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晩夏

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 「晩夏」 シュティフター作 藤村宏訳 (ちくま文庫)  美しい薔薇が咲く丘の老紳士と、そこを訪れる老婦人の、「人生の晩夏」の物語です。  19世紀中頃のドイツ作家シュティフターの代表作です。  かつて集英社の世界文学全集に載っていた訳が、ちくま文庫で読むことができます。  訳は分かりやすく、挿し絵が豊富で、註はページの左端にあって、読みやすいです。  とても丁寧に作られた本ですが、(上)(下)合わせて2800円。  1000ページ以上あるし、値段も高いので、気軽に人に勧められません。残念。
晩夏 上 (ちくま文庫)

晩夏 上 (ちくま文庫)

  • 作者: アーダルベルト・シュティフター
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2004/03/12
  • メディア: 文庫
晩夏 下 (ちくま文庫)

晩夏 下 (ちくま文庫)

  • 作者: アーダルベルト・シュティフター
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2004/04/08
  • メディア: 文庫
 青年ハインリヒは、アルプス山麓で、雨宿りさせてもらうために、ある屋敷を訪ねました。  そこは、まるで別天地。バラがいちめんに美しく咲き乱れていました。  家の主人は初老の紳士で、青年は暖かく迎え入れられ、親切なもてなしを受けました。  その生活に心惹かれながらも、お互いに名前を明かさず、青年は3日目に出発します。  後にハインリヒは、王宮に住む知り合いを訪ね、思いがけず屋敷の主人の名を知りました。  彼は、かつて高官だった男爵で…  ハインリヒは、たびたびバラの丘の屋敷を訪れるようになり、ある老婦人と親しくなります。  その老婦人は、かつて男爵と…  物語は、ゆっくりゆっくり進みます。  ストーリーと関係のない話が、たくさん盛り込まれているためです。  植物はこんなふうに育てるのだとか、鳥はこんなふうに世話するのだとか。  つい、うとうとしてしまいます。  しかし、それはそれで贅沢な眠りです。  自分もバラの家にいて、はるかかなたのアルプスを、眺めている夢を見るのですから。  ところでこの本は、無駄を省いたら300ページくらいに圧縮できそうです。  そうしたら、もっと読まれるようになるでしょう。  でも一方、圧縮したら、物足りなくなってしまうような気もします。  案外、無駄のように思われる部分が、この作品では大事なのかもしれません。  さて、シュティフターの作品は地味ですが、自然の美しさが伝わってきます。  すでに紹介した「水晶」も、オススメです。  「水晶」 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-05-12  さいごに。(ハクビシン)  娘が、登校中にハクビシンを見たと言いました。充分ありえることです。  顔には白い線が入っていたというから、確かにハクビシンでしょう。  裏の家では、長く留守にしていた間に、ハクビシンが住み着いたことがありました。  その頃、夜中に変な獣の鳴き声や、何かがバタバタ走る音が、よく聞こえました。

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