『輸入7品目に駆逐される国産魚介類』 木幡孜 2011/12 著者は元神奈川県水産試験場研究員。 国内の漁業衰退の原因は輸入品だとする本。 文を強調する傍点が多くて読みづらい。強調は太字にしてほしい。 日本の2000年の魚介類自給率が53%と発表されたが、計算式に問題がある。計算式の分子が(生産量-餌飼料仕向)、分母が(消費量+輸入量+残飯+廃棄量)となっていて、大量の廃棄と飼料向けのある日本でのみ自給率が過小に評価されるようになっている。 区分別では生鮮冷凍向け自給率19.5%、加工品向け80%、缶詰向け120.2%である。輸入生鮮冷凍の増大と、国産魚介類の非食料化が異常なレベルだと述べる。 現在の国産水産物の総生産量は、自給率が110%だった年代の生産量を上回っている。自給率53%は見せ掛けだという。 自然界は少数の多産種と膨大な少産種で構成されている。漁獲量もスケトウダラ、マイワシ、さばが多く、経年変動が激しい。それ以外の魚種の漁獲量は安定している。 量と質の極端な偏りが漁業の特性で、こういった不安定な商材を現代のスーパーは拒絶する。 漁業の不況要因は産地における魚価安である。食用魚介類は輸入物主体となり市場を通さない。これにより卸売市場の集配値付け機能が劣化している。 解決策は輸入量の総量規制であると述べる。EUでは生産者魚価支持制度があって、毎年基準価格を決めている。
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