『イネの歴史を探る』 佐藤洋一郎(編) 2013/10 編者は野生イネ研究家。 イネの起源や歴史、それを探るフィールドワークについての本。 ラオスで見た野生イネは、野生の群落として続いていくためには人間が手を入れなければならなかった。水牛が入ってきて踏みつけたりウンコしたり、子供が入ってきてオケラを取るために穴を掘ったりしている。 静岡の曲金北遺跡で1600年前の小区画(2~3坪)の田んぼが1万枚出てきた。焼畑と同じ方式で、休耕田をつくっていたらしい。 昔の植物を知るのにはプラント・オパールを探す。植物由来の珪酸体。珪酸はイネ科植物の葉中に多く含まれる。 ジャポニカの野生イネは、多年草なのでタネをつけない。ジャポニカのイネは長江で生まれた。 世界に分布するイネは22種。2種が栽培イネで残りは野生。南極を除く全ての大陸に生息している。野生のものの多くは多年生。栽培イネは一年生。 イネとトウモロコシが分岐したのが7500万年前。イネ属のみが各大陸に渡った。オーストラリアではヒトが入ってきた5万年前よりもずっと以前から野生イネが生息していた。 長江流域では6000年前の初期の水田が見つかっている。野生のイネを栽培し始めたのは、さらに2000年前だろうと推定されている。 長江で見られたイネはジャポニカの原種。インディカはインドに起源を持つ亜種である。最近の学説では、4000年前にインド北西部でジャポニカイネが導入され、地元のイネと交配が行われたのだろうという。
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