスト教への傾倒、そこでの運命の出会いによって名声・地位をも捨てて過ごされた晩年。波乱万丈と言っては月並みですが、その数奇な運命に、ますます興味を抱き、この本を手に取るに至ったのです。
果たして、荻野吟子さんは、自身の一生を、どう総括していらっしゃるのだろう。わずかながらも、いや少なからず後悔があったのではないかという思いと、自らの信念に忠実に、その瞬間瞬間を全力疾走してきた人生に悔いはあろうはずがないという思いが、この本を読み終えた今、頭の中に交錯しています。
今度、雑司ヶ谷を訪れた際には、墓石に向かって問いかけ、目を閉じて荻野吟子さんの声をきいてみたいと思います。
とても良い本でした。
↧