ど~も。ヴィトゲンシュタインです。 笹川 俊雄 著の「ウォッチ・ザ・パンツァー」を読破しました。 4月に靖国神社内にある「遊就館」に初めて行ってきたという話は、 「桜花―極限の特攻機」の記事でも書きましたが、 いろいろと興味深い展示物もあり、また、考えさせられることも多く、 全部見て回るのに、端折ったつもりでも2時間半かかりました。 そんな展示品のなかでも、九七式中戦車を見て、結構、デカいなぁ~」とビックリ。 良く考えてみたら、展示されていたゼロ戦とか、回天なんかもそうですが、 本物の戦車を見るのは初めてだったのでした。 という経緯で、以前から気になっていた2008年に出たオールカラーで127ページ 、 定価4000円の本書の綺麗な古書をちょうど半額で購入してみました。 2ページには目次、3ページには早くもⅠ号戦車のカラー写真が登場します。 この手の本では、まず最初にドイツ軍戦車開発の歴史・・みたいなのが 3ページほど続くのが常ですが、そういうメンドクサイのは一切なし! 本書を読むのは戦車マニアか、モデラーであるという前提のようです。 そして目次にも写真が4枚あり、第1次大戦時の最初のドイツ戦車「A7V」のカラー写真。 これはかの有名なドイツの「ムンスター戦車博物館」の展示品だそうです。 そしてⅠ号戦車の解説も簡単に・・。面白いのは仕様や性能、生産台数の他に、 「A型が3両、B型が3両、B型ベースの指揮戦車が1両・・」と、 現存数を細かく解説しているところですね。 約650両が生産されたⅡ号戦車も現存するのは8両のみ。。 同じⅡ号戦車でもL型ルクスは別扱いで、紹介される2両のうち1両は 英国軍に鹵獲された英国ボービントンの「RAC戦車博物館」のもの、 もう1両はノルマンディ戦線のスクラップヤードに放置されていたものを 走行可能なまでにレストアした、フランスの「ソミュール戦車博物館」のものだそうです。 続いてⅡ号戦車の自走砲。 7.5㎝ Pak40を搭載したマーダーⅡと、10.5㎝榴弾砲を積んだヴェスペ。 自走砲は外見だけではなく、オープンな戦闘室の状態もマニアには重要のようです。 Ⅲ号戦車は5300両も生産されたのに、現存数はわずか15両。 ただし、1つの博物館がガメているわけではないので、米国の「パットン戦車博物館」、 「アメリカ陸軍兵器博物館」、そして写真はないものの「デンマーク軍事博物館」に 「ノルウェー軍事博物館」など、あちらこちらで展示されています。 Ⅲ号突撃砲はドイツ軍戦闘車両では最多の1万両以上が生産。 しかし初期の短砲身型になると現存するのは3両のみ。 359両作られた43口径7.5㎝砲を搭載したF型は「ブリュッセル戦車博物館」にあるのが 世界で唯一の1両で、迷彩も良い感じです。これぞまさにⅢ突! でも側面にシュルツェンを付けた「ソミュール戦車博物館」や、 ドイツの「コブレンツ国防技術博物館」のG型も全然、負けていません。 8500両が生産されたドイツ軍の主力、Ⅳ号戦車。 現存数はD型2両、G型3両、H型10両、J型12両ということですね。 「ムンスター戦車博物館」のG型は、北アフリカ戦線で英軍に鹵獲され、 長く「RAC戦車博物館」に展示されていたものが1960年にドイツに寄贈されたもので、 鹵獲されたときのダークイエローの塗装そのままに、 第15装甲師団第8中隊のマーキングも描かれ、状態とても良いそうです。 ちなみに表紙のⅣ号戦車は、ブリュッセル戦車博物館」のJ型です。 8.8㎝砲のナースホルン、15センチ重榴弾砲を搭載したフンメルと、こちらも自走砲。 前者が2両、後者は4両と、ホント現存数って少ないんですねぇ。 しかし砲塔が自力で着脱可能な、あのホイシュレッケが、 「アメリカ陸軍兵器博物館」に現存しているのには驚きました。 でもせめて例のアームを使ってる状態にしてほしい。。 Ⅳ号戦車の車体を使ったシリーズはまだまだ続きます。 突撃戦車ブルムベアは3両が現存し、対空戦車もメーベルヴァーゲンにヴィルベルヴィント。 オストヴィントは残念ながら絶滅してしまったそうです。 Ⅳ号駆逐戦車は4両が現存しています。 特にムンスターの1両はツィンメリットコーティングに、側面にはシュルツェンも装着。 オリジナルではないものの3色迷彩が施され、実に完成された美しさを感じます。 さぁ、70ページ目からはⅤ号戦車パンターの登場です。 ここまで一気読みしてきましたが、後半の盛り上がりに向けて、敢えて一休み・・。 III号戦車って全長6.4m、重量22t。II号戦車が全長4.8m、重量9tということは 「遊就館」で見た九七式中戦車は全長5.5m、重量15tですから、 ちょうどII号、III号戦車の半分の大きさなんだなぁ・・などと妄想してみます。。 6000両作られたパンターの現存数は18両で、オランダやスイスでも展示されています。 ドイツの「ジンスハイム博物館」のA型は走行可能なまでレストアされ、 パレードなどに参加しているそうな・・。 また「ソミュール戦車博物館」のA型も、夏の軍事パレードで軽快な姿を見せるとか。 このようにスクラップ同然の戦車を新品同様にまでレストアする博物館もあれば、 ヴィルベルヴィントの写真、カナダ「ボーデン陸軍博物館」のように広い敷地に野外展示し、 管理人すら存在せず、塗装も落ちて保存状態が悪くなるところも・・。 ただ、コレはコレで戦車の上に乗ったり、「触れ合い」は可能ですね。 「ソミュール」の完璧で唯一のベルゲパンターが紹介された後は、ヤークトパンターです。 作られた417両のうち、6両が現存。これも「ソミュール」は良い仕事しています。 あ~「ヤークトパンター戦車隊戦闘記録集」買わないと・・。 86ページからⅥ号戦車ティーガーⅠ。 生産された1354両のうち、わずか5両が残っているのみです。 ジンスハイム、RAC、クビンカ、ソミュールと独英仏ソの博物館に、 ノルマンディ海岸にモニュメントとして展示されているそうですが、 コレは以前に写真をUPしていますね。 そうそう、ノルマンディといえば、日曜に何年振りかで見た「パネルクイズ アタック25」で 『ノルマンディ上陸作戦の連合軍司令官で、第34代米大統領といえば誰?』 という問題が出題されました。そして、ピッピッピッピッブー!と誰も答えられず・・。 ちょっと唖然としつつ、寂しいような、不思議な気持ちになりました。。 ティーガー派生形では、個人的に好きなシュトルムティーガーが クビンカとジンスハイムに2両、現存していますが、 12.8㎝カノン砲を搭載した自走砲、通称シュトゥーラー・エミールというのが1両、 クビンカに展示されています。最強の対戦車兵器とありますが、なんだコリャ?? 77両が生産されたヤークトティーガーは、クビンカ、アメリカ陸軍兵器博物館、RACに展示。 個人的趣味ではRACの迷彩が好きですが、ドイツにはないってことですね。 こうしてようやく大御所、ティーガーⅡの御姿が・・。 生産数489両で8両が保存・展示されています。 うちRACに展示されているものが唯一のポルシェ砲塔であり、その他はヘンシェル砲塔です。 ベルギーのラ・グレースの1両は、「バルジの戦い」で紹介しましたね。 ソミュールの1両は、パンターと同様、式典で豪快に走り回り、 米国から帰ってきたムンスターの1両は、SS第501重戦車大隊の121号車なのに、 なぜか321号車に変身。 コレがトリを務めるかと思いきや、まだフェルディナンドがありました。 1944年2月に呼称がエレファントに変更されたのは知っていましたが、 この時期に前方機銃の装備など改修が施されたことから、 初期型をフェルディナンド、後期型をエレファントと区別する場合も多いそうです。 こちらは90両のうち、生残りは2両です。 それから35(t)と、38(t)戦車。 「たくさん打ちこまれたリベット。モデラー泣かせの部分でもあり、 最大の見せ場でもあるだろう」というキャプションが泣けますねぇ・・。 と、くれば続くのは38(t)軽駆逐戦車ヘッツァーです。 その優秀さゆえ、戦後もチェコ陸軍やスイス陸軍でも使用されたようで、 各国で見ることができるそうです。 自走砲のマーダーⅢが3両、同じく15㎝歩兵砲搭載のグリレが1両現存。 最後の最後にはクビンカに展示されている「ヴァッフェントレーガー」が紹介されます。 大戦末期に実戦投入された8.8㎝ Pak43を搭載したその名の通りの武器運搬車で、 こんなのは知りませんでしたが、ロシア軍に丁寧に鹵獲されたようです。 と、このような世界各国の戦車博物館16ヵ所を住所や展示車両と共に紹介。 しかしいきなり「クビンカに展示されているマウス」の写真が・・。スゲ~な、クビンカ・・。 ただし、写真によっては1997年の日付が入っている場合もあり、 Webで調べてみると、その後、綺麗にレストアされていたりと同じではありません。 最初はドイツの「ムンスター戦車博物館」で、戦車はパンターを除く、Ⅰ号からティーガーまで。 自走砲はフンメル、Ⅲ突、Ⅳ号駆逐戦車、ヘッツァーなどです。 英国の「RAC戦車博物館」もパンターにティーガーⅡの他に、 ヤークトパンターにヤークトティーガーと魅力的です。 フランスの「ソミュール戦車博物館」もブルムベアにパンツァーヴェルファーがあったりと かなり充実してますね。 「アメリカ陸軍兵器博物館」もホイシュレッケにエレファントが・・。 そしてやっぱりロシアの「クビンカ戦車博物館」。写真はありませんでしたが、 あのカール自走臼砲まで展示されているそうです。クビンカ・・スゴ過ぎるぜ。。 ソミュール博物館も凄いと思ってたら、「パンツァーズ・アット・ソミュール」ってありましたね。 まぁ、でもとりあえずは本書で大満足しました。 ドイツ、フランス、ロシアに行くことがあれば上記の博物館にはぜひ足を運んでみたいですし、 なにかのついでではなく、コレを本命にしたいくらいです。 以前に「ヒトラー戦跡紀行―いまこそ訪ねよう第三帝国の戦争遺跡」を書かれた齋木伸生氏の 「ドイツ戦車博物館めぐり」という本も出ましたので、その際にはコチラも必読ですか。
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