大量の手足に囲まれ その姿が見えなくなる寸前、 脱出用チューブの方、 萌の方を振り返って、 華子さんは頭を下げた。 「華子さん!」 チューブから身を乗り出して 落ちそうになる萌を薫子が必死に萌を押しとどめる。 羅漢たちのパーツはすでに人型をなして、 パーシングはその手の中に捕らえられている。 軍刀で文字通り血路を切り開こうとするものの、 壊された部品までが華子さんの意のままになっているようで、 すべてのパーツがパーシングに絡みついていく。 両足を封じられ、 残った片腕にもパーツが絡みつき、 パーシングの姿がほとんど見えなくなる。 そこに逸鬼が駆け込んできて、 チューブの中のシートに倒れこんだ。 その途端、逸鬼は刀に戻り、 キャノピーが締まると同時にチューブは強制射出された。 「華子さん―――――――――っ!!」 絶叫する萌の頭の中で、 『またね……』 という声が響いたような気がした。 つづく
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