『人はなぜ太るのか』 岡田正彦 2006/12 著者は医学博士。IEEE編集委員。 太る仕組みとやせる方法に関する本。 三大栄養素は、たんぱく質、脂肪、炭水化物。たんぱく質が分解されたアミノ酸は、不要なものは対外に排出されるので肥満の原因にならない。炭水化物は酵素により糖分になる。余剰の糖分は脂肪酸に変化し体内に蓄積する。脂肪のもとは脂肪酸。余剰の脂肪酸は中性脂肪として蓄積される。 アメリカで行われた調査では、男性は糖分をとっていた人が太り、女性は脂肪を多くとっていた人が太るとわかった。 アメリカでは肥満者が増えているのに、国民の脂肪摂取量は低下している。この原因はグリセミック指数(GI)の大きい食品が急増したためと見られる。 レプチンというホルモンが人の体内にもあって、脂肪細胞で作られている。レプチンは脳の摂食中枢に作用して食欲を抑制し、同時に脂肪細胞に働きかけて脂肪燃焼を促進する。「夢のやせ薬」の第一候補といわれる。 肥満度を測る指数としてBMI(体重/身長/身長)が一般化している。しかしBMIよりもウエスト周囲長の方が心筋梗塞の発生と深く関係しているという調査結果が出ている。BMIは24で最も死亡率が低い。 眼底の網膜は、血管を肉眼で確認できる唯一の場所である。動脈硬化の程度をここで判定することができる。学童期の肥満は成人になってからの動脈硬化の重大な誘因である。 腹筋運動はそれほど効果がない。腕立て伏せにも腹部の筋肉を鍛える効果がある。 かぜ薬に含まれる塩酸フェニルプロパノールアミンやアスピリンは食欲を抑える。かつてアメリカではやせ薬として使われたこともある。継続使用すると深刻な副作用があるため、現在はやせ薬としての使用は禁じられている。 電気刺激で筋肉を振動させる健康器具が一時はやったが、「運動せずに運動と同じ効果が得られることはあり得ない」と述べる。
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