山口 花さんのデビュー作品で一大ベストセラーとなっている犬から聞いた素敵な話 涙あふれる14の物語、いまもって読者の感動が続々と寄せられているようです。
犬と飼い主、双方目線での短編ですが、それぞれの立場での深い愛情が溢れていて犬好きの人だけでなく、読む人すべてに感動を与えてくれる一冊なんですね。
この話題で思い出すのが、その昔猟犬の役に立たないという理由で飼い主に捨てられ、我が家で飼っていたメス犬ジョンです。
シベリアンハスキーに良く似た犬で、いまでも飼い主と散歩中の同じ顔をした犬を見るたび、そのときのことを思い出します。
ケンカすれば負けるはずのない先に飼われていた黒猫に、いつも遠慮してシッポを下げてクークー言いながら争いを避けて回るジョンに、猫とは違う言い知れない知性を感じたものです。
どこでも自由に動き回れる猫と繋がれて滅多に移動の自由のない犬。
子供ながらに、初めて飼った犬のいじらしさに触れ、可愛さを深く感じたものです。
あるときなどは、元の飼い主が通りがかりに現われたときに黙ってすがりついたという様子を母から聞き、本当にいじらしくも思いました。
その後大学入学・就職と故郷を離れた後、ジョンの死を葉書で知り涙したものです。
母によると晩年のジョンはガンを患ったらしく、オムツをあててもらっていたようです。
言葉が話せないから可愛いという人もいますが、犬は表情から十分気持ちが伝わるような気がします。
犬から聞いた素敵な話 涙あふれる14の物語
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