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夫婦脳

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 なじる人は傷ついている、だと。

夫婦脳―夫心と妻心は、なぜこうも相容れないのか (新潮文庫)

夫婦脳―夫心と妻心は、なぜこうも相容れないのか (新潮文庫)

  • 作者: 黒川 伊保子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/11/29
  • メディア: 文庫

 はい、独身なのにこの手の本大好きです。やっぱり私のお気に入りな姫野友美先生同様に今時の脳科学を駆使して男と女の違いについて論じています、ココまで来るとフェミニズムだのジェンダーフリーだの言ってた皆様の主張する男女の違いは後天的とする論拠は崩れ去るどころか砂塵と化して吹き飛ばされるて跡形も無いような?論拠のヘーゲル・マルクス辺りの理論とか市民概念とか前世紀前半で賞味期限が来ちゃったんだから仕方ないか。いや、女性がピンク色も好むのも子育て特化したヒトだからであって周囲が「女の子だからピンク」と押し付けるワケでは無いそうだよ。  で、「トンデモ本」に分類された著作もあるとかで、それだけをもって「決め付け・レッテル貼り」(革命的左翼・新左翼の得意技ですよ)をしてダメ出しする御仁が多いのがネット苦界ですが、まあそんなのは自分で読んでみて白黒付ければ良いじゃないの。「ネットの真実」を検証せずに鵜呑みにするからネトウヨとかレッテル貼りされるんだし、新刊本で買っても税抜き430円でそれがシャクなら図書館で借りれば良いんだし。  姫野友美先生の新書辺りならもうちょっと硬い、表やグラフを駆使しつつ丁寧に話を続けているのですが、本書はエッセイ風でそんなに硬い本じゃない、雑誌の連載を文庫化しただけだよね?と思ったら本当にそうだった。しかし、この手の男性脳・女性脳の話は姫野友美先生の「女はなぜ突然怒り出すのか?」「男はなぜ急に女にフラれるのか?」にすっかり古典になってしまった「話を聞かない男、地図が読めない女」と比べてみても特におかしな話は載っていないと思うよ。

 上に列挙した本で散々言われていた、左脳と右脳の連結パイプは男より女の方が太いと言う話は本書でも引き続きと言うか話の中心でして、具体的に「男性脳は左右の連携が悪いのでぼんやりした状態で情報の整理する時間が欠かせない」とか言われるとそうかもね。何だか夜中にシステムメンテナンスをやりたがるおバカなWindowsのパソコンみたいだ、対して直感的に処理する女性脳はMacだったりして。男は単純バカな分ストイックで責任感が強いって同じ言葉がほめ言葉にもけなしにもなるんだよ。  そういや先日某所で、女性が自分の描いた絵を見せつつ「私は一度目にしたイメージの全体を記憶してそれを絵にする事が得意です」とか自己紹介していたけど、それは正しく女性脳の特性なんだとか。この手の本ではお馴染みの「男は体育会系の単純バカ」と言う話も気に入らない人はムカつくのでしょうが、シロアリの仲間の様に、「戦闘・食料採取」に特化したオスと「子育て」に特化したメスと言う種としての分業こそがこうして現在ヒトが地上でデカい顔をしている原因と考えているので、私は受け入れる人だね。  男が戦闘用単純バカなら女もオスのフェロモンから遺伝情報を読み取って「相性の良い固体」に執着する事こそが「恋」とか言われちゃうとやっぱり立つ瀬も無いかもね。夫婦(繁殖のパートナー)は生存可能性と子孫の遺伝子パターンの多様性が大事なので、相性最悪の二人こそがペアを作ってしまうんだと。そこをジェンダーフリーとかフェミニズムとか、本能と反射を理性と教養で抑え込んで結婚すれば心から尊敬し合える関係の夫婦が完成するのでしょうが、すると逆に繁殖相性が最悪で、子供のいないDinksと呼ばれた夫婦の中にはそんな頭でっかちなカップルも混じっているのかもしれないなと思ったり。  また、ヒトの骨髄液が7年で完全に入れ替わる事から7年周期で夫婦の関係が進化していく話が多く、特に、ヒト全体で28年周期で流行の好みが変わる、と言う話は信憑性はともかく面白いなと。何故なら、経済学では景気循環に関する研究が有るんで、昨今の行動経済学、脳神経経済学の隆盛からこの7年スパンのアプローチは景気循環論に組み入れると面白い事になると思うんだけど、黒川氏辺りが経済学者にアプローチしてみたら如何でしょうか?  それと、冒頭に引用した「なじる人は傷ついている」、私は未婚なので夫婦の「あるある」よりこちらの方が納得しました。別れる時って女に酷くなじられて終わったりするので、ああ、アレは女が傷ついていたのだなと、つまり傷つけた人は私なんだけどね。そうは言ってもなじられた方も傷ついているし傷ついているからなじるワケで、私をなじって傷つけたのは別れた女ではなく、例えば幼児期のウチの母親だったりするから彼女もとんだとばっちりだ。  その母を傷つけたのは祖父か祖母と言う事になるので、そうなると今度は岩月謙司先生の「親の七がけ幸福論(幸せ恐怖症)」とかそっちの話になっちゃうか。「遺伝するなじり」とか、乳幼児に母親が助けを求めるってのは救いが無いんだけど本書を読んで感じた現実社会の虐待の真相だと思う。本書は基本、「私」に「オット」と「息子」と言う幸せな一家の話なんで、日常的になじり合う病んだ家庭環境で凶暴に育って誰彼構わず毒を吐き散らかす人間に成り下がった場合は何の解決にもなりませんが、良いヒントを貰ったと思っています。なじりの連鎖と虐待で改めてまとめてみるか。

思い残し症候群―親の夫婦問題が女性の恋愛をくるわせる (NHKブックス)

思い残し症候群―親の夫婦問題が女性の恋愛をくるわせる (NHKブックス)

  • 作者: 岩月 謙司
  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売日: 2001/02
  • メディア: 単行本

黒川伊保子オフィシャルサイト http://www.ihoko.com/


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