『独創はひらめかない』 金出武雄 2012/11
著者はカーネギーメロン大学教授。専門はロボット工学など。 創造、発明など知的活動はどうあるべきかについてのエッセー集。
2003年刊行の『素人のように考え、玄人として実行する』を元にした本。
成功する考えの多くは、きわめて単純明快。「素人発想、玄人実行」。 素直で自由な発想を邪魔するものは、なまじっかな知識。しかし発想を実行に移すのには知識が要る。考えがよくても、下手に作ってはうまく動かない。
プロとしていい仕事ができるかは、捨てて変える決断力・勇気があるかどうか。「成功を疑う」のが一番難しい。
思い切って単純化できるかどうかが、よくできる人とできない人の差。思考の過程を省略し、最も適切に単純化するには、見通しを持つこと。
問題は、その定義ができたら、その60%ぐらいは解けている。
日本人に訓練の足りないのは、アイデアを練り、分かりやすく人に伝える力。
ほとんどの創造は、物真似に付加価値をつけたもの。ベンチャー企業は、皆が考えているが、誰もできなかった、やらなかったというものが成功する。誰も考えたことの無いものは、製品化しても社会が受け入れない。
日本の教科書は最初に公式を教える。アメリカの教科書は最初にやさしい問題を出して解かせる。
知覚、思考、行動の源は記憶。アイデアは頭の中の記憶の組み合わせから生まれる。「覚えることはコンピュータに任せて、人間は思考力を磨いた方が良い」というのはとんでもない間違い。
アメリカと日本のシステムで一番の違いは、日本には個人が決定権を持つ仕組みがないこと。
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