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『ウソを見破る統計学』

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『ウソを見破る統計学』 神永正博 2011/04 ウソを見破る統計学―退屈させない統計入門 (ブルーバックス)  著者は数学の博士号を持つ。日立を経て東北学院大学教授。 数式を使わず統計の基本を教える本。  比較対象による統計のウソについて、文系と理系の賃金差を取り上げている。社会科学系と工学系で比較すると、文系である社会科学系の賃金が高い。社会科学系は銀行や外資の投資銀行勤めがいて平均値を上げている。人文学系と工学系では工学系が高いとのデータもある。しかし、日本の工学部は女性比率が極端に低いので、男女の賃金格差の影響も考えられる。人文学系には歴史の浅い学部もあり、調査対象の年齢が若いために賃金銀が低いことも考えられる。  相関があるからといって因果関係があるとは限らない。  統計の精度を2倍にするにはサンプルサイズをその2乗の4倍にしなければならない。  互いに無関係に起きる(=独立した)現象はポアソン分布に従う。正規分布のような左右対称ではなく、右のテールが長い。これによると、「互いに関係のない事故は連続して起きやすい」となる。たとえば航空機事故が起きて次の事故までの時間とか、プロイセン陸軍の馬に蹴られて死んだ兵士の数、一定期間の交通事故数、地震の回数などがこれに該当する。  「庶民の世界は対数正規分布に従う」。横軸を対数にすれば正規分布になる。たとえば給与(所得分布)は学歴、仕事の割り振り、上司運、会社の調子などの「掛け算」の反映であることが原因と考えられる。  「お金持ちの世界はべき分布に従う」。日本だと年収2000万円くらいが境。縦(人数)も横(所得)も対数にしたとき直線となる。べき分布の世界は変動が極めて大きく、何もかも行き過ぎな世界。  株価は大体は対数正規分布だが、変動の大きいところはべき分布になっている。科学雑誌『ネイチャー』に「金融市場の変動におけるべき法則の理論」という論文が掲載された(2003年)。日足、分足、どの時間軸でも株価のテイルは、はっきりとべき分布になっている。1929年の世界恐慌も1987年のブラックマンデーもべき分布の安定的範囲内だった。  山火事は頻度と規模が反比例する。山火事を防ごうと努力することは、次の火事の規模を大きくすることになる。これに気づいてアメリカでは山火事を無理に防ぐのをやめたという。金融危機も同様で、金融の矛盾が一気に露呈して大被害となる。小さな金融危機が起きるに任せたら深刻な被害が防げるかもしれない。


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