大量の手足に囲まれ
その姿が見えなくなる寸前、
脱出用チューブの方、
萌の方を振り返って、
華子さんは頭を下げた。
「華子さん!」
チューブから身を乗り出して
落ちそうになる萌を薫子が必死に萌を押しとどめる。
羅漢たちのパーツはすでに人型をなして、
パーシングはその手の中に捕らえられている。
軍刀で文字通り血路を切り開こうとするものの、
壊された部品までが華子さんの意のままになっているようで、
すべてのパーツがパーシングに絡みついていく。
両足を封じられ、
残った片腕にもパーツが絡みつき、
パーシングの姿がほとんど見えなくなる。
そこに逸鬼が駆け込んできて、
チューブの中のシートに倒れこんだ。
その途端、逸鬼は刀に戻り、
キャノピーが締まると同時にチューブは強制射出された。
「華子さん―――――――――っ!!」
絶叫する萌の頭の中で、
『またね……』
という声が響いたような気がした。
つづく
↧
「豪快! 両国夢想」第6話「神なるもの」その18
↧