会う人ごとに台風の話になる。 「南側を通るけ、北の風がふくじゃろう。ここはそがいに風は吹かんじゃろう。台風が北側を通る時はマジが吹くけ、気をつけにゃいけん」 私の集落は周防大島の南側。きょうは北風が吹いている。買物に行くとき見たら、北側は波が立っているが、こちらは凪だった。 「９月の末ごろ来る台風は、気を付けにゃいけんのよ」H田のおじさんは言う。 私が朝からハンマーでナスビやオクラに支柱を打ち付けていたら、庭に入ってきて玄関の階段に座った。私も横に腰を下ろす。長らく座って話をしていない。１時間も２人でしゃべった。 話しこんでいるところへ防災放送の受信機を取り付けるための工事の人が来た。私は呼び止めて「ウチはまだ申請をしていないのですが」と言うと、「今すぐできますよ。ぼくが預かって役場に出します」と言ったので、申し込んだ。 家の駐車場の隅に８ｍの電柱が立つ。山があって電波が届かないので、集落の各家にアンテナを取り付けて有線でつなぐそうだ。大がかりなものだ。
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