経済学者の間でもアベノミクスが成功するかどうかの意見は分かれている。
だが、論理的には
1.アベノミクスは成功して日本の景気は上向きになる
2.アベノミクスは効果なく、今のデフレが続く
3.アベノミクスは副作用がおおきく、インフレから国家破綻のルートをたどる
のどれかしか無い。
一般の労働者は、それぞれのシナリオにおいてどういう金融資産に投資すればよいのか?を筆者独特のシニカルな口調で面白く書いている。
【目次】まず、1.の日本経済回復シナリオと2.の現状維持シナリオの場合話は簡単。普通預金が最強の選択肢だ。デフレが続く現状維持シナリオなら預金の実質的な価値はどんどん上がっていくし、日本経済回復の場合でも景気回復に合わせて預金金利は程々に上がっていくので損することはない。 (景気が回復するなら、少々の機会損失は問題にならない) 3.の国家破綻シナリオの場合は少し考えなくてはいけない。ギリシアやアルゼンチンなど、過去の国家破綻の経験から、国家が破綻する場合には以下のルートをたどっていることがわかる。 第1ステージ:国債価格が下落して金利が上昇する 第2ステージ:円安とインフレが進行し、深刻な金融危機が起き、国家債務の膨張が止まらなくなる 第3ステージ:日本政府が国債のデフォルトを宣言し、IMFの管理下に入る このシナリオでも、第1ステージの間は普通預金で大丈夫。金利上昇の恩恵を十分に受けることが出来る。 だが、第2ステージ以降は円の価値が減価してくるので、普通預金では対応できない。そこで筆者は外貨預金、国債ベアファンド、物価連動債の3商品で資産価値を守ることを提案する。ここでのポイントは、「守り」。レバレッジの効いた国際ベアファンドを除けば資産を増やすための商品ではないが、手近な商品で資産価値を維持することが出来る。 ここまでが本書の本編。 そして、最後に国家破綻に書けた一発逆転策として、FXやベアファンドでレバレッジを効かせて資産を増やすための行動が書かれている。このパートの意味は一発逆転を狙うことだけではない。 一発逆転を狙うためには十分なリスクを取らねばならないことを学ぶことで、世の中にあふれる「国家破綻を機に資産を増やす」という怪しい商売に引っかからないようにする意味があるのだ。 Amazonの書評に書かれているように、本書を読んでも実際に国家破綻コースに入ってしまうとうまく行動できないことが多いだろう。いつ普通預金から外貨預金に乗り換えるのか?乗り換えた後に円高が進んだらどうするのか?等実際の行動に移すと悩むことが非常に多いからだ。 だが、災害や戦争に備えた図上演習と同じで、本書を読んでこういうシナリオが実現した場合に自分ならどうすると考えておくことは非常に有用だ。 金融非常時を前に利益を叩き出せる人は極小数だが、演習をしておけば全財産をなくすといった最悪の事態を避けて60%~80%程度の資産を保つことが出来るだろう。 そして、それができれば今の日本の経済水準から考えて、世界レベルでは十分に豊かな部類に残れるはずだ。 ☆☆☆☆(☆四つ) 他のBlogの反応はこちら。 http://d.hatena.ne.jp/A0153/20131011/1381465864 http://d.hatena.ne.jp/hettachan/20130407/1365341342 http://money-learn.seesaa.net/article/347446977.html http://mansion-ooya.com/b00c35oveq-2/ http://blog.livedoor.jp/masak88/archives/285291.html http://tsunoken.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/post-982b.html 普通預金金利が2%を超えてきたら、あなたはどうしますか? 1ドル=150円になったら?逆に1ドル=70円になったら? すぐに起こることじゃないけど、考えておくことは大事なことです。
第1部 序
近未来小説・日本人を待っていた浅い眠り
最悪のなかの最善を探せ
第2部 破
普通預金は最強の金融商品
たった3つの金融商品で「国家破産」はこわくない
第3部 急
財政破綻時の資産運用戦略
経済的リスクを“奇跡”に変える