阿川佐和子さんの『聞く力』以来大人気の
“力”シリーズ、来ちゃったな。
と商売気に眉をひそめながらも買ってしまいました。
それぞれの小見出しも魅力的なものが多く、
敏腕編集者がついていたのだろうと感じさせます。
保育園に子どもを通わす自分の住んでいる首長であり、
待機児童ワーストワンからゼロへ3年で持ち込んだ
実績を持つ横浜市長、林文子氏の本。
やっぱり素通り出来ないです。
共感とおもてなしにスポットを当てた本です。
役所に関することも多く出てきますが、
企業に勤める人にとっても学びが多いです。
前書きにある『“共感”また“おもてなし精神”とは、
相手の気持ちに寄り添うことであり、ビジネスの世界だけでなく、
すべての人間関係において欠かせないもの』という一節。
これがこの本の大きな潮流だと思いました。
気に入った一節を紹介していきたいと思います。
『挨拶のほかにひと言、相手に関心を示す言葉をかける。』
余計なことを話すことは心の通った温かい空気を感じられる
ことに繋がるのだという。なるほど。
『誰だって毎日の生活は楽しく過ごしたいはずです。
どうやったら楽しく過ごせるのか?それには「人を
幸せにして、喜ばせてあげる」ことが一番です。』
相手の話をじっくり興味をもって聞いてあげること。
これが喜んでもらえる最初の一歩になります。
『“おもてなし”とは、「出迎える」のではなく「出向く」こと』
『礼を尽くすのは「あなたのことを大切に思っていますよ」
ということを表す最大の意思表示です。』
『丁寧にあいさつをすれば、相手は「自分は
受け入れられているんだな」と思います。』
林さんはおもてなしに必要な3つの条件を
①人を好きであること
②勇気を持つこと
③積極性
としています。
好きになるためには関心を持つことからはじまります。
勇気とは自分をさらけ出すことだといいます。
本当の自分を出すというのは意外と難しいことだと
林さんも書いていらっしゃいますが、私もそう思います。
怖いですよね。つい武装しちゃっいます。
鎧をまとって本音を隠す上辺だけの関係は長続きしません。
『決して大丈夫な状態ではないのに「大丈夫です」などと
言って無理を重ねていけば、結局仕事に綻びが生じ、
そんな綻びがいくつも出来ることで組織は瓦解していきます。』
わかります。でも今の自分には難しい。
なんとなくわかっていたことに、否応なく目を向けさせられた
気がしています。気が付くきっかけを頂いたので、
じっくりと見つめ直したいと思いました。
3つめの積極性は2つめの勇気とも繋がります。
自分から積極的に人と繋がりを持つことを示しています。
これも実は苦手です。私は何を恐れているのだろうか・・・。
『便利な世の中になり、「自分ひとりで何でもできる」と勘違い
してしまっている人もいるかもしれませんが、人間はひとりでは
何もできません。この世の中のあらゆる物事に人がかかわり、
たとえばそれが目に見えない関係だとしても、人と人は
必ずどこかでつながっています。
「人間はひとりでは何もできない」。私が本書で繰り返しお伝え
してきた〝共感〟の原点はここにあります。』
本書の中には、市役所が変わっていく様子、
待機児童を減らすまでの過程、林さんの日常から健康管理なども
書かれていて、それぞれ興味深いです。
役所が企画するイベントは集客にはあまり焦点が当てられておらず、
企画実行にだけ力を注いでいるという指摘もあり、
面白かったです。想像出来ますよね。
(なんて言ったら、お役所で働く皆様に怒られそうですが^^;)
市民として思うのは、役所の対応が、
確かによくなった、親切になったと感じます。
利用するのはごくたまにですが、
先日役所に行き、総合受付からそれぞれの担当者まで
4名の職員の方とお話しましたが、
どの方も親切でした。
あれ!?こんなんだったかな?と確かに思ったのです。
TOPの影響力は大きいですよね。
ひとりひとりが周りに与える影響も大きい。
支えあってますからね。
ごく当たり前のことをごく当たり前にできること。
これはすごいことだし、難しいことなのだと
再認識させられました。
『人の心をつなげてくれる言葉は「挨拶と感謝」』
うん、頑張ろう!